対象
地方の公立高校を受験する中学生に向け記事となっています。
高校生が読んでも学びが多い
高校生にとって、中学時代にやっておくべきだった勉強方法は直接的には役立ちません。終わったことですから。
しかし、「中学でもっとうまくやる方法があったなら、高校でも同じように効率的に勉強する方法があるはず。高校では1年生のうちから正しい勉強方法で勉強しよう」と思うことができます。
もし高校生が本記事を読んでいるとしたら、読後は「高校からでも十分に挽回できる」という、前向きな気持ちになってもらえたら幸いです。
中学生の勉強の原理
まずは原理原則を押さえましょう。
中学生の勉強の原理①|高校受験では教科書範囲外からは出題されない
公立高校の受験では、教科書範囲内からしか出題されません。逆に言えば、教科書に書いてあることは何が出題されても文句が言えないので、徹底する必要があります。
だからといって教科書をただ読むだけでは内容が入ってきませんし、実際にどのような問題が出題されるかがわからなければ、勉強をしたことになりません。
中学生の勉強の原理②|教科書準拠問題集を徹底する
上記から導き出される結論は、教科書の出題範囲を、問題演習形式で勉強することが重要だということです。
そうした勉強に適しているのが教科書準拠問題集です。
『教科書トレーニング』(新興出版社啓林館)または『教科書ワーク』(文理)で、教科書に準拠したものを購入しましょう。
教科書準拠問題集に載っている問題がすべて、手を止めずに解けるように勉強することが中学時代の勉強の軸です。1冊1,000円ほどですので、経済的かつ効率的に勉強ができます。買わない手はありません。
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中学生の勉強の原理③|定期テスト対策は、受験勉強も兼ねている
教科書準拠問題集は、定期テスト対策として使用します。
しかし、定期テスト勉強は、受験勉強にもなっています。理由は初めにお伝えしたとおり、公立高校の高校受験では教科書の範囲以上は出題されないからです。なお、定期テスト対策は14日前からは開始すればよいでしょう。
中学生の勉強の原理④|丸暗記より、理解しながら覚えた方が記憶に残る
小学校時代はそこまで暗記が求められませんが、中学校では少なくない暗記が求められます。記憶の仕方を間違えてしまうと、勉強自体に苦手意識を持ってしまいがちですので、中学生のうちから記憶に対する正しい認識を持ち、正しい方法で暗記する必要があります。
中学生の勉強の原理⑤|作業記憶から長期記憶へ
記憶には、作業記憶と長期記憶という2種類があるということを知っておく必要があります。
作業記憶とは、情報を処理するために一時的に情報を記憶しておく場所です。例えば文章を読んでいるとき、前に読んだ文字や内容を一時的に記憶しておかなければ前後関係が掴めず理解できないですよね(一文字読むたびに忘れてしまう場面を想像してみてください)。
情報はまず、この作業記憶に一時的に保存されます。そのため、作業記憶に一時保存された情報は、長期記憶に移す必要があるのです。作業記憶はあくまで情報を処理するための場所であるため、記憶容量が小さく、そのままでは十数秒で忘却してしまいます。
作業記憶に入った情報は、長期記憶に移さなければなりません。長期記憶の方は容量オーバーになることはないと言われています。そのため、受験勉強では、いかに長期記憶に情報を移動させるかがポイントとなるのです。
長期記憶に移すためには覚える段階で工夫が必要だということが知られています。例えば、単に繰り返しインプットしても長期記憶には移されないことがわかっています。これを知らず、ただ繰り返し読んだり、ノートに繰り返し書く勉強に届いまり「頑張ったのに成績が伸びない。自分は勉強が苦手なんだ」と無気力感を抱いてしまうことは避けなければなりません。
中学生の勉強の原理⑥|長期記憶へ情報を移すためには、暗記する段階で工夫が必要
長期記憶するための工夫は、大きく分けて2種類あります。
