前提:復習までの間隔はできるだけ空ける
数学に限らず、全科目において復習間隔はできるだけ空けるのが勉強の鉄則です。短期的に同じ問題を繰り返すことを集中学習といいますが、集中学習は短期記憶にしかならないことが科学的に知られているからです。
一方、分散学習が長期記憶につながることも科学的に知られています。
分散学習は単純暗記系では特に有効なのですが、数学などの理解系科目でも有効です。それは、長期間覚えておこうと強く意識するようになるからです。
長期間覚えておくためには、解説をすべて頭に入れようとしてはいけません。「その問題はどんな知識があったら解けたか?」を考え、その知識だけを頭に入れていくのです。
たいていの典型問題は1問につき2~3個の知識があれば解けます。解くのに必要な2,3個の知識を解説から見つけ出し、頭に入れていきます。
「どんな知識があったら解けたか?」を考えよ
数学は知識があれば解けます。センスは不要です。
数学の知識は「この文言が出てきたら、こう式を置く」「この形の式が出たら、こういう変形する」といったIF-THENの形(もし〜だったらこうする)で頭に入れていきます。
具体的に例題を使って解説しましょう。
例題
nは自然数とする。n+2が5の倍数、n+1が6の倍数であるとき、n+7は30の倍数であることを証明せよ.
Focus Gold 1A 例題239
この問題は、下記の2つの知識(IF-THENの形)があれば解けます。
知識その1
知識:◯の倍数とあったら、◯k(ただしkは整数)と置く
具体:n+2が5の倍数とあるから、n+2=5k(ただしkは整数)と置く
知識その2
知識:◯の倍数であることを示すには、その因数の倍数であることを示せばいい
具体:30の倍数を示すには、5の倍数かつ6の倍数であることを示せばいい
いかがでしょう、たった2つの知識であれば覚えておけそうだと思ったはずです。
自分なりの攻略法を探す姿勢で解説を読もう
残念ながら、問題集には知識がIF-THENの形で明示されていることは少ないです。
よって、レントゲン写真を撮って骨子を見抜くように、問題集の解説に隠れた知識(IF-THEN)を各自で見抜いていかなければなりません。
例えば、『Focus Gold』なら例題のすぐ下にある「考え方」や解説の最後に載っている「Focus」に、その問題を解くのに必要な知識が書いてあります。
こうした解説を、自分でIF-THENの形に直して、頭に入れていくのです。
大事なのは、間違っていてもいいので自分なりに攻略法を見つけ、頭にいく姿勢で勉強することです。
解説をただ漫然と読むのは効率が悪い
数学は「解法暗記しなさい」と言われますが、解法暗記というと解説を全部頭に入れることだと勘違いしている人が多いです。
残念ながら、あれほど長い解説を1ヶ月も覚えておくことはどんなに数学が得意な人でもできません。
逆に、数学が得意な人ほど「数少ない汎用性の高い知識」が頭に入っているということを忘れてはなりません。
例題を再掲
さて、先ほどのご紹介した例題を再掲します。
nは自然数とする。n+2が5の倍数、n+1が6の倍数であるとき、n+7は30の倍数であることを証明せよ.
Focus Gold 1A 例題239
いかがでしょう? たった2つの知識であれば覚えられていたはずです。
このように、典型問題を通し、その問題を解くのに必要な知識(IF-THEN)を入れていこうとすれば、解法を長く覚えておけるのです。
結果、復習する回数が減り、学習効率が圧倒的に上がり、成績が短期間で飛躍的に向上します。
初見の問題を解くときは、問題文をよく観察せよ
定期テストや模試、入試で初見の問題を解くときは、問題文中の文言や式の形をよく観察してください。
問題文中に必ずヒントが隠されているからです。
問題文中の文言や式の形と、自分の持っている知識「もし〜という文言があったら、こう式を置く」「もし〜という式の形をしていたら、こう式変形する」とを照らし合わせて解いていく、ただそれだけです。
典型問題を通してIF-THENの形の知識を増やし、体系化し、解ける問題を増やしていきましょう。