『英文読解の透視図』の習得レベル
レベル1:解説を読んで理解ができる。
レベル2:5割以上の文章が、文章構造を見抜いた上で、和訳できる。
レベル3:8割以上の文章が、文章構造を見抜いた上で、和訳できる。
『英文読解の透視図』の特徴
本書『英文読解の透視図』は、しばしば難易度の高い参考書として紹介されます。事実、難易度は高いのですが、それは次のような特徴があるからです。
『英文読解の透視図』の特徴①
本書『英文読解の透視図』における解説は、基本的な文法事項が頭に入っていなければ理解できません。
基本的な事項については説明を省いている場合もありますので、『Vintage』『Next Stage』『Scramble』などの英文法問題集が5割以上解ける状態になっている必要があります。
『英文読解の透視図』の特徴②
本書『英文読解の透視図』は、文法事項を網羅するような参考書ではなく、特に受験生が難しいと感じることの多いテーマを中心に解説したものとなっています。
例えば、仮定法や比較表現、省略、倒置、挿入などが主なテーマです。そのため、こういったいわば「深掘り」ともいえるテーマに手を付ける余裕がある人しか対象となりません。
『英文読解の透視図』の特徴③
刊行が1993年と古いことから、英文や解説についてもやや堅苦しいものが多く、難しい文章を読みなれていないととっつきにくい書籍でもあります。
『英文読解の透視図』の特徴まとめ
こういった難易度の高さにもかかわらず、最難関大受験者には長く愛用され、本書を身に付ければ解けない問題がなくなるとさえ言われることもあります。
それは、他の参考書では丁寧に扱われないような内容について厳選された問題を用い、詳しい解説を加えているためです。「痒い所に手が届く」のが本書の最大の強みです。
本書『英文読解の透視図』は、基本的事項を身に着けた上で最難関大の英文解釈にも対応できる発展的知識を身に着けたい人にはおすすめの参考書となっています。
『英文読解の透視図』の使い方
最初から順番に解いていきます。内容の難易度も後半になるにつれて上がっていくため、あまり読み飛ばさずに通読していくようにしてください。
例題にすら歯が立たないレベルであれば、この参考書はオーバーワークです。使用を中止してください。
例題がある程度解け、解説が理解できる場合は、解説を読み込んで理解したうえでチャレンジ問題にも取り組みましょう。
英語に限らず、知らないことを知るための勉強は、①足りない力の認識→②インプット→③アウトプット→④振り返り→①足りない力の認識→・・・の繰り返しです。まずは例題で足りない力を認識し、解説を読んでインプット、そしてチャレンジ問題でアウトプットし、振り返りを行う。このサイクルを、知識や解き方が定着したと思うまで繰り返しましょう。
例題、チャレンジ問題どちらも、解けなかった問題には×マークを付けておき、復習する際は×マークのついた問題だけを対象にします。
以上、×マークしか付いていない問題がなくなるまで繰り返します。
『英文読解の透視図』に入る前に…
改めて、本書が自分にとって本当に必要か、志望する大学の過去問を見て確認してください。
多くの受験者にとって本書はオーバーワークになりがちです。難しい英文解釈が出題されない限りは取り組む必要はありません。
取り組む必要性が確認出来たら、『Vintage』『Next Stage』『Scramble』などの英文法問題集を5割以上解ける状態にしてから入るようにしてください。
『英文読解の透視図』の対象
文法知識が一通り頭に入っており、さらに上のレベルの学習をしたいと考えている東大、京大、一橋大の志望者。
あるいは、難度の高い英文解釈問題、英文和訳問題が出題される難関大の志望者が対象となります。
『英文読解の透視図』の欠点
欠点も把握した上で、使用する人は使用しましょう。
『英文読解の透視図』の欠点①
本書が現代的でない点が挙げられます。
初版の発行は1993年で、そこから内容や出典問題の改定は行われていません。時代を反映した問題は扱っておらず、出題傾向に合わせられているわけでもありません。そのため、出題傾向については自ら過去問などを確認し、時事テーマについても他の方法で学習する必要があります。
『英文読解の透視図』の欠点②
解説や日本語訳が堅苦しい点が挙げられます。
解説は近年のわかりやすさ重視の参考書の傾向とは異なり、堅苦しく、また1から10まで説明してくれるわけでもありません。「我々」など、今は使われないような日本語訳も用いられています。
ただし、これらの欠点を補って余りある充実した内容が掲載されているため、古い文章にアレルギーの無い人であれば問題なく取り組めるでしょう。
『英文読解の透視図』は東大・京大受験生にとっても必須ではない
大学受験の傾向として、「複雑な短文を和訳させる」問題から、「単純な長文の大意を掴む」問題に変わってきています。和訳問題が比較的しっかり出題される東大・京大であっても同様ですし、そもそも精読できるようになるためにこそ、長文の大意を掴むスキルが必要なのです。
というのも、和訳というのは大意や前後の文脈を踏まえ、下線箇所の単語などから「こんな内容になるはず」という意味が先にありきで、それに沿うようにして適切な和訳を選択していく、という操作が必要になります。
このアプローチは、従来の「単語や文章構造を見抜き、直訳し、意訳する」といったアプローチとは逆になります
多くの難関大受験生が「これまでは、英語ができるようになるためにはもっと複雑な構造の英文が解読できるようにある必要があると思っていたけど、実際に必要だったのは、多読多聴を通して英文の概要を掴み、問われていることに正確に答えることだった」と答えます。
本書のような一昔前の入試に適用した問題集に取り組むより、東大・京大、あるいは旧帝大の近年の過去問を解いたほうが、良質な問題に当たることができます。
本当に本書『英文読解の透視図』に時間を使うべきかは再考しましょう。
『英文読解の透視図』の目次
章 | 内容 |
---|---|
第1章 | 英文構造の透視図 |
第1講 | 要素の確定・移動 |
第2講 | 成句的動詞表現とその後続要素の確定 |
第3講 | 接続詞ans/but/orの結ぶもの |
第2章 | 省略・倒置・挿入・強調の透視図 |
第1講 | 省略 |
第2講 | 倒置 |
第3講 | 挿入 |
第4講 | 強調 |
第3章 | 仮定法・比較表現の透視図 |
第1講 | 仮定法の諸問題 |
第2講 | 比較表現全般における諸問題 |
第3講 | 重要比較表現における諸問題 |