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【決定版】医学部・上位校受験生のメンタル管理法

目次

受験でメンタルが重要な理由

受験期には過度なストレスや不安によって本来の実力が発揮できない事態が多々見られます。

実際、試験不安(テスト不安)の高い受験生ほど試験の得点が低くなる傾向が、複数のメタ分析によって報告されています。不安はワーキングメモリを圧迫し、注意散漫やケアレスミスを招くため、結果的に学業成績を下げてしまうのです。

逆に、自己効力感(自分はやればできるという自信)が高い生徒ほど学習成果が良好であることも知られています。このようにメンタル面の状態が学力・パフォーマンスに密接に関わることから、「受験はメンタルが9割」とまで言われる所以です。

実際、2025年の調査では94%もの受験生が受験中に不安を感じ、約7割が「受験うつ」を経験したと報告されています。せっかく知識を蓄えても本番で実力を出せなければ意味がないため、受験攻略にはメンタルケアが不可欠です。

もちろん、成績がいいからメンタルが安定するという側面もあります。いや、どちらかといえばこちらの方が本質的です。成績は万能薬です。成績さえ上がれば全て解決しますが、成績が上がっていないのにメンタル面だけを単独で安定させることはできませんし、できたとしても一時的です。

正しい勉強法や推奨教材については別記事を参照していただくとして、本記事ではメンタルに焦点を当てたいと思います。

受験期にメンタルが不安定になりやすい原因

成績が思うように伸びない停滞期

受験勉強には順調な時期ばかりでなく、成績が停滞する時期が訪れます。努力しても模試の判定が上がらないと、「自分には才能がないのか」とネガティブ思考に陥りやすくなります。このように、成果が出ない停滞期は自己否定感や将来への悲観を生み、メンタルに深刻なダメージを与えかねません。不安に押し潰されて勉強の手が止まってしまえば、さらに成績が伸びず不安が募るという悪循環に陥ってしまいます。ここで重要なのは、成績が上がることであったり、上がる可能性が最も高いと確信している勉強をすることです。また、成績までは直結していなくても、問題集が進んでいることを可視化することにも意味があります。

たとえば松濤舎では、「進捗管理シート」という、指定教材がどれくらい進んでいるかを可視化するシートを一人ひとりに作成し、そこにチェックをつけていくことで、進み具合を可視化しています。また、手帳の管理で「終わった課題に線を引いて消し込んでいく」といったことをしてもらっており、目に見えて進捗があることがわかる状態を作っています。

スケジュール通りに勉強が進まず焦る

計画していた勉強スケジュールに遅れが出ると、受験生は強い焦燥感を覚えます。夏までに基礎範囲を終わらせる、直前期に過去問○年分解く、など目標を立てても、現実には予想外の難題や体調不良で遅延が生じるものです。「このままでは間に合わない」という焦りは精神的プレッシャーとなり、集中力を削ぎます。焦った状態ではミスも増え、計画遅延に拍車がかかる恐れがあります。

そもそも受験勉強における「スケジュール」というのは、仕事のスケジュールと違い、いつまでにどれくらいの成績になっているかはアンコントローラブルです。「1ヶ月でこの1冊を終わらせたい」と思って計画を立てても、1ヶ月で理解できるかどうか、暗記できるかどうかは、その子の生まれ持った才能に大きく左右されるわけで、計画倒れになってもおかしくありません。

計画は「状態ゴール」で立てるのではなく、「勉強時間の配分的にこれが最適で、その中で1日何問進めるのが合理的」といったものを作成し、それを積み上げていくだけなのです。結果としてどれくらい成績が取れたかで、また勉強時間の最適配分を調整していくといったことを繰り返していくのです。

周囲からの期待・プレッシャーが大きい

本人の不安に加え、周囲(親や教師)の期待も受験生の重圧となります。「絶対合格してほしい」「次第では浪人も許さない」など周囲の言葉や態度がプレッシャーとなり、メンタルを圧迫するケースは珍しくありません。とくに親の期待が過度な場合、受験生は「失敗できない」という強い緊張状態に置かれます。心療内科医の指摘によれば、親がプレッシャーをかけたり過干渉になったりすると、子どもは大きなストレスを感じて勉強に集中できなくなるそうです。実際「親の期待に応えられないと自分の価値がない」と感じるあまり、精神的に追い詰められる受験生もいます。周囲の期待そのものは励みになる一方、度が過ぎると重圧となりメンタル不安定の原因になり得ます。

