特徴まとめ|新課程の共通テストの変更点
おしなべて昨年度までと比べて負担増になるのが変更点の特徴です。
特徴1:科目数が増える(情報が新設)
「情報」が追加されます。国公立大学受験生は基本的に受験必須ですが、得点化するかや配点はどうなるかについては後述します。
特徴2:試験時間が増える科目がある(国語、数2BC)
出題量や出題範囲が増えた結果、国語と数2BCで試験時間が長くなります。詳しくは後述します。
特徴3:浪人生向けの経過措置がある(社会、数学、情報)
すべての科目ではありませんが、浪人生むけの経過措置がある科目もあります。浪人生は、旧学習指導要領の科目を受けるか、新学習指導要領の科目を受けるか、新旧学習指導要領の科目を混ぜて受けるかの選択可能です。詳しくは各科目で触れます。
英語について|新課程の共通テストの変更点
大きな変更点なし
・リーディング:80分
・リスニング :60分(うち、解答時間30分)
ただし、2024年度入試でリーディングの語彙量が増えて難化しています。また今後はリスニングが従来比で難化する可能性もあります。少なくともこれまでより英語の負担が軽くなることは考えられません。
数学について|新課程の共通テストの変更点
数2Bが数2BCになり、試験時間が70分に
これまでの数2Bは、数列・統計的な推測・ベクトルから2題選択するようになっていましたが、数2BCとなった結果、数列・統計的な推測・ベクトル・平面上の曲線と複素数平面の4つから3つ選択することになります。
このように負担が増えることから、試験時間も70分に増えます。
新課程でそもそもの出題範囲が変わっている
数1Aに変更点がないかと言われれば、基本的にはないと考えてよいです。ただし、そもそも新課程になることで分野の移行がありましたので、出題範囲が旧課程とは異なっている点に注意が必要です。
◆旧課程
数1
数と式
図形と計量
二次関数
データの分析(四分位数含む)
数A
場合の数と確率
整数の性質(有限小数・循環小数含む)
図形の性質
数2
いろいろな式
図形と方程式
指数関数・対数関数
三角関数
微分・積分の考え
数B
数列
ベクトル
確率分布と統計的な推測(期待値含む)
数3
極限
微分法
積分法
平面上の曲線と複素数平面
◆新課程
数1
数と式
図形と計量
二次関数
データの分析(仮説検定の考え方)
数A
場合の数と確率(期待値含む)
図形の性質
数学と人間の活動(整数含む)
数2
いろいろな式
図形と方程式
指数関数・対数関数
三角関数
微分・積分の考え
数B
数列
数学と社会生活
統計的な推測
数3
極限
微分法
積分法
数C
ベクトル
平面上の曲線と複素数平面
数学的な表現の工夫
◆中学2年
四分位数
浪人生向けの経過措置あり
2025年度入試を受験する浪人生はご安心ください。経過措置があります。
数1, 数1A, 数2, 数2Bはそれぞれ「旧数1」「旧数1A」「旧数2」「旧数2B」となり、選択することができます。ただし、注意点として、「旧数2」「旧数2B」の試験時間が、新課程に合わせて70分に延長されます。
国語について|新課程の共通テストの変更点
大問が1つ増え、試験時間も90分に増加
これまでは大問4つ(現代文×2、古文×1、漢文×1)で80分だったところ、大問5つ(現代文×3、古文×1、漢文×1)となり、試験時間が90分に増えます。
配点も変更
200点満点であることに変わりはないのですが、これまで現代文が100点(評論文50点、小説50点)、古文50点、漢文50点だったところ、現代文が110点(評論文45点、小説45点、新傾向20点)、古文45点、漢文45点となります。
新傾向とは?
以下のような力を試すような出題になるそうです。
・テクストを図表と関連付けながら的確に読み取る力や、レポートの作成に向けてテクストを適切に解釈し、目次の内容や構成について分析したり検討したりする力を問う。
・資料をレポートに引用するために、複数の文章やグラフの内容や要旨を適切に解釈する力や、よりよいレポートにするために、レポートの内容を捉え直したり、根拠の示し方について考察したりする力等を問う。
理科について|新課程の共通テストの変更点
大きな変更点なし
文系では理科1科目(基礎科目なら2つ)、理系では理科2科目(基礎科目は認められないケースが多い)ということに変わりありません。また試験時間も変更点はありません。
新課程でそもそもの出題範囲が変わっている
物理はほとんど変わりません。
化学は、「熱化学方程式」が「エンタルピー」に変わっている点に注意が必要です。ただし、共通テストで出題されるとしたら経過措置として選択問題として出題されるので、浪人生はご安心ください。
生物も、学習する内容に変更があります。そのため、基本的には新課程向けの教材を使った対策を行ったほうがよいです。
社会について|新課程の共通テストの変更点
名称変更と対応表
社会は名称が変わりますので、ざっくりとした対応表を載せます。
新課程 | 旧課程 |
---|---|
地理総合 | 地理A |
歴史総合 | 日本史Aや世界史A のようなもの |
地理総合, 地理探求 | 地理B |
歴史総合, 日本史探求 | 日本史B |
歴史総合, 世界史探求 | 世界史B |
公共 | 現代社会 のようなもの |
理系生にとって選択肢の狭まらない社会選択とは?
