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【決定版】多読多聴の効果

本記事は、サポートスタッフ(東大英語90点オーバーで現役合格)が行っていた多読多聴法についてまとめた記事で、多読多聴がいかに重要であるかがわかる内容になっています。

本書を通し多読多聴という本質的かつ効率的な英語学習法の重要性について知っていただけたらと思います。

はじめに|英語多読多聴が東大対策に

私は中学2年生の頃からおよそ4年間、塾で多読を続け、英語を武器に志望大学に受かることができました。また、それまでの蓄積のおかげで受験期に英語にかける時間が少なくすみ、苦手な数学や社会科目に時間をたっぷりとまわせたことも合格の要因だと思います。

ここでは実際に私がどのような指導を受けてきたのか、どう勉強してきたのか、そして実際に読んだ本をご紹介します。

実際に受けてきた英語多読多聴の内容

①8割程度の理解力で、英語のまま読める本を読む

“英語の本を英語のまま理解する”ことは多読においてとても大切です。

例えば英語の先生に‘Hi!’と言われれば、すぐに‘Hello!’などと返せると思います。わざわざ頭の中で、「‘Hi’は‘やあ’という意味だから、私も挨拶を返さないといけない、‘こんにちは’は英語で‘Hello’だからそう言おう」なんて考えないわけです。

しかし、文章が長くなり構造が複雑になると、このように日本語を介さないと理解できない人が多いのではないでしょうか。何度も読み返したり、辞書を引いたり、文法をおさらいしないと意味が掴めない…これは、受験の長文読解でも相当な時間のロスになります。

どんな文章でも、読んだ瞬時にその様子が頭に思い描けること、これが、“英語のまま理解すること”です。これを達成するために、簡単な本から始めて“英語のまま理解すること”を習慣づけていきました。

私が1番初めに読んだ本はOxford Reading Treeというイギリスの幼稚園生向けのシリーズ絵本です。わずか32語しかありませんが、確実に英語のまま理解できます。そういった本から徐々に難易度を上げていき、高校3年生になると、13万語の本を英語100%日本語0%で読めるようになりました。

(東大入試の英語は、リスニング含め全体で5000語あるかないかだそうです。10万語前後の本を当たり前のように読める状態になってしまえば、長文読解も長文ではなくなってしまいますね)

②分からない単語はいちいち調べずに推測する

①とセットで、知らない単語を前後の流れから推測することも大切です。

知らない単語は覚えるべきだから、いちいち調べた方がいいのではないか、と疑問に思う人もいるかと思います。しかし、①で述べた様になるべく日本語を介さないで読みたいですし、何より調べる行為は物語の流れを止めてしまいます。

また、情報への処理が深くなるほど記憶として促進される、と言われています。短期記憶にある情報は「他の知識と結びつけたり構造を理解しながら反復すること」で長期記憶に組み込まれていきます(引用元:コトバンク)。すぐに辞書で調べるよりも、似た単語がないか考えてみたり、ポジティブな意味なのかネガティブなのかを考えたり…とこの様な推測を1度挟むことで覚えやすくもなるわけです。

基本的には調べずに推測でどんどん進んでいくことがベストです。私も調べたことはほとんどありません。

私がどうしても調べたくなったときは、一区切りついたところで、自分の推測の答え合わせの様な感覚で辞書を引いていました。

③楽しむ

多読の醍醐味は“生きた英語”に触れられることです。多読で読む本には、英語圏で英語ネイティヴのために作られた本(LR)と、英語学習者向けの本(GR)がありますが、いずれにせよ作家さんがメッセージを込めた文章になっています。これを楽しまないわけにはいきません。

私は5年間多読を続けてきましたが、その間に多読を辞めていく人を見てきました。残念ながら、多読は一朝一夕で点数が伸びる勉強方法ではありません。継続することが何よりも大切です。そして、継続するためには楽しむことが一番ではないでしょうか。

楽しみ方は人それぞれでいいと思います。私は絵本や童話からファンタジーやサスペンスまで、フィクションであれば何でも好きでした。逆にノンフィクションは苦手でどうしても集中力が続かなかったので、基本的に読むことはありませんでした。

私は塾の先生に好みを伝え、どんぴしゃ好きな本を毎回選んでもらいました。今、自分で好きな本を探すのはなかなか難しいことを実感し、その様な環境にいれたことのありがたみを感じています。

どのように英語を多読多聴してきたか

1. 受験期まで

受験期が始まるまでの間は、基本的に上にあげた①②③を忠実に守って多読を続けました。塾で配付された手帳に、毎回読んだ本の記録と感想を書く作業はしましたが、英語の単語帳や問題集を受験期までには買いませんでした。