他人と比較して落ち込んでしまう

自分と同級生や模試の成績上位者を比較して落ち込むことも、受験期にメンタルが不安定になる一因です。SNSや学校で他人の勉強状況や合格実績が目に入ると、「自分はあの人より劣っている」という劣等感が刺激されます。心理学の研究でも、上位者との社会的比較は自己評価の低下やストレス増大に繋がることが示されています。受験生も周囲と競争する中で、「周りはできているのに自分だけできない」と感じると一気に不安が高まります。

受験は相対評価ですが、自分がコントロールできるのは自分の成績のみです。他人ができているか、解けているかと関係なく、自分が解けない問題を優先的に勉強する以外にないのです。

他人との比較ばかりに意識が向く人ほど自信を失いやすく、メンタルが乱れやすい傾向があることを理解した上で、目の前の課題に集中するようにしましょう。

常に孤独を感じやすい

受験期は勉強に専念するあまり交友関係が希薄になり、孤独感に苛まれやすくなります。とくに浪人生や地方の受験生は「一人で戦っている」という孤独を感じやすい傾向があります。確かに受験は孤独なものですし、受験本番でも答案用紙と対峙するのは自分です。しかし、長期戦となる受験勉強で孤独感に苛まれて学習効率が落ちてしまうのは勿体無いです。家族や友人、受験生仲間と交流を持ち、ストレスを緩和していくことは非常に重要です。

メンタルが強い人・弱い人の特徴

メンタルが強い人の傾向

受験の緊張やストレスへの耐性が高く、本番でも実力を発揮できる人を「メンタルの強い人」と呼ぶことにしましょう。こういう人たちは、物事を前向きに考えられる「ポジティブ思考」、失敗を恐れず挑戦するチャレンジ精神、勉強と休息のメリハリをつける自己管理術などが挙げられます。心理学の知見でも、楽観性(オプティミズム)の高い学生はストレスや不安が少なく、メンタルヘルスが良好であることが報告されています。常に「次はきっとうまくいく」「まだ伸びしろがある」と前向きに捉え、不安な状況でも心が折れにくいのが特徴です。また、メンタルの強い人は失敗との向き合い方も上手です。模試の結果が悪かったときも必要以上に落ち込まず、「どこを改善すれば伸びるか」と建設的に反省し、次の行動に移せます。こうしたレジリエンス(心理的回復力)の高さが、受験本番で平常心を保つ土台となるのです。

根底には「やればできる」という学習観があります。脳の可塑性を信じているとも言えます。

メンタルが弱い人の傾向

一方でメンタルが弱い人とは、プレッシャーに弱く不安に押しつぶされがちな人のことを指します。「どうせ自分なんてダメだ…」とネガティブ思考になりやすく、まだ起きてもいない最悪の結果ばかり想像してしまいます。他人と比較して自信を失いやすいのも特徴で、周囲にできる人がいると「自分だけできない」と自己否定に陥りがちです。さらに完璧主義の傾向が強い人も注意が必要です。100点でなければ意味がないと考えるあまり、小さなミスにも過度に落ち込み、気持ちを引きずってしまいます。また、出遅れたことをずっと引きずり、いつまでもリスタートできない傾向にあります。こうした特性から、メンタルが弱い人は一度調子を崩すと立て直しに時間がかかります。例えば、模試で失敗すると「もう次もダメかもしれない」と深刻に捉えすぎて勉強手につかなくなるケースがあります。

こういった人たちに共通しているのは、人の能力は生まれながらに決まっていると考えていたり、「どうせ自分は・・・」という思考に陥りがちです。正しい勉強をして成功体験を積み、「自分ならできる」と思えるようになりたいところです。

