
概要
松濤舎では、現役生の指導においては必ず、学校の進度や課題、指定教材、定期テストの返却結果、校内実力テストなどを把握しています。なぜなら、これらには生徒の知識量を把握するのに決定的な情報を含んでいるからです。
こうした生徒の状況把握を通し、学校から出されている無意味な課題、非効率な課題が多いことに気づきました。
現役生は時間が限られています。学校の課題は効率よくこなす必要があります。
また、そもそも学校の課題を要領よくこなせばいいわけではありません。学校の間違った課題を放置すると、誤った学習観を持ったり、誤った勉強法に繋がってしまう危険性があります。
例えば、英語で「全訳してきなさい」という課題が出されたとします。生徒は当然、全訳することが英語力を向上させると考えるでしょう。もしかしたら、宿題以外の英語の勉強も、すべて全訳しようとするかもしれません。
しかし、全訳は英語の直読直解を妨げ、誤った英語観を植えつけます。日本語を介して理解するのではなく、英語をそのまま理解に繋げるために大量のインプットをすることが正しい英語学習なのです。
このように、誤った課題をそのまま放置することは危険なのです。
それでは、各教科でよく出される非効率な課題と、非効率な理由、正しい学習について下記に列記していきます。
数学
教科書を予習させる or 教科書の問題を自力で解いてこさせる
予習ができるのであれば、授業を受ける必要はありません。教科書は「授業中に先生が補足することを前提」として作られているため、予習には向いていません。
「予習するのとしないのではどっちのほうがよいか?」と聞かれたら、それだけ切り出せば「やったほうがいい」という答えになるでしょう。しかし、予習するくらいなら授業で習ったことを復習したり、問題演習を通して定着させることに使うべきです。先生は往々にして、自分の教科を優先させた課題を出しがちですが、時間は限られたリソースであることを認識していないと思われます。
それに、予習は大変ストレスフルです。学習効率の低い予習に時間をかけて勉強自体が嫌いになってしまったら元も子もありません。
問題集のワーク(ノート)提出
例えば『Focus Gold』のワーク(ノート)を記入させて提出する、といった課題を出している高校があります。そもそも問題集は繰り返し解くことで定着させなければ、全く意味がありません。
「提出課題を出さなければやらない」という気持ちはわかりますが、1回書いて提出させることにどれだけ意味があるでしょうか、もちろんほぼないです。また、そんな意識の低い生徒に合わせた課題を、ちゃんとやっている人が付き合わされていることに課題意識を持つべきです。
4STEP、4プロセス、サクシードなどの計算問題集だけが出題範囲の定期テスト対策
多くの高校で、4STEP、4プロセス、サクシードなどの計算問題集だけが定期テストの出題範囲になっています。しかし、これらの問題集は計算問題・基本問題しか扱っていないので、これだけで到底、医学部・上位校には足りません。
これらは授業中や休み時間にさっさと終わらせましょう。定期テスト対策期間中に行うものではありません。
『オリスタ』『スタンダード』(数研出版)などの難問題集の解説授業
4STEP、4プロセス、サクシードなどをメインに使わせる割に、高3に入ると『オリスタ』『スタンダード』を予習で解かせて授業中に解説するといった授業を展開する高校も多いです。
そもそも『オリスタ』『スタンダード』は1%の優秀生を除き、オーバーワークなのでやる必要はありません。残り99%は『Focus Gold』などの網羅系問題集をやるべきです。
そもそも下のレベルに合わせた指定問題集
進学校でも『ニューレジェンド』(東京書籍)などの黄色チャートレベルの問題集が指定されていることがあります。この問題集を徹底したとしても医学部・上位校に合格できる知識量には満ちません。
英語
全訳させる予習
やたらと時間がかかる割に効果が低く、誤った英語観を身に着けさせるという超非効率な勉強なのでやめましょう。全訳を配り、和訳がわかっている状態でいいので英語を語順通り読んで、日本語を介さず内容が理解できるようにさせましょう。
古文や漢文も然りです。和訳を配り、それを繰り返し読むことのほうが効率的です。
小テスト
週何回かの単語・文法の小テストはほぼ全員が一夜漬けになっているのでやめましょう。大事なのは自ら繰り返し問題演習できるよう、フラッシュカードを配るなどツールと方法論を提供することです。
まとめ
学校の課題って前からこういうもの、という考えで惰性で出された課題が多いのが現状です。小テスト然り、予習然り、ワークの提出然り、です。
もちろん、学校は平均や中央値に合わせた課題を作成しなければならない事情は理解していますが、それによってしっかり勉強している生徒の勉強時間を無駄に奪っているという事実にもきちんと目を向けるべきです。
しっかり勉強している生徒は、これらを踏まえて無駄な課題を上手に受け流し、重要な学習に時間を使ってほしいと思います。
「【決定版】非効率な学校課題の事例と対策」に関するQ&A
- 学校の課題が非効率な理由は何ですか?
- 学校の課題は、進度や教材に基づかず、無意味なものが多く見受けられます。生徒の時間を奪い、誤った学習観を育む危険性があります。
- 数学の予習は本当に必要ですか?
- 数学の予習は、授業の補足を前提に作られた教科書に対して不適切です。授業後の復習や問題演習に時間を使う方が効果的です。
- 英語の全訳課題はどのような問題がありますか?
- 英語の全訳課題は、誤った英語観を植え付けることが多く、直読直解を妨げます。英語をそのまま理解するためのインプットが重要です。
- 小テストの頻度はどのくらいが理想ですか?
- 小テストは頻繁に行うと一夜漬けになりがちです。自ら繰り返し問題演習できる環境を整えることが重要です。
- 問題集の提出課題にはどんな意味がありますか?
- 問題集の提出課題は、単発の学習に過ぎず、繰り返しの定着が求められます。意味のない提出は学習効果を低下させます。
- 学校の課題をうまく受け流す方法は?
- 無駄な課題は、重要な学習時間を確保するために、優先順位をつけて取り組むことが大切です。効率的な学習法を見つけましょう。
- どのような問題集を使うべきですか?
- 難関大学を目指す場合、網羅系問題集を中心に使用し、基礎問題集は授業中に済ませるのが効果的です。
- 学校の課題が生徒に与える影響は?
- 無駄な課題は生徒のモチベーションを低下させ、誤った学習法を身につける原因となります。適切な課題設定が求められます。
- 効率的な英語学習法は何ですか?
- 英語学習では、和訳を配布し、英語を語順通りに読むことが効果的です。日本語を介さず理解する力を養うことが重要です。
- 学校の課題を見直す必要性は?
- 学校の課題は、平均的な生徒に合わせたものであり、しっかり勉強している生徒の時間を無駄に奪うことが多いです。見直しが必要です。