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【決定版】『肘井学の読解のための英文法が面白いほどわかる本』の使い方とレベル

『肘井学の読解のための英文法が面白いほどわかる本』の習得レベル

レベル1:ひと通り読んだ

レベル2:例題の8割を、手で書いて和訳できる

レベル3:確認問題+発展問題の8割を、手で書いて和訳できる

『肘井学の読解のための英文法が面白いほどわかる本』の特徴

市販されている多くの精読問題集が抱える難点があります。

それは、専門用語が多すぎることです。たとえば、

「thatが接続詞で「格」を持たず、that節は同格節となります」
「SVO1(間接目的語)+O2(間接目的語)の文型が完成しています」

など、漢字とアルファベットのオンパレードで、英文を精読するより日本語の解説を理解するほうが難解です。

残念ながら、このような思考回路でネイティブは文章を読んでいません。精読問題集の解説が原因で「英語を読むときは英語を日本語に直して理解するだけでなく、1つ1つの文法的役割をも日本語で説明できないといけない」という、誤りに誤りを塗り重ねた英語観が身についてしまいがちです。最低限の文型判断や各節の文法的役割を見抜くことは重要ですが、それ以上は行き過ぎなのです。

その点、本書『肘井学の読解のための英文法が面白いほどわかる本』は文型の説明に留めているため過度な文法知識のインプットを防ぐことができます。また、巻頭に「節」と「句」の違いなどを説明しているため、最低限の下地があれば読み進めていける点もよいです。

他にも、「thatの識別」「itの識別」「asの識別」「倒置」「省略」「強調構文」「挿入」といった頻出テーマを扱っている点も本書の大きな特徴の一つです。難関大で出題される和訳問題は、thatやas、itが複数入り混じり、そこに倒置・省略・挿入が組み合わさっているため難しいのです。

本書が終わったら、精読対策(=和訳対策)は長文問題集と過去問だけでOKです。

なお、本書でも東大を含む最難関大で出題された過去問が発展問題として掲載されており、基礎知識の整理から受験レベルまで一気に持っていくことができます。

『肘井学の読解のための英文法が面白いほどわかる本』の使い方

「パターン」に目を通す

該当セクションで何を学ぶかが書かれています。学ぶ目的を明確にするためにも、左上に載っている「パターン」に目を通しましょう。

例題を頭の中で解いてみる(手は動かさない)

例題が和訳できるか頭の中で確認してください。解説を読むためのお題に目を通す感じでOKです。例題を頭の中で解いたら、右ページの「解答・解説」に進みましょう。

解答・解説を読む

「英文図解」で文章構造を把握してください。和訳問題では、文章構造が読み取れていないと判断されると1点ももらえない*と考えてください。必ず図解のような構造になっていることを確認してください。

*一方、単語の訳し間違いに関しては大きな原点はされないと考えてOKです。そもそも英語と日本語は1対1で対応しているものではないので、多少違ったとしても大きな減点にはなりません。英単語には独特のニュアンスがあり、そこから大きくずれていなければ問題ないのです。

図解の下には、なぜそのような構造になるかの説明が書かれているので、しっかり読みましょう。

このように「手を動かさず、例題を見て解説を読む」で1周しましょう。

例題の和訳を書く(手を動かす)

今度は、例題の和訳が自力で書けるかテストします。答案に近い和訳が書ければ○マーク、うまく和訳できなければ×マークを小問レベルでつけてください。

例題のテストが終わったら、そのまま確認問題に移ります。

確認問題を解く(和訳を手で書く)

確認問題も、実際に和訳を書いてみてください。例題同様、書ければ○マーク、書けなければ×マークを小問レベルでつけます。別冊の解説もしっかり読みましょう。

発展問題を解く(和訳を手で書く)

確認問題が終わったら、そのまま発展問題にも取り組みます。実際に和訳を書いてみてください。書けなければ×マークをつけ、復習した際に再度取り組むようにしましょう。別冊の解説もよく読んでください。

×マークのついた問題を復習する

こうして2周目が終わったら、3周目以降は×マークがついた問題だけを復習します。

○マークがついた問題は模試前や入試前に復習したらよく、それまでは×マークのみ復習してください。

『肘井学の読解のための英文法が面白いほどわかる本』に関する前提

文系理系問わず大学受験において英語は最重要科目で、特に長文読解問題で得点する必要があります。長文読解はまず、最初と最後の文章、そして各段落の第1文を読んで話の外枠を把んだあと(=話の可能性を限定したあと)設問で問われている部分について詳しく読んでいくという流れになります。これについては『イチから鍛える英語長文』の記事に詳しいので参照ください。