自分に思い当たる節がある場合は、後述するメンタル安定の方法を積極的に試し、精神面の弱さを克服していくことが大切です。

受験期のメンタルを安定させる方法

学習計画を立てて目標を明確にする

闇雲に勉強していると将来への不安が募りがちです。そこでゴールから逆算した学習計画を立て、日々の勉強に取り組むことがメンタル安定に寄与します。計画があると「今やるべきこと」が明確になるため、不安な気持ちより目の前のタスクに意識を向けやすくなります。松濤舎ではこの点を特に重視しています。つまり、「受験は学習指導要領の範囲からしか出題されない」という原理原則を踏まえた1日の学習計画を明確に立て、何をやるのか、どうやるのか、なぜやるのかを明確にし、やるべきことに迷わない状態を作っています。これがメンタルの安定につながります。

一緒に頑張る友人・仲間を作る

受験は孤独との戦いになりやすいため、共に励まし合える仲間の存在が大きな支えになります。学校や塾で同じ目標を持つ友人がいれば、情報共有や切磋琢磨ができるだけでなく、精神的な安心感も得られます。仲間と苦労や悩みを話すことで「自分だけじゃない」と気づき、過度な不安が和らぐ効果があります。また、人は誰かに見られているだけでモチベーションが維持しやすくなるものです。もちろん仲間との付き合い方にも注意は必要ですが、適度な競争と支え合いのできる友人は受験期の心強い味方です。「ともに頑張ろう」と言い合える仲間を見つけておくことで、孤独によるメンタル不調を防ぎ、長丁場の受験生活を乗り越えやすくなるでしょう。

周りの人と比較しない

メンタルを安定させるには、他人ではなく、過去の自分と比較する習慣を持つことが有効です。周囲の成績や進捗状況は気になるものですが、他人に振り回されると一喜一憂して心が乱れてしまいます。日頃から「昨日の自分より今日は問題を解けるようになったか」と自己ベスト更新を意識することで、不要な比較による不安を減らせます。他人の得点ではなく自分の成長に目を向けることで、劣等感に苛まれることも少なくなるのです。情報過多の現代では他人の状況が目につきますが、あえてシャットアウトして自分自身の目標達成に集中することが、メンタルのブレを防ぐコツです。

得意科目・分野を1つ作って自信にする

受験科目はすべてで合格者平均を超えることを目標にするのですが、「ここだけは誰にも負けない」という得意科目を一つ作っておくのもメンタル安定に有効です。得意科目があると受験生活の支えになり、自信喪失しそうなときの心の拠り所になります。苦手科目の勉強で行き詰まったときも、「自分には数学がある」と思えるだけで気持ちが幾分楽になるでしょう。心理学においても成功体験は自己効力感を高める重要な要素とされています。得意科目で高得点を取った経験は「自分はできる」という自信につながり、他教科へのモチベーションも底上げします。「この科目の点数だけは心配いらない」という状態を作れれば、本番前の不安も大きく軽減されるでしょう。

規則正しい生活リズムを保つ

メンタルの安定は、身体のコンディションとも深く関係しています。睡眠不足や食事の偏りが続くと脳の働きが悪くなり、イライラしやすくなったり集中力が落ちたりします。受験期こそ睡眠・栄養を十分にとることが合格への近道です。例えば、7時間前後の睡眠を確保すると記憶の定着も良くなり、気分の落ち込みも予防できます。朝7~8時には起きて朝日を浴びるといったような、決まった時間に起きる習慣は、自律神経を整え、メンタル面でも安定をもたらします。反対に、夜更かしや昼夜逆転は自律神経が乱れ、不安感が増す原因となります。栄養面では、炭水化物・タンパク質・ビタミン類をバランスよく摂り、脳のエネルギー不足を防ぎましょう。食事を抜いたりジャンクフードばかりでは血糖値の乱高下で気分も不安定になります。規則正しい生活で心身の調子を整えることが、最終的に受験当日のメンタル維持にも繋がるのです。

