英語が最重要科目である理由
英語はその特性から、最も重要な科目とされています。
理由は3つあります。
理由1:配点が最も高い科目のひとつだから
英語が不要な大学はほぼありません。
文理選択・志望校選択ができていなくても、英語は必ず必要です。高1から全員が勉強するのは英語・数学・国語の3教科ですが、数学や国語が不要な大学は多数あるのに対し、英語は必須なのです。
そしてほとんどの医学部をはじめとする多くの大学で、英語の配点は数学・理科と同じです。
理系では英語:数学:理科=1:1:1の大学が多く、文系では英語:社会:国語=1:1:1の大学が多いと考えてください。つまり英語は、最も配点が高い科目のひとつです。
ただし、配点比率だけを理由に「英語が最重要」と言うのは弱いというのが松濤舎の考えです。本当の理由は次の2つにあります。
理由2:実力が点数に反映されやすいから
英語は、実力がそのまま点数に反映される科目です。
数学は、本番で出た問題との相性によって点数が上下します。得意な分野が出れば高得点、そうでなければ大崩れする、ということが普通に起こります。
英語にはそれがありません。言語能力が高ければどんな問題でも高得点になり、低ければどんな問題でも低い点数になります。
言い換えれば、英語は「勉強した分だけ確実に回収できる」科目です。
理由3:一度できるようになると、なかなか下がらないから
英語は、一度できるようになるとなかなか下がりません。非常に安定します。
数学や理科は、しばらく触らないと解法が抜け落ちて点数が落ちてしまいます。英語は言語能力なので、そうした落ち方をしません。
早い段階で仕上げてしまえば、その後は他科目に時間を回しながら、英語の得点を維持できるということです。
英語の成績は「一番足りないもの」で決まる
松濤舎が英語指導の前提に置いている考え方を説明します。
英語の成績は、「語彙量」「文法の知識量」「多読多聴量」のうち、足りないものがボトルネックとなって決まります。
ボトルネック(瓶の首)という言葉のとおり、いくら他が太くても、一番細いところが全体の流量を決めてしまう、という意味です。
- 語彙量が足りなければ、どれだけ多読しても意味が取れない。
- 文法の知識がなければ、単語の意味がわかっても文の構造が取れない。
- 多読多聴量が足りなければ、単語も文法も知っているのに時間内に処理できない。
英語が伸び悩んでいる人の多くは、特定の1つを伸ばし続けて、他を放置しています。
特に多いのが、文法はよくできるが、語彙量と多読多聴量が足りていないというケースです。日本の中高の英語教育は文法過多で、多読多聴があまりに不足しています。
語彙量も個々人に委ねられており、「最低限覚えたら、あとは文脈判断すればいい」という誤った英語観が蔓延しています。
よって英語の学習は、この3つを(語彙量と多読多聴量の不足を特に疑いながら)バランスよく上げることが必須になります。
学年によってやることは変わらない
ボトルネック理論から直接導かれる結論があります。
高1から浪人生まで、やるべきことは変わらないということです。
「高1は単語と文法、高2は英文解釈、高3は長文と過去問」というような段階的なスケジュールを松濤舎が作らないのは、そうした区切りに意味がないからです。高1でも多読多聴は始めますし、浪人生でも最後まで語彙量を増やし続けます。
学年によって変わるのは、残り時間と、それぞれの柱がどこまで積み上がっているかだけです。
やることが同じであるということは、始めるのが早ければ早いほど有利ということでもあります。
松濤舎では高1から英語は毎日1.5時間を優先的に確保し、それ以外を他科目に振り分けるという順で科目間の時間配分を調整しています。
松濤舎には帰国子女もいれば、ずっと日本の学校に通っていた人もいます。前者は高1から高3レベル(一般的な)の学習をしますし、後者は高3であっても高1レベルから積み上げ直すことがあります。学年ではなく、その子の能力や学力によってやるべきことが確定するのです。
英単語の勉強法
英語の成績を決める1つ目の柱が語彙量(=英単語量)です。
語彙量が重要という学習観を持つ