さて、「設問で問われている部分を詳しく読む」ときに必要になるのが精読です。和訳問題を出題する大学も多いため、複雑な構文の構造を読み解く練習は必要です。

ただ、精読はどうしても論理的に(パズルのように)文章を読み解いていく方法となりがちで、その読み方の先に「英語を英語のまま素早く理解していく読み方」はないので注意が必要です。長文問題対策としては多読多聴のほうが圧倒的に重要で、使う時間は、精読:多読多聴=1:99と認識してください。

『肘井学の読解のための英文法が面白いほどわかる本』で学ぶこと

本書の表紙をめくったところにも書いてありますが、英文読解に必要なことは次の5つであり、本書を通してこの5つを身につけるという目的を忘れないようにしましょう。

  1. SVの発見
  2. 意味のカタマリの発見
  3. 品詞の識別
  4. 構文の認識
  5. 動詞の型の認識

『肘井学の読解のための英文法が面白いほどわかる本』は指定教材か?

松濤舎では一時期、本書を指定教材にしていました。現在は外しています。その理由は2点あります。

問題集ではないので効果が測りづらい

本書『肘井学の読解のための英文法が面白いほどわかる本』を読んで学ぶことも多くあります。しかし、本書をやったことでわかりやすく成績が伸びた、ということはありませんでした。様々な理由が考えられますが、本書が問題集ではないということが大きいでしょう。

文法問題集(Vintage)+文法書(FACTBOOK)+英訳対策(和文英訳教本・文法矯正編)で足りる

本書『肘井学の読解のための英文法が面白いほどわかる本』は、長文読解や和訳を見据えて文法を習得するために使う参考書ですが、結局、松濤舎で指定している他の教材で事足りることがわかりました。

文法問題集であるVintageやNextStageがひと通り解けるようになれば、大学受験に必要な文法知識を網羅的に確認できます。文法書としてFACTBOOKを持っていれば文法に関する疑問は解消され、ネイティブの感覚で頭に残すことができるでしょう。和文英訳教本(文法矯正編)があれば、英語のニュアンスを汲み取った正しい和訳が書けるようにもなります。

以上から、和訳対策としてわざわざ本書を追加する必要はないと判断しました。

もちろん、『肘井学の読解のための英文法が面白いほどわかる本』によって得られることは多いです。これまで学習者に委ねられていた知識の整理がされており、つまずきやすいポイントもさらっときれいにまとめられています。私は非常にいい参考書だと思います。

しかしながら、本書は必携ではなく、持っていたらいくつも学ぶべきものはあるという位置づけの参考書と判断しました。

以上、参考になれば幸いです。

『肘井学の読解のための英文法が面白いほどわかる本』の目次

目次テーマ
序章SVの発見1. SVの発見で英文が読める
第1章意味のカタマリ2. 名詞句で英文が読める
3. 名詞節で英文が読める
4. 形容詞句で英文が読める
5. 形容詞節で英文が読める
6. 副詞句で英文が読める
7. 副詞節で英文が読める
第2章識別編8. to do の識別で英文が読める
9. -ing の識別で英文が読める
10. 過去分詞の識別で英文が読める
11. that の識別で英文が読める
12. it の識別で英文が読める
13. as の識別で英文が読める
第3章構文編14. 接続詞で英文が読める
15. 倒置で英文が読める
16. 省略で英文が読める
17. 強調構文で英文が読める
18. 呼応で英文が読める
19. ネクサスで英文が読める
20. 挿入で英文が読める
21. 比較で英文が読める
22. 複合関係詞で英文が読める
第4章動詞の型編23. 第4文型で英文が読める
24. 第5文型で英文が読める
25. S V O to do 型で英文が読める
26. S V A from B 型で英文が読める
27. S V A of B 型で英文が読める
28. S V A with B 型で英文が読める
29. S V A for B 型で英文が読める
30. S V A as B 型で英文が読める
31. S V A to B 型で英文が読める
32. S V A into B 型で英文が読める
33. 受動態で英文が読める

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