適度な休養・運動でリフレッシュする

長時間勉強し続けると心身ともに疲労が蓄積し、ストレスも高まります。そこで適度な休憩軽い運動でこまめにリフレッシュすることが重要です。人間の集中力は無限ではないため、1~2時間に一度は数分でも休息を入れましょう。休憩中に目を閉じて深呼吸したりストレッチをするだけでも、張り詰めた神経が緩みます。運動も効果的で、散歩やジョギングなど軽い有酸素運動はストレスホルモンを減少させ、気分転換になります。実際、運動習慣のある人は不安や鬱の症状が軽減されるという研究結果もあります。趣味や好きなことで意識的に気分転換する時間も作りましょう。音楽を聴く、本を読む、入浴するなどリラックスできる行為によって、交感神経の興奮が鎮まりメンタルが安定します。「休むのは甘え」では決してありません。休養も勉強のうちと考え、オンとオフの切り替えを上手に行うことで、結果的に勉強の効率も向上し、安定した精神状態を保てるのです。

信頼できる人に悩みを相談する

一人で抱え込まず、家族や先生、友人など信頼できる人に今の気持ちを話してみましょう。人に話すことで頭の中が整理され、不安が和らぐ効果があります。親しい人から客観的なアドバイスや励ましの言葉をもらえば、行き詰まった状況にも活路が見えてくるかもしれません。実際、「誰かに話を聞いてもらうこと」はメンタルヘルス対策として有効であると多くの心理学研究が示唆しています。受験生にとって身近な人に弱音を吐くのは勇気がいるかもしれませんが、信頼できる相手はあなたの味方です。不安やプレッシャーを率直に打ち明ければ、意外な解決策が見つかったり「自分だけじゃない」と安心できたりします。特に親御さんや先生は受験の大変さを理解してくれるはずなので、遠慮なく頼りましょう。一人で悩んで視野が狭くなる前に、誰かに相談することで心の重荷を下ろし、前向きな気持ちを取り戻すことができます。

メンタルが落ち込んだときの立て直し方

「今やるべきこと」に集中して雑念を断つ

受験への不安の多くは、まだ起きていない将来の心配(合否や周囲の評価など)に由来します。そこで意識的に“今この瞬間”に集中することで雑念を払い、メンタルの動揺を抑えることができます。いわゆるマインドフルネス的なアプローチで、「今やっている一問一問に全神経を注ぐ」イメージです。不安に駆られそうになったら、「とりあえず目の前のこの問題を解くことだけ考えよう」と自分に言い聞かせてみましょう。未来の結果や過去の失敗を考え出すと不安が膨らむので、意識の焦点を現在の作業にぐっと絞るのです。この練習を重ねると、次第に集中モードへの切り替えが上手になります。今やるべきことに没頭している間は不安が入り込む隙がなく、終わってみれば心配事が小さく感じられるでしょう。「考えても仕方ないことは考えない」—シンプルですが効果的なメンタル安定法です。

そのためにも、合理的で納得感の強い、「これさえやっていれば大丈夫」という課題や学習計画を作ってもらうことが重要です。こここそ松濤舎がもっとも重視していることです。

簡単なタスクで小さな成功体験を積む

難しい問題集に取り組んで心が折れそうなときは、あえて易しい問題を解いてみるのもありです。松濤舎では原則として、すでに解ける問題の復習にはなるべく時間を使わないでおくべきという方針で指導しています。なぜなら、成績は知識量で決まり、解ける問題を解いている時間は知識量が増えていないからです。しかし、これはあくまでも原則であり、例外としてやる気が出ない時や停滞感を感じている時は、一度解けた問題に戻ることもありにしています。基本問題や以前解いた問題をサッと解いて「正解できた」という小さな成功体験を積むのです。これは自己効力感を回復させる有効な方法です。人は成功体験によって「またできた」「次もやれそうだ」という自信を取り戻すことができます。この達成感が自己肯定感を高め、停滞した状況を打開する活力になります。無理に高難度へ突き進まず、一歩下がって確実に解ける問題で自信をチャージしてみてください。

勉強する環境を変えてみる

毎日同じ場所で勉強してマンネリ化していると感じたら、勉強場所を変えるのも効果的です。図書館やカフェ、自習室など普段と違う環境で勉強すると、新鮮な刺激で集中力が高まることがあります。環境心理学の研究でも、場所を変えることで気分転換になり作業効率が向上するケースが報告されています。自宅の机でどうしても集中できないときは、図書館の静かな空間で周りの勉強熱心な雰囲気に触れてみましょう。逆に図書館で緊張する人は、音楽が流れるカフェでリラックスしながら問題を解くのも手です。「環境の力」を利用する発想です。同じ部屋に閉じこもって煮詰まるより、場所を移すだけで驚くほど頭がクリアになることがあります。季節が良ければ公園のベンチで単語帳を眺めるのも良いでしょう。環境を変えることでリフレッシュし、再び勉強に向き合う意欲が湧いてくるはずです。