東大生に英語観をヒアリングしたところ、9割以上の人が「語彙量がもっとも重要」だと認識していたことがわかりました。
語彙量は多ければ多いほどいいという学習観を持っていたのです。
最重要科目である英語において、最重要なのが語彙量という事実をしかと受け止めてください。
松濤舎の指定教材は『VENN4000』(高1から3年で覚えきる)
松濤舎では、オリジナル教材である英単語帳『VENN4000』を指定教材としています。
高1から3年かけて、全部覚えきるという設計です。
3年かけると聞くと長く感じるかもしれませんが、ボトルネック理論のとおり、語彙は他の2本柱と並行して積み上げるものです。単語だけを短期集中で終わらせて、その間に多読多聴が止まる、という進め方のほうが非効率なのです。
科学的に正しい方法で暗記する
学習科学という学術分野では、効率的な学習法が研究されています。
第二言語としての英単語暗記に絞ってまとめられた研究知見をもとに、松濤舎では次の4点を守ってもらっています。
①分散学習
分散学習とは、復習までにできるだけ間隔をおいて復習する方法を指します。
特に英単語のような、ほぼ単純暗記せねばならないものは、分散学習が長期記憶に寄与することがわかっています。復習間隔は長ければ長いほうがいいので、単語帳を使うときは、頭からお尻まで1周したら再び頭に戻って覚えていく方法が効率的です。
よく「次の日、1週間後、1ヶ月後に復習するといい」と言われることがありますが、これには科学的なエビデンスがないこともわかっています。わかっているのは「復習間隔が長ければ長いほど、より長い長期記憶に寄与する」ということだけです。
②テスト形式
テスト形式で勉強すると効率的であることも科学的にわかっています。
逆に、英単語とその訳を照らし合わせながら頭に入れようとする方法は、暗記にほぼ寄与しないこともわかっています。すなわち、単語帳を開いて「英単語を見る→訳を確認する」という方法でいくら勉強していても、覚えた気になるだけで実際は覚えられていない、ということです。
③質より量
1単語にかける時間を減らし、できるだけ何回転もしたほうが効率的であることが科学的にわかっています。
そのため松濤舎では、1単語を10秒以内でパッパと進めていくことを推奨しています。
1単語10秒・1日30分で1日180語に目を通せる計算になります。この速度を維持し、周回を短いサイクルで重ねることが暗記の最短ルートです。
④テスト−学習一致の法則
テスト形式と学習形式を一致させないと非効率であるという法則です。
長文問題というテストのために英単語暗記をするのであれば、頭の中で日本語の意味を想起する勉強が最効率ということです。たまに「手で書いたほうが覚える」という人がいますがエビデンスはありません。
なお、英訳対策で単語暗記する場合は、テスト−学習一致の法則から、手を動かして書き出す必要があります。
市販で代替するなら『システム英単語』(1冊で偏差値67.5)
市販教材で進める場合、松濤舎が推奨してきたのは『システム英単語』です。
選んだ理由はコロケーションで覚えられるからです。よく一緒に使われる単語や前置詞と一緒に覚えられるということで、イディオムの問題でそのまま出題されることもありますし、長文中の穴埋め問題に役立つこともあります。
何より、イディオムが入るとチャンク化でき、長文の速読につながります(チャンク化とは、複数の情報をひとまとまりで覚えることで情報量が圧縮されることです)。
語彙量については、派生語まで含めると『鉄壁』の85%をカバーすることが松濤舎の調査でわかっています。もともと『鉄壁』は、通常の単語帳で派生語として扱われているものも見出し語にして覚えてしまおうというコンセプトで作られています。
「『システム英単語』では足りないから鉄壁」という人がもしいたら、それは感覚での話でしかなく、鉄壁に相当する語彙量を含んでいるというのが事実です。
そして、『システム英単語』を1冊覚えれば、全統記述模試で偏差値67.5が取得可能です。5割以上の医学部が『システム英単語』だけで合格可能ということです。
