「地方公立高校から現役合格する子たち」の共通点
素朴な疑問として、地方公立の非進学校から、現役で国公立医学部に合格する子がいる一方、都内の有名中高一貫校に通っても私立医学部に合格できない子がいるのはなぜでしょうか。
それは、教科書範囲の知識に穴があるからです。
実際、都内の有名中高一貫校卒で私立医学部に一校も合格しなかったという子が、松濤舎で網羅系問題集で穴を潰した結果、難関医学部を含む全出願校に合格するケースは非常に多いです。
ここでは、タイルを敷き詰めるように教科書範囲を徹底することの重要性をまとめてます。
「輪郭意識」を持つことからスタート
まず、地方公立高校の特徴は「教科書の範囲内の勉強しかしないこと」「教科書の範囲内でテストが作られるため、日頃の学習は教科書範囲を徹底することにフォーカスできる環境にあること」です。
地方公立高校には国公立大学を目指す人が多いため、教科書範囲を徹底することを当たり前と考えています。国公立大学は原則として、教科書範囲からしか出題されないからです。
このように、教科書範囲を徹底すればいいという「輪郭意識」があります。
東大文系生がよく言うように「どんなに小さい文字で書かれていたとしても、教科書に書かれていることが出題されたら文句を言えない」のような意識を持っているということです。
塾で指定された少数の問題だけ解いても十分ではありません。シンプルに「教科書範囲をすべてカバーできていないから」です。
「教科書範囲を徹底すればいい」という信念を持つことから、学習をスタートしてください。
教科書傍用問題集で勉強したらよい
教科書に載っている知識を完璧に身につけることは、教科書傍用問題集で網羅的に演習することと同義です。
実際、地方公立高校の定期テストは、教科書傍用問題集から出題されるように設計されています。
つまり彼らは、高校3年間をかけて教科書範囲の知識を徹底しているのです。
難関医学部生こそ「チェックシート」で網羅している
たとえば、ある地方公立高校から東京医科歯科大学に合格した子は、自分でチェックシートを作り、解けた問題番号にチェックを入れ、すべての問題をしらみつぶしにしていました。
一覧になっているので、どの問題がまだ解けていないか、ひと目でわかるシートです。
こうした徹底的な学習は、傍からは見えません。どの高校に通っているか、どんな問題集を使っていたか、どの塾に通っているかなど、表面的なことにばかり注目しがちです。
しかし、本質は教科書傍用問題集をしらみつぶしにやり、教科書範囲は徹底したという事実を手に入れたことが重要なのです。
教科書範囲でいいから、モチベーションが続く
「無限に知識を入れないといけない」より「上限のある知識を入れる」のほうが圧倒的にやる気になります。
実際、松濤舎では「国公立医学部に行きたければ、数学は700問でいい」と伝えています。
Focus Goldや青チャートには全1,000例題が載っていますが、そのうちのレベル3の問題までで約900問あり、そのうち8割がたの問題が解ければ、偏差値65が出ることがわかっているからです。
このように、制限があるからこそ、しらみつぶしに徹底できるのです。
あらゆる科目において教科書範囲が上限であり、それを超えるものはやらずともほとんどの大学に合格できます。少なくとも、教科書範囲を超えた勉強の優先順位が低いのは明らかですね。
知識か思考かの線引き
教科書範囲の知識では足りないと思うかも知れません。
しかし、教科書範囲の知識を入れるだけでも、非常に時間がかかります。なので、教科書範囲を入れずしてそこから外れた勉強をすることは非合理的であるということと、心配しなくても教科書範囲だけ徹底すれば偏差値65を確実に超えることができ、ほとんどの大学に合格できます。
また、知識は教科書範囲でよいのですが、それを運用しなければなりません。
まさに東大などがそうです。知識は教科書範囲で十分ですが、それを真に理解していなければ解けないような出題ばかりされます。
東大に限らず、多かれ少なかれ大学受験とは「タイルを敷き詰める学び」の延長線上に合格があるのです。
「教科書範囲を徹底した自分が難しく感じる=捨て問」の判断
教科書範囲を徹底したという自負があれば、自分の感覚で「捨てる・捨てない」が判断できるようになります。
教科書範囲を徹底したという感覚が持てていない人は「もしかしたら解かないといけない問題なんじゃないか」と考え、捨てていい問題にも手を付けてしまう。あるいは、粘ってでも解かないといけない問題を、すっぱりと諦めてしまう。
このような致命的な状態に陥ってしまうのです。
「雰囲気で解いてきた、なんとなくで解けた」が一番恐い
”なんとなくの勉強”をしてきた人は、「雰囲気」で解いていたり、正解していてほしいという「願望」を込めた答案を作っていることがわかっています。
立脚すべき知識がないから、勝手に「こうなんじゃないか」と、やってはいけない操作をしたり、憶測で論述を書いてしまいます。これではまったく点になりません。
結局、タイルを敷き詰めるように勉強し、制限ある知識の中で正解を導かなければならないのです。
どんなに簡単な問題も”初見”は難しい
教科書範囲からの出題とは言え、どんな問題も初見では難しいです。
実際、数学が比較的得意な私でさえ、Focus Goldや青チャートのような問題集は、1周目の正答率が2割ほどでした。
だから、事前に網羅的に問題が解けるようにしておくことが重要なのです。
教科書傍用問題集に載っているような典型的な問題は、入試ではそのまま出題されません。それさえ解けないのに、入試問題でひねった出題をされて解けるはずがありません。さらに、入試問題は教科書傍用問題集に載っている問題の組み合わせか、そこから得た学びがある前提で出題してきます。
教科書傍用問題集を穴なく徹底しておくことは、大前提中の大前提なのです。
私立大学にこそ有効
私立大学を受験する人ほど、教科書範囲の徹底をしてください。
教科書範囲を徹底した人だけが、歪んでいない選球眼を身につけることができ、私立大学の難問・奇問を正しく捨てることができるのです。
国公立大学志望の人が私立併願校に合格する一方で、私立専願の人ほど一校も合格できない場合があるのは、国公立大学に向けた勉強をする過程で、教科書範囲という輪郭意識が形成され、正しい判断軸ができるからです。
大学受験は最終的に、いかに高得点を取るかではなく、いかに捨てるかが論点になります。
特に、私立大学は制限時間が非常にタイトなので、問題の取捨選択がもっとも重要なのです。
だから、タイルを敷き詰めるように学ぼう
以上をまとめると、限られた教科書範囲を徹底すること、そのために教科書傍用問題集を利用すること、私立大学こそ教科書範囲の徹底が重要だということ、教科書範囲の知識を徹底したという自負があるからこそ、問題の取捨選択を誤らないことをわかっていただけたことでしょう。
地方進学校生は今のまま、定期テスト対策を主軸に問題集を徹底し、模試で偏差値を取っていくという学習を継続すれば問題ありません。
松濤舎でもこの方針で指導しており、毎年多くの合格実績を出しています。