受験本番でメンタルを維持するコツ

試験直前は新しいことに手を出さず復習に徹する

本番直前期は不安から「あれもこれも」と新しい問題集に手を出したくなりますが、グッと堪えてこれまで使った参考書の復習に専念しましょう。試験直前に未知の問題に挑戦すると、できなかったときに余計な不安を招きます。むしろ「今までやってきたことを信じよう」という気持ちで総仕上げする方が精神衛生上良いのです。これは多くの受験指導の現場でも共通して助言される鉄則です。例えば、松濤舎でも、直前期は新規の教材ではなく自分が使い込んだノートや問題集を見直すことを推奨しています。直前期に焦って新しいことに手を広げても、知識が中途半端になり自信を失うだけです。それより「あのテキストの内容は完璧に頭に入っている」という状態を作った方が本番で安心できます。試験前日は軽い復習と十分な睡眠を心がけ、不安を最小限に抑えて本番に臨みましょう。

当日は早め早めの行動で時間に余裕を持つ

試験当日は予定より早めに行動し、時間に余裕を持って会場入りすることがメンタル安定に繋がります。ギリギリに到着すると、それだけで焦りと緊張が増してしまいます。例えば、開始時刻の1時間以上前には着くくらいのつもりで家を出ましょう。早めに着けばトイレや席の準備も落ち着いてできますし、周囲の雰囲気にも慣れる時間があります。待ち時間が長いと不安になるという人もいますが、余裕があるに越したことはありません。電車の遅延など予期せぬトラブルにも対応できます。会場ではまず深呼吸し、自分のペースを確認してから席に着きます。「もう始まる!」と慌てる状況を避けるだけでも心の負担はかなり軽減されます。時間に余裕を持った行動をすることで、心にもゆとりが生まれるのです。逆にバタバタと駆け込むようでは心拍数も上がり、不安が高まってしまいます。試験当日は“早め早め”を心がけ、穏やかな気持ちで試験開始を迎えましょう。

試験中・科目間の切替えを意識する

試験本番では、終わった科目の結果は引きずらないようにしましょう。一つの科目が思ったように解けなくても、休み時間には気持ちをリセットし、次の科目に集中することが大切です。ましてや「失敗した科目の分、他で挽回しよう」と考えるのは危険で、却って焦りからミスを連発する原因になります 。もし一科目で失敗したと感じても、他の科目には影響を持ち込まないよう意識しましょう。休憩中に廊下を歩いて深呼吸したり、軽くストレッチして身体をほぐしたりして気分転換します。水分補給をして脳をリフレッシュさせるのも良いでしょう。科目間のオン・オフをはっきりさせることで、過度な緊張や後悔を断ち切り、次の試験に平常心で挑めます。一度終わったものは仕方ないと割り切り、常に「次でベストを出す」と前向きに切り替えていきましょう。

緊張したら意図的に身体を動かし心を整える

本番中、極度に緊張してしまったら身体を意図的に動かすことで心拍や呼吸を整える方法があります。席に座ったままでも、ゆっくり深呼吸をしたり、軽く肩を回したり、手をグーパーしてみたりしてください。これらの動作によって自律神経が調整され、過剰な緊張をリセットできます。あらかじめ自分なりのルーティンを決めておくと良いでしょう。例えば、試験開始前に目を閉じて深呼吸を3回する、背筋を伸ばして座り直す、といった簡単な所作を習慣づけます。それをすることで「試験モードに入る」と脳にスイッチが入るようになります。また、試験直前にトイレの個室でジャンプを数回して緊張を発散する、といった裏技を使う人もいます。体と心はつながっているので、身体の動きを通じて心をほぐす発想は理にかなっています。ガチガチに緊張して思考が真っ白になりそうなときこそ、一度ペンを置き、深呼吸やストレッチで心身をリラックスさせてみましょう。