ただし、『システム英単語』に載っていないが他の英単語帳に載っている英単語も覚えないと、受験英語において最も重要な英単語を完璧に覚えたことにはなりません。そこで、松濤舎では『VENN4000』というオリジナル英単語帳を使用して指導しています。
英文法の勉強法
英語の成績を決める2つ目の柱が文法の知識量です。
前提として文法は非常に重要です。英語は日本語と違い助詞のない言語なので、語順が各単語の役割を決めます。この語順ルールを知らなければ、英語が読めるはずはありません。
使う教材は1冊だけ、しかも5割でよい(→偏差値67.5)
松濤舎の指導は非常にシンプルです。
- 『Vintage』『NextStage』『Engage』などの文法問題集を、高1から1冊やる。
- 学校で配られたもの、自分で買ったもの、どれでもよい。松濤舎では『Engage』を推奨。
- 5割解ける状態で偏差値67.5、8割解ける状態で偏差値75に到達する。
そして重要なのは次の点です。
松濤舎の塾生の多くは、5割の時点で切り上げて英作文対策に入ります。
5割やるだけで偏差値67.5が出るとわかっているからです。そこから8割まで引き上げる労力を、英作文や多読多聴に回したほうが、総合点は上がります。
ボトルネック理論に照らせば当然の判断で、文法が5割まで来た時点で、たいていの受験生のボトルネックは文法ではなくなっているのです。
より難しい文法問題集を追加する必要はない
結論からいえば、より難しい文法問題集を追加する必要はありません。
非常に複雑な英文を扱った和訳問題、重箱の隅をつつくような文法の正誤問題など、まるで暗号解読をさせるかのような問題を扱った問題集が多数出版されています。
大学によっては難構文の和訳(京都大学など)、非常に細かな文法問題(東京大学、早慶など)を出題するところがありますが、それ以外は長文読解に必要な最低限の文法知識を入れたら、さっさと多読多聴に入るべきというのが定石です。東京大学の英語試験でも、文法問題は捨てるべきというのが定石なのです。
特にセンター試験から共通テストに変わり、文法問題がそのまま出題される問題は、国公立受験生にはほぼ不要のものとなりました。
私立大学では文法問題をそのまま出題するところも依然として多いため、受験校が決まったタイミングで文法問題集で追加対策する程度で十分です。
英文解釈の勉強法|専用教材は不要、多読で伸ばす
「英文解釈」を独立した対策として重く扱う参考書ルートが多くありますが、松濤舎の立場は明確です。
精読を極めることが、和訳の上達につながるわけではありません。英文解釈は3本柱とは別の独立した柱ではなく、多読多聴の柱を太くすることで伸びる力だからです。
精読を極めれば和訳がうまくなると考えている人は、ボトムアップのアプローチで和訳しがちです。つまり、まずは個々の英単語の意味を思い浮かべ、それを文法や構文のルールに従って文章にしていくという方法です。
結果、英単語の第一義に引っ張られて変な和訳になったり、内容を理解しているとは思えないガタガタの和訳になったりします。
英語と日本語は1対1で置換可能な言語ではありません。
英語には英語でしかできない表現、日本語には日本語でしかできない表現があり、それを可能な限り近づける作業が和訳です。「英単語を日本語に置き換えること=和訳」という英語観そのものが間違っています。
この前提に立つと、まずは文章全体の内容、下線部の前後の文脈、そして下線部の単語を見れば、下線部の意味は5割はわかるはずです。
仮説でもいいので「こういう内容っぽい」と意味先行で和訳しようとすることが非常に重要です。その意味を軸に、英単語の持つニュアンスの中でもっとも自然な日本語に置き換えていきます。意味ありきの和訳になっているので、非常に自然な日本語になります。
「先に団子を並べて串をさす」のではなく、「串に団子を刺していく」イメージです。こちらのほうが綺麗な串団子が作れますよね。
つまり、和訳がうまくなるための一番の近道は多読です。
英文解釈のための専用教材を積み増すより、次のセクションの長文・多読多聴に時間を使ってください。
英語長文の勉強法|核は多読多聴
英語の成績を決める3つ目の柱が多読多聴量です。