中学・高校でも単語テストや文法テストは一切なく、より実践的な英語に重きが置かれていました。その分、リスニングやスピーキングの機会は数え切れないほど与えられました

多読でも、始めの1年はCD読みシャドーイングをしていました。CD読みとは、CDのスピードと一緒に黙読する読み方で、シャドーイングとは、CDの音が聞こえた瞬間にその音声を真似しながら音読する読み方です(CDから一瞬遅れながら読むイメージで、CDを無視して自分なりの音読をするのとは異なります)

なお、シャドーイングは割と広い意味で使われているのか、文章を見ながらでもいいと塾で言われました。

ネイティブの抑揚の付け方を真似していると、いかに自分が単調に文を読んでいたか実感できますし、ネイティブの話し方やスピードに慣れることで、リスニング問題への苦手意識もなくなります。

多読のCDは多種多様です。一般的な朗読CDもあれば、ドラマの様に登場人物ごとに声優さんがいて、効果音も入るCDもあります。聴き手を飽きさせないようたくさん工夫されたCDたちのおかげで、CDも込みで多読を楽しんできました。

こういった英語学習の経験から、英語は座学として学ぶもの、というより英語は素敵な物語や人々と出会うツールだ、という意識が強くなっていきました。その結果として、高校1年生の1年間はアメリカ留学をすることにしました(別の話になるので、今回は割愛します)

2. 受験期

私の中で“受験期”が本格的に始まったのは、部活を引退した高3の4月末になります。

塾のカリキュラムで受験勉強対策が始まったのも高3からです。私はそのカリキュラムに乗っかって受験勉強をし、その傍ら高3の12月まで多読を気長に続けていきました

受験勉強中の多読は良い息抜きになりました。第一に楽しい時間になります。高3の5月ごろには長編ファンタジーにはまり、電車に乗っている間や歩きながら(危ないので本当はダメです)、そして寝る前にずっと読んでいました。加えて、あまり罪悪感のない息抜きになります。読んでいる間は英語100%の世界に入り込むわけですし、長文読解の練習だと言い聞かせながら読むことができるからです(笑)

塾のカリキュラムと多読に加えて取り組んだことといえば単語帳になります。これまでフィクションばかり読んできたため、科学的な文章に出てくる語彙が人よりありませんでした。塾の先生にもそこは補った方がいいと言われ、夏休み中頃から『英単語ターゲット1900』を始め、隙間時間に詰めこみました。

数学が大の苦手で、社会科目を受験期までほったらかしにしていた私にとって、英語にかける時間と労力が少なくすんだことは、合格の一要因だと思っています。

英語多読多聴していた本の種類

ここでは私が読んできた本を一部ご紹介します。私が通っていた塾の蔵書は約55万冊、そのうち私が読んだのは650冊程度で語数にすると360万語になります。

シリーズ

  • Oxford Reading Tree
  • Longman Literacy Land
  • Building Blocks Library
  • Foundation Reading Library
  • Compass Young Learners Classics 
  • Ready, Action!
  • I Can Read!
  • Black Cat Early Reads
  • Oxford Bookworms Library
  • Oxford Dominoes
  • Macmillan Readers
  • Penguin Readers 

本(カッコ内は作者)

  • Life on the Refrigerator Door (Alice Kuipers)
  • The Fault in our Stars (John Green)
  • Every Day (David Levithan)
  • Wonder (R.J. Palacio)
  • The Reason Why I Jump (Naoki Higashida)
  • Matched 3部作 (Ally Condie)
  • Me Before You (Jojo Moyes)
  • House of Night 全12巻 (P. C. Cast)

多読多聴に関するQ&A

Q. 多読多聴にかけた時間

1日何分くらい読んでいましたでしょうか?

A. 高校生になってからは、平日+土曜の通学/通塾のために電車に乗る時間(30〜60分)は必ずで、休日は読みませんでした。とても面白い本に当たれば、これに加えて寝る前に15分くらい時間を取りました。また、塾でも週に1回1時間ほど多読をする時間が取られていました。

Q. 多読多聴を挫折した人の特徴

挫折した人と続けられた人の違いは何だったと思いますか?

A. すぐに点数に直結させることに拘る人は挫折してしまったと思います。また、単純に読書が嫌いな人や、積極的に読まない(塾だけで読み、家では何もしない)人も辞めていってしまった印象があります。続けられた人はこの逆で、読書が好きで点数に(少なくとも受験期に入る前は)拘らずに楽しみたいという思いを持ってきた人だと思います。

Q. 多読多聴以外の受験対策

東大過去問以外に英語対策として問題集は使っていましたか? 多読だけでどこまで対策可能で、どこからは追加で対策する必要があるか知りたく思いました。

A. 塾のテキストは使っていました(入試演習っぽい内容)。併願で受けた早稲田の国教は問題形式が特殊だったため、過去問を購入し、5年分くらいは取り組んでいます。また、『リンガメタリカ』を高2の2月頃に塾で配付され、単語テストをしていました(問題集というより単語帳です)が、他の問題集は使っていません。