保護者にできるメンタルサポート

受験生を信じて適度な距離を保つ

保護者の方は、子どもの頑張りを信頼しつつ必要以上に干渉しないことが大切です。大学受験は子供自身の挑戦であり、親は黒子に徹するくらいの距離感が理想です。親があれこれ口出ししすぎると、かえって受験生の不安を煽ったりプレッシャーを強めたりする恐れがあります。実際、親子関係が良くない場合、親が過干渉になるほど子どものストレスが増加するという研究結果もあります。これは松濤舎での現場での指導での経験とも一致します。過度な介入は「監視されている」という緊張につながり、子どものメンタルを不安定にしかねません。そうではなく、「あなたの努力を信じて見守っているよ」というスタンスで適度な距離を保ちましょう。具体的には、勉強計画の細部にまで口を挟まず子ども自身に任せる、一日の終わりに「お疲れ様」と声をかける程度に留める、といった工夫です。親が程よく距離を置いて見守ることで、子どもは自立心と共に安心感を得られ、メンタルも安定しやすくなります。

保護者の不安を見せず平常心で接する

保護者の方も、我が子の受験結果が心配で不安になることはあるでしょう。しかし、その不安な姿を子どもに見せないよう努めることが大切です。不安は伝染すると言われるように、親が落ち着きを失っていると子どもにも緊張が移ってしまいます。保護者が平常心を保ち、どっしり構えていることが子どもの心の安定につながります。「内心ドキドキでも表面上は穏やかに」を意識しましょう。子どもが動揺しているときほど、親は安心できる雰囲気を作るよう心掛けます。例えば、成績が振るわない模試結果を見ても、声を荒らげたり慌てたりせず、「大丈夫、これからだよ」と落ち着いた口調で励まします。保護者は家庭の精神的な支柱です。どうか最後まで平常心を崩さず、子どもに安定感を伝えてあげてください。

努力を認めプレッシャーをかけない声かけ

子どもへの声かけは、結果より過程を評価することを重視しましょう。「もっと頑張れ」「落ちても仕方ない」などの言葉は逆効果になりかねません。前者は過剰なプレッシャー、後者は突き放されたような不安を与えてしまいます。代わりに、「ここまで本当によく頑張ってきたね」「努力の成果を信じているよ」といった言葉をかけてください。心理学者の提唱する「プロセスの称賛」は、子どもの自己効力感を高める効果があります。一方、結果ばかり求められると萎縮してしまい、本来の力を出せません。日頃から小さな努力も肯定するようにしましょう。そうすることで子どもの自己肯定感が保たれ、過度なプレッシャーを感じずに済むのです。

生活面で温かく支える環境づくり

メンタル面のサポートは何も言葉掛けだけではありません。生活面の温かい支えも子どもの心を安定させます。例えば、夜遅くまで勉強している子に夜食や温かい飲み物を用意する、といった細やかな気遣いは子どもに「親が味方でいてくれる」という安心感を与えます。健康管理の面でも、栄養バランスの取れた食事や十分な睡眠時間の確保をサポートしましょう。受験生本人は勉強で手一杯になりがちなので、親が代わりに生活リズムを整える手助けをしてあげると良いです。部屋の温度や照明を適切に保つことも集中力アップとストレス軽減に役立ちます。家庭がホッとできる安らぎの場所であることも重要です。ピリピリした空気では子どもも落ち着きません。なるべく普段通りの雰囲気を心掛け、子どもがリラックスできる環境を維持しましょう。日常生活の安定こそが受験生のメンタルの土台となります。親御さんの温かなサポートで、子どもは安心して受験勉強に打ち込めるのです。

まとめ

メンタル面を健康に保つことは学習効率上も非常に重要です。

松濤舎では「成績が万能薬」と考えており、成績が上がらないのにメンタルケアをしてもほぼ効果はないと考え、成績が最も上がる指導をすることを最重視していますが、その上でさらにメンタルを正常に保つためのヒントをまとめてきました。

受験勉強の過程に限らず、入試本番のメンタルもパフォーマンスに大きく影響します。

日頃から健やかなメンタルを保ち、持っている知識のほぼ100%を答案用紙において来れるよう、準備しておきましょう。