受験英語では、長文問題が最も多く出題されます。
よって受験英語は長文対策をメインに据え、すべての学習が長文対策につながっているよう設計すると、非常に効率的に進められます。長文対策を行うことで、和訳・英作文・リスニングの対策にもつながるからです。
指定教材は『Rise長文読解』と速読英単語シリーズ(交互に進める)
多読多聴のための教材は、Z会の『Rise長文読解』シリーズと、速読英単語シリーズ(入門編・必修編)を使います。
進め方のポイントは、簡単なレベルから、交互に進めていくことです。片方のシリーズを一気に上まで登るのではなく、2つのシリーズを行き来しながらレベルを上げていきます。
Riseシリーズは「問題を解くための解き方のマスター」を目的としており、速読シリーズは「多読多聴を通して英語を英語のまま理解するための土台作り」を目的としています。
重要なのはこのバランスです。
Riseシリーズは1冊15問前後しか掲載されていないのに対し、速読シリーズは60長文前後が掲載されています。つまり、問題を解く練習を15回やったら、多読多聴を60回やるバランス、というのがちょうどいいのです。
多くの人は、英語の問題を解いたら長文の成績が上がると考えますが、それは大きな間違いです。問題を解くとどうしても「英語を日本語に変換する場面」が増えます。
確かにその練習も必要なのですが、多くの生徒に足りないのはその手前の「英語を英語のままスピーディーに理解すること」です。英語を英語のまま理解できさえすれば、選択問題も和訳問題も解くのは簡単なのです。
問題を解くための読み方(レントゲン読解法)をマスターする
試験は点数が取れなければ意味がありません。
多読多聴して英語をスムーズに読めるようになるに従って英語の成績は伸びますが、安定して得点するためには「問題を解くための読み方」を別途習得しなければなりません。
一般的な長文の読み方は「まず長文を頭から読み、下線部まできたら問題文を読む」あるいは「先に問題文に目を通してから、長文を下線部まで読む」という方法でしょう。
しかし、この方法は非常に微妙です。まず、長文を読むスピードが遅くなります。
皆さんは、暗闇の中を全力で走れますか? 長文を頭から読むということは、今後の展開がわからない中を読み進めることになるので、次の一文が重要かもしれない、後々に重要な鍵を握るかもしれない、と思ってじっくり読むようになるはずです。
そのせいで試験時間に間に合わない、必要な箇所の精読に時間をかけられなかった、ということが起こります。
そこで松濤舎では、次の順序で読むよう指導しています。これをレントゲン読解法と呼んでいます。
- 長文の第1文を読む
- 最終段落(長い場合は最後の2〜3文)を読み、頭とお尻を押さえる
- 各段落の第1文を読む
- ここまでを最初の1分で行い、問題へ入る
例えば、第1段落で犬の話をしていたのに、最終段落で宇宙の話をしている可能性があります。
頭から文章を読んでいくと常に「どんな内容になるか可能性は無限大」ですが、最終段落を先に見ておくことで、無限大の可能性をほぼ1つに確定できます。その後に各段落の第1文を読んでいくと、どのような論理展開になりそうか、どの段落に何が書かれていそうかをざっくり掴むことができます。
こうして文章の輪郭を掴んでおくことで文章は読みやすくなり、文章概要と関係なさそうな箇所はサクサク飛ばして読んでいくことができます。全体概要が掴めているため、小問(1)(2)などの最初のほうの問題も非常に解きやすくなります。
暗闇の中を全力で走るのではなく、ほぼ道筋が見えている中を全力で走れるようになるのです。
これが「長文を解くための読み方」であり、この読み方を習得すると圧倒的に点数が安定します。なお、これを最初の1分で行うためには、次章で説明する多読多聴を通した”ネイティブ読み”が必須です。
多読多聴のやり方
多読多聴とは、英語長文をたくさん読んだり、たくさん聴いたりする勉強のことです。
目的は”ネイティブ読み”の習得
多読多聴の目的は、英語を語順どおり、日本語を介さずに理解しながら、ネイティブと同じスピードで読んでいけるようになることです。