一つ目の精緻化です。精緻化とは、簡単に言うと自分の知っている知識と紐付けること。記憶に対して抱くイメージは「空っぽの容器の中に知識を入れる」というのが一般的ですが、実は間違えています。実際は「既有知識の木に、新しい知識を紐付けていき、より大きな木にする」イメージです。
つまり、新しい知識を得るためには、すでに持っている知識(既有知識)と関連させることがポイントなのです。
自分の知っている事柄で喩えたり、知っている知識との類似点・相違点を意識したり、自分の言葉で言い換えたり、ゴロで覚えたりすると、長期的に記憶しておけるようになるということです。
もう一つの工夫は、体制化です。体制化を言い換えれば「整理すること」と言えます。因果関係を明確にしたり、情報どうしの関係性を構造化する方法です。簡単に言うと、次のように整理することです。
<暗記をする際の工夫>
‐精緻化
>自分の知っている事柄に喩える
>既有知識との類似点、相違点を意識する
>自分の言葉で言い換える
>ゴロで覚える
‐体制化
>リストブロックを選択
>因果関係を明確にする
>情報の関係性を構造化する
このような工夫を面倒くさいと思いますか? 工夫をすれば長期記憶できるようになるということは、記憶力というものが先天的に決まっているわけではないという意味でもあります。後天的な工夫によって記憶はどうにでもなるということは、希望なのです。
中学生の勉強の原理⑦|検索練習をする
長期記憶に移動した情報はそのまま長期的に保持されるのですが、ただ保持されていても取り出されなければ意味がありません。
人間は、この検索するという過程がとても苦手だと言われています。
記銘、保持された情報を取り出せるよう、普段から問題演習形式、アウトプット重視で勉強していく必要があります。繰り返しになりますが、教科書準拠問題集を使って問題演習形式で勉強していくのが効果的ということです。
中学生の勉強の原理⑧|過去問を使い、苦手教科の穴埋めに十分時間をとる。
教科書準拠問題集を使った勉強に加え、高3の夏以降は、自身の所属する自治体の過去問集を用いて応用問題への対策をします。
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さらに仕上げたい、万全を期したい、ということでしたら、全国の公立高校の過去問集(1年分)を解くと良いでしょう。ただし、これ以上は不要です。
教科書準拠問題集がきちんと勉強できていれば、9割以上は取れるはずです。とれなければ教科書準拠問題集のやりこみが足りないので、十分に復習してください。
中学生の勉強の原理⑨|教科書・ノートは辞書代わりに使う
教科書やノートは、辞書代わりに使います。わからないことがあった調べましょう。
中学生の勉強の原理⑩|その他、お役立ち教材
次の2点の教材もお勧めです。
『まんが攻略BON!』シリーズ
その名の通り、マンガの参考書です。簡単な予習や苦手意識のある教科でひと通り目を通すと、全体観が掴め、学習効率が上がります。導入にお勧めです。
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『出るナビ』シリーズ
テスト形式で、テストに出やすいところや要点を確認できます。定期テスト前や高校入試前に確認することで即点数に繋がります。
中学の勉強で押さえるべき、各科目の勘所
科目ごとに押さえるべき勘所があります。勘所を意識して勉強することで、努力を効率的に成績に反映させることができます。
中学英語で押さえるべき勘所
単語暗記と構文暗記が英語の勘所です。
教科書に載っている単語のうち覚えるべき単語を、すべて覚えましょう。また、例文として紹介されているものもすべて暗唱します。あとは教科書準拠問題集で、文法系問題が解ければ問題ありません。
追加で購入するのであれば単語帳です。『中学英単語 MAX2400』は主要な英語教科書6冊を研究し、最大公約数の英単語を掲載しています。2,400語を掲載している単語帳は他にはなく、紙面も見やすいのでお薦めです。
英検受験も推奨
中学時代は時間があるので、英検受験をしておくのも良いでしょう。
大学受験では英語力が大変重視されているということと、英語4技能が重視されて外部検定の活用が進むため英語はできるだけ進めておいたほうが良いです。
難関大学を受験する場合、高校時代に準1級取得すると良いです。そのため、もし中学時代に準2級(高校中級程度)、2級(高校卒業程度)まで取れていたら大変なアドバンテージになります。
英検2級までは、「公益社団法人 日本英語検定協会」が公式運営しているスタディギアで対策できるので、最大限活用してみてください。
教材を購入するのであれば、もとの運営母体が同じだった旺文社のものを購入すると良いです。『でる順 パス単語』シリーズと、『過去問』シリーズは購入するとよいでしょう。
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中学数学で押さえるべき勘所
よく出題される問題を典型問題と言いますが、典型問題を網羅的に、事前にできるようになっておくことが、数学の勉強でもっとも重要です。
典型問題は本質を問う問題なので、入試問題は典型問題の類題になるか、典型問題に帰着できます。典型問題は教科書準拠問題集に載っているので、教科書準拠問題集をやるだけでOKです。
中学理科で押さえるべき勘所
理科は、あらゆるシチュエーションでの実験や問題をあらかじめ解いておくことがポイントとなります。教科書準拠問題集をやり、高3になったら過去問で様々な問題を解いたらOKです。
中学社会で押さえるべき勘所
因果関係を掴み、流れを暗記することがポイントです。単純暗記するより有意味暗記したほうが長期記憶できることが知られています。教科書準拠問題集をやりながら、流れを整理していきましょう。
中学国語で押さえるべき勘所
日本語が読めるからと言って、国語で良い点数が取れるとは限りません。
国語には正しい読み方・解き方というものがあります。中学生向けに書かれた国語の読み方本はないのですが、高校生向けにはたくさん出版されています。中学生でも十分読めるレベルなので、中学生のうちに読んでおくとよいでしょう。
松濤舎に現代文の指定教材はなく、以下の「レントゲン読解法」を習得してもらっています。これは中学国語にも通用する読み方なので、是非今から身につけてみてください。
[!]公立高校の受験に塾は不要
公立高校受験をする人にとって、塾は不要です。
とにかく教科書準拠問題集が解けたらいいのです。わからないことがあったら学校の先生が答えてくれるでしょう。
高校に入ったとき「中学校時代に塾に通っていたのだから、さらに難易度が増す高校では絶対に塾に入らないとついていけない」という誤った認識を持つリスクもあります。「勉強は塾に行って人に教わるもの」という認識を持ってしまうのは、塾に通う大きな弊害です。
高校から逆転することは可能
高校の勉強は中学校と比較して、量は増え、難易度は上がります。だからこそ、高校からの逆転は可能になります。
中学校時代は勉強すべき量が少なく難易度も低いため、効率の悪い勉強をしていても、塾に行くという効率の悪い勉強をしていても問題ありませんでした。
一方、高校では勉強量が増え、難易度も格段に上がります。そのため、机に向かって問題演習を積むという努力できるか、勘所を外さず本質的な勉強とは何かを見抜けるかがポイントになります。そのため、
・進学校に入ったもののやる気が起きず、高3まで勉強しない子
・自律的な学習ができず、受講型の塾に通って問題演習を積まない子
を追い抜くことができるのです。
まとめ
上記のように、公立高校を目指すのであればやるべきことは相当限られています。
同じことが大学受験でも言えます。高1の時点で大学受験の仕組みを知り、全体像を把握し、要点を押さえ、戦略的に対策しておけば、無駄なく大学受験対策ができるのです。
正しい情報がなかったというだけで高校3年間を非効率的に過ごしてしまわないよう、松濤舎のホームページを参考にしながら勉強していっていただけたらと思います。
松濤舎では、努力できる生徒に、無駄なく勉強してもらえるような指導を提供しています。ご興味のある方はお問い合わせから、お気軽にご相談ください。
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