旧課程において、理系生は「世界史B」「日本史B」「地理B」「倫理, 政治経済」の4つから1つ選んでいれば、どの大学にも出願できました。一方で「倫理」「政治経済」「現代社会」を選択すると受験できる大学が制限されるといったことがありました。
新課程では、理系生は「地理総合, 地理探求」「歴史総合, 日本史探求」「歴史総合, 世界史探求」「公共, 倫理」「公共, 政治経済」の5つから1つ選べば、どの大学でも受験可能です。
文系生にとって選択肢の狭まらない社会選択とは?
旧課程において、文系生は「世界史B」「日本史B」「地理B」「倫理, 政治経済」の4つから1つ選んでいれば、どの大学にも出願できました。一方で「倫理」「政治経済」「現代社会」を含めてしまうと受験できる大学が制限されるといったことがありました。
新課程では、文系生は「地理総合, 地理探求」「歴史総合, 日本史探求」「歴史総合, 世界史探求」「公共, 倫理」「公共, 政治経済」の5つから2つ選べば、どの大学でも受験可能です。ただし、「公共, 倫理」「公共, 政治経済」の2つを選択することはできません。これは、「倫理, 政治経済」と「倫理」の組合せができなかったのと同じようなものですね。
社会2科目選択する場合の注意点
上記「文系生にとって選択肢の狭まらない社会選択とは?」で紹介した選択の仕方であれば問題ないのですが、他の組合せもOKとしている大学もあります。その場合、禁止されている組合せもありますので、一覧にして掲載しておきます。
地理総合, 地理探求 | 歴史総合, 日本史探求 | 歴史総合, 世界史探求 | 地理総合/ 歴史総合 | 地理総合/ 公共 | 歴史総合/ 公共 | 公共, 倫理 | 公共, 政治・経済 | |
地理総合, 地理探求 | − | ◯ | ◯ | × | × | ◯ | ◯ | ◯ |
歴史総合, 日本史探求 | ◯ | − | ◯ | × | ◯ | × | ◯ | ◯ |
歴史総合, 世界史探求 | ◯ | ◯ | − | × | ◯ | × | ◯ | ◯ |
地理総合/歴史総合 | × | × | × | − | − | − | ◯ | ◯ |
地理総合/公共 | × | ◯ | ◯ | − | − | − | × | × |
歴史総合/公共 | ◯ | × | × | − | − | − | × | × |
公共, 倫理 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | × | × | − | × |
公共, 政治・経済 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | × | × | × | − |
浪人生向けの経過措置あり
浪人生はご安心ください。経過措置があり、「旧世界史A」「旧世界史B」「旧日本史A」「旧日本史B」「旧地理A」「旧地理B」「旧倫理, 旧政治・経済」「旧倫理」「旧政治・経済」「旧現代社会」から、従来通り選択できるようになっています。
ただし、新旧両課程の組合せはできません。
情報Ⅰについて|新課程の共通テストの変更点
「情報Ⅰ」が新設&追加
新たに「情報Ⅰ」という科目が追加されます。試験時間は60分です。
原則、すべての国公立大学で必須科目となりますが、得点化するかや配点は大学によって異なるため注意が必要です。現時点では、北海道大学、徳島大学、香川大学が、受験必須とするものの得点化しないと表明しています。
経過措置?が用意されてはいるが…
浪人生向けの経過措置として「旧情報」も選択可能としているそうです。しかし、そもそも「旧情報」を勉強していないため、実質的には「情報Ⅰ」を新たに勉強しないといけません。
個別試験の経過措置は?
共通テストの変更点や経過措置についてまとめてきましたが、各大学の個別試験ではどうでしょうか?
まず、経過措置を実施するかどうかは各大学の判断に委ねられています。そして、経過措置を実施するかどうかや詳細については、まだ発表していない大学も多いです。
東大はすでに2025年度入試の個別試験の出題教科や科目を発表していますが、浪人生(旧課程履修者)に対しては「出題する教科・科目の問題の内容によって配慮する」と公表しています。各大学によって対応は異なりますので、必ず募集要項を見て各自確認するようにしましょう。
最後に
新課程になりますが「受験は相対評価」という原則は変わりません。
医学部・上位校合格者にとっての”当たり前”を知り、徹底すれば、相対的に不利になることはありません。
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