松濤舎ではこれを”ネイティブ読み”と呼んでいます。
ネイティブ読みが必要なのは、従来の英語長文が「文字数の少ない、難易度の高い長文」中心だったのに対し、近年は「文字数の多い、平易な長文」をスピーディーに処理していく問題が増えているからです。
センター試験が共通テストに変わって長文問題しか出題されなくなる前から、大学の個別試験でも長文の超長文化が進んでいます。時間内に処理するためには、ネイティブ読みのスキルが必須なのです。
精読より多読を
学校の授業は「教科書の英文を1つ1つ和訳していく形式」で進みますが、そのせいで「英語は日本語に訳してから理解していくもの」「精読の先に長文読解がある」といった誤った英語観になりがちです。
残念ながら、日本語を介していたら、いつまで経ってもスピーディーに読むことはできません。
日本語を介さないというのは、こういうことです。Appleという単語を見たとき、「りんご」という日本語に訳してからりんごのことだと理解したわけではなく、そのままりんごのことだと理解したはずです。
Appleという単語には何度も触れてきているので、日本語を介さずそのまま理解する神経回路がすでに形成されています。同じように、多くの英文に触れることで、単語からダイレクトに理解につながるようになります。
学校では精読の授業しかせず、読解量が他国と比べて不足していることが研究でわかっています。一方で入試問題は、どんどん”本質的な英語運用能力”を試す内容になっています。
多読し、他の人に差をつけましょう。
多読は英単語の暗記にも効いてくる
多読多聴していくと、英単語をいちいち日本語に介さないようになります。
その単語が持っているニュアンスを想起し、文脈から意味を判断するようになるので、単語暗記のときもまとまったイメージで覚えるようになります。
例えばcompanyという単語は「仲間、同僚、会社」といった意味が書かれている単語帳がありますが、重要なのは「気の知れた人たちが複数いるイメージ」をcompanyの意味として覚えることなのです。
そうなることで語彙量が爆発的に増え、かつ速読できるようになります。
精読アタマの人は、単語帳に載っている複数の意味を全部覚えようとした結果、そもそも覚えられないし、覚えられたとしても長文読解に非常に時間がかかります。
一方、多読アタマの人は、複数の意味を1つの単語のイメージとして捉えるようになり、結果として語彙量も増え、読むスピードも上がるという正のスパイラルに入ります。
多読多聴できない気持ちもよくわかる
私自身、多読をしても英語が読めるようになっている感覚があまりなく、穴の空いたバケツに水を入れているような気がして全然進みませんでした。
英単語の意味を想起し、構造解析をしないと意味が取れるはずがないと思い込んでいたのです。プログラミング言語を読み取るコンピュータのように、1つ1つ正確に理解していくことが英語を読むことだと思っていました。
しかし、現役東大合格生のうち、特に英語の点数が高い人にヒアリングすると、この英語観そのものが間違っていたのです。
英語は日本語に100%変換するのは不可能であり、英語を英語のまま理解できるよう単語をニュアンスで覚えたり、音源を使った学習をしようとすることが、創発的に成績を伸ばします。
単に「多読多聴しなさい」「この問題集を勉強しなさい」と言われても、やらなかったり、ポイントを外した勉強になりがちです。上記の理屈もきちんと踏まえたうえで、多読多聴していきましょう。
リスニングの勉強法|専用対策はせず多読多聴で兼ねる
松濤舎では、リスニングのための特別な対策期間を設けていません。
長文読解のための多読多聴を入塾時から行い、それが結果的に共通テストのリスニング対策にもなる、という設計で指導しています。秋以降に「リスニングのためのリスニング対策」を始めるのが一般的ですが、その必要がなくなります。
音源を活用して多読したほうが圧倒的に長文読解が得意になる理由は、次の3つです。
①リスニングは「負荷を高めた長文読解」である
リスニングは「負荷を高めた長文読解」という認識を持ちましょう。
音はそのまま流れていくