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【決定版】模試の効果的な受け方|時間配分・復習法・判定の読み方まで

模試は、自分の学力を客観的に測り、「今何をすべきか」を教えてくれる唯一のデータです。しかし、ただ受けるだけでは意味がありません。この記事では、模試の受験前・当日・受験後にやるべきことを、松濤舎が塾生に実際に指導している内容そのままに解説します。

模試受験前

模試の出題範囲を高い習得レベルに保っておく

模試の出題範囲を高い習得レベルにした状態にすべくスケジュールを立てるのが、受験勉強の基本戦略です。

一度解けた問題も復習しなければ忘れていきます。つまり、習得レベルが徐々に下がっていくということです。よって、模試前には一度解けた問題も復習する必要があります。

なぜ模試前に習得レベルを高い状態にしておく必要があるかというと、時間制限がある中で問題を解く練習をするためです。習得レベルが低い状態で受験しても、限られた時間の中で問題選定をしたり、素早く処理をする練習ができません。また、理解の浅い分野を見つけることも模試の目的の一つですが、習得レベルが低い状態で受験しても「できなかった、なぜなら問題集の習得レベルが低いから」という当たり前の結論に至るだけで、知識の穴は見つけられません。

模試の7日前から、過去に解けた問題も復習する

普段の勉強では、一度解けた問題(○マークの問題)は復習の優先度を下げ、まだ解けない問題(×マークの問題)に優先的に取り組みます。分散学習のほうが長期記憶に繋がることが科学的にわかっているからです。

しかし、模試の7日前になったら、過去に一度解けた問題も復習しましょう。○マークの問題が実際に解ける状態で模試を受けるからこそ、模試を通じて色んなことがわかります。すべてを7日間で復習しきることは不可能なので、×マークが多い問題を優先してください。

模試当日:時間配分と解く順番の戦略

模試当日は、パフォーマンスを意識します。いくら知識量があっても、当日それを発揮できなければ意味がないからです。最初の30秒で全体の問題数を確認し、時間配分を決めます。

ここでは、松濤舎が塾生に指導している全統記述模試の時間配分の目安を公開します。

英語の時間配分:知識系→英作文→長文の順に解く

英語は、問題タイプごとに1問あたりの時間を決めておきます。

問題タイプ時間の目安
簡単な文法選択問題1問30秒以内
整序など時間のかかる文法問題1問1分
和文英訳(40〜50字程度)10〜15分
自由英作文(120字程度)15〜20分
長文中の和訳問題1問3分
長文中の英訳問題1問4分
長文の選択問題残り時間すべて

解く順番は、①知識系(文法)→②英作文・英訳→③長文が定石です。

長文を最後に残す理由は、長文問題は時間をかけただけ正答率が上がるからです。本文に戻って選択肢を検討する時間はそのまま得点に変わります。上記の時間配分で解いていくと、長文の選択問題に「小問数×2〜3分」程度が残る計算になっていれば適正です。

数学・理科の時間配分:解けそうな問題だけに手をつける

数学・理科の大原則は、解けそうな問題にだけ手をつけ、解けなそうな問題・時間がかかりそうな問題は躊躇なくスキップすることです。

「大問ごとに時間を等分する」というやり方はおすすめしません。わからない問題でスタックすると、使った時間が点数に結びつかないだけでなく、焦りが生じて他の問題にも悪影響が及びます。ハラハラした状態では、落ち着いて解けば解けた問題まで落とします。

まず解ける問題を一通り解ききり、その後に残った時間で、腰を据えて残りの問題に取り組む——これが最適解です。

例外が1つだけあります。数学の「場合の数・確率」です。この分野は全て書き出す・地道に数えるのが最適戦略になることが多いため、スキップ判断になじみません。そこで、場合の数・確率の大問には配点比率分の時間を最初に固定で確保します。たとえば試験時間120分で配点が全体の20%なら、24分をこの大問に割り当て、その枠内であればいくら時間を使ってもよい、と決めておくのです。

詰まったら迷わず飛ばす

問題を解く際にもっとも大事なのは、詰まったら迷わず次の問題に進むことです。それが大問1の(1)だったとしてもです。粘っても思い込みから抜け出せないことが多く、時間を使ったのに解けないと焦り(=サンクコストに囚われ)、さらに状況が悪化します。時間を置いて頭がリフレッシュされた状態で戻れば、難なく解けることも多いです。

模試後にやるべきこと

24時間以内に自己採点をする

模試は終わったらすぐに自己採点と振り返りをしてください。返却までは2週間〜1.5ヶ月かかるので、待っていられません。受験時には、自己採点できるよう問題用紙に解答をメモするか、提出前の解答用紙の写真を撮っておきましょう。

記述模試の自己採点は「やってみる」ことが重要です。解説を読み、採点ポイントを自分で確認することが勉強になります。返却後に自己採点と照らし合わせ、採点の精度を上げていきます。採点メモは問題側でなく解説側に書き込むと、問題を使い回せます。

この、自己採点を「やってみる」が過去問演習に効いてきます。過去問演習で正しく自己採点ができなければ、自身の学力を見誤り、それが原因で落ちてしまうことすらあります。

模試の「解き直し」はしない。問題集に紐付ける

多くの受験生が模試の解き直しをしますが、松濤舎では模試の解き直しはおすすめしていません。模試の問題そのものが解けるようになっても、同じ問題は二度と出ないからです。「解き直せた、だから何?」で終わってしまいます。

代わりにやるべきは、間違えた問題を問題集に紐付けることです。手順は次の通りです。

  1. 模試で間違えた問題の「該当問題・類題」を、普段使っている問題集から探す
  2. 問題集側のその問題が解けていなかった場合→まず問題集側を復習する。類題が解けないのに模試の問題だけ解けるようにはなりません
  3. 問題集側は解けていたのに模試で解けなかった場合→問題集の解説を改めて読み込み、「そこから学べていなかったことは何か」を特定する

入試で求められるのは、初見の問題が解けることです。そのためには大元の知識の理解を深めるしかありません。

松濤舎では全教科で網羅系問題集の指定を行っているため、模試の問題のほとんどが問題集に紐付きます。模試を通して「やるべきことは、目の前の問題集の習得レベルを上げることだけなんだ」という意識を強く持ってください。

習得レベルの見直し

習得レベルと偏差値には強い相関があるので、習得レベルに対して模試の偏差値が低い場合は、習得レベルの自己評価を見直す必要があります。模試は学力を定量的に測れる唯一の機会です。この過程を通して、自身の学力を正しく把握する力(メタ認知力)も向上します。勉強ができない子ほどメタ認知力が低いことが知られており、自分の習得レベルを正確に把握できるようになると、普段の学習効率も高まります。

判定の正しい読み方

D判定・E判定でも志望校は変えなくていい

松濤舎では、模試の判定はほとんど見ていません。特に現役生は、模試の時点で学習範囲の習得が固まっていないことが多く、判定は悪く出がちだからです。

実例を挙げます。松濤舎から東京大学理科二類に現役合格した男子塾生は、第1回の東大オープンも第1回の東大実戦もE判定でした(第2回も同様です)。それでも合格しています。

最後の全統記述模試は10月中旬にありますが、そこから共通テストまで3ヶ月、二次試験まで4ヶ月あります。この期間に演習量を確保すれば、現役生は十分に伸びます。判定に一喜一憂せず、やるべきことに淡々と取り組んでください。

見るべきは判定ではなく「合格者平均偏差値」

判定はあてになりませんが、偏差値でだいたいどの受験層にいるかはわかります。出願校を検討する際は、ボーダー偏差値や判定ではなく、合格者の平均偏差値と自分の偏差値を比較してください。層がわかれば、統計的にどのくらいの偏差値の大学に合格可能性があるかは判断できます。

なお、模試で試されるのは基本問題・典型問題なので、ボーダー偏差値を超えることは合格の必要条件にはなれど、十分条件にはなりません。

記述模試の偏差値から、共通テストの得点は予測できる

松濤舎の塾生データでは、記述模試の偏差値と共通テストの得点には相関係数0.8という強い相関があります。

科目別の散布図と回帰直線は下図の通りです(横軸:全統記述模試の偏差値、縦軸:共通テストの得点)

これが意味するのは、共通テストの点数を決めるのは記述力(=問題集の習得レベル)だということです。だからこそ、夏の共テ模試の点数が低くても慌てて共テ対策に走る必要はなく、記述模試の偏差値を上げることに集中すべきなのです。松濤舎ではこのデータを使って、記述模試の偏差値から取得可能な共通テスト得点を算出し、指導に活用しています。

模試の過去問はやるべきか

手元にあるなら、やった方がいいです。模試は良問が多く、解説も丁寧に作られています。「模試対策」としてではなく、出題範囲の理解確認・知識の穴や勘違いのあぶり出しとして優れた教材です。松濤舎でも全統記述模試の過去問はよく活用しています。

特に東大・京大などの冠模試の過去問は、赤本より優先すべきです。理由は次の通りです。

  • 本番の過去問の類題はもうほぼ出ませんが、模試の過去問の類題は本番に出る可能性が残っています。
  • 出題形式を研究して作られており、セレクション(選抜)要素の強い本番過去問に比べ、解いて学びが得られる教育的要素が強い問題が多いです。
  • 本番の過去問は消化するともったいないので、早いタイミングで形式に沿った練習をしたい場合は模試の過去問が適しています。

直近数年分はAmazonや書店で購入できますが、それより古い年度はメルカリ・ヤフオク等で探すしかありません。価格が高騰することもあるので、必要な人は早めに入手しておきましょう。

受験すべき模試

浪人生、再受験生

河合塾が主催する全統模試をすべて受験してください。全統模試は受験者層のバランス、問題のバランスから、実力を測るのにもっとも適しています。志望校のオープン模試(河合塾、駿台)が開催されている場合はそちらも受験してください。ただし、医学部志望であっても医進模試を受験する必要はありません。

なお、模試の受け方そのものに浪人生と現役生で違いはありません。本質は同じです。

高3生

学校で受験する模試が多いため、個別の対応が必要です。すでに学校で月1回模試を受けている場合は追加しないでください。ただし、志望校のオープン模試(河合塾、駿台)は優先的に受験しましょう。

8月末の第2回全統記述模試と、10月中旬の第3回全統記述模試は特に重要です。この2回のデータが、出願校選びの精度を大きく左右します。

高1、2生

河合塾の全統模試を学校で受験しない場合は、個別で申し込んで受験してください。受験日に部活動等があっても申し込みだけしておき、後日郵送された際に自宅受験しましょう。

模試を受験しないことによる損失は非常に大きい

模試を受験しないことによる損失は大きいです。限られた時間の中で処理をする練習の機会、苦手分野を見つける機会、客観的に自分の学力を把握する機会、出願校選びの精度を上げる機会、勉強スケジュールを修正する機会…等々を失うことになるからです。

ただし、模試を受験しさえすれば成績が上がるわけではありません。指定問題集の習得レベルが目標に達していない状態で休日2日間を模試に費やすくらいなら、その回はスキップし、次回の模試に万全の体制で臨むことを優先しましょう。

注意:模試の解き方で過去問演習しない

一定以上の学力がある人は模試では満点を目指せるため、「捨てる練習」ができなくなります。これは入試本番ではマイナスに働きます。模試でパフォーマンスを上げることはできますが、過去問演習で「捨てる練習」をすることも同時に必要です。

「模試の効果的な受け方」に関するQ&A

模試の時間配分はどう決めればいいですか?
英語は問題タイプごとに1問あたりの時間を決め、知識系→英作文→長文の順に解きます。数学・理科は解けそうな問題だけに手をつけ、詰まったら躊躇なくスキップします。例外は数学の場合の数・確率で、配点比率分の時間を固定で確保します。
模試の復習は解き直しをすればいいですか?
解き直しはおすすめしません。間違えた問題を問題集の類題に紐付け、問題集側の理解を深めることに時間を使ってください。入試で求められるのは初見の問題を解く力です。
E判定でした。志望校を変えるべきですか?
判定だけで変える必要はありません。東大オープン・東大実戦がE判定から東大理二に現役合格した塾生もいます。最後の記述模試から二次試験まで4ヶ月あり、その間に十分伸びます。
判定の代わりに何を見ればいいですか?
合格者平均偏差値と自分の偏差値の差を見てください。また、記述模試の偏差値からは共通テストの得点も予測できます(松濤舎の塾生データで相関係数0.8)。
模試の過去問はやるべきですか?
手元にあるならやるべきです。特に東大・京大の冠模試の過去問は、類題が本番に出る可能性が残っている分、赤本より優先度が高いです。
自己採点はいつすべきですか?
24時間以内です。問題用紙に解答をメモするか解答用紙を撮影しておき、解説を読みながら採点ポイントを自分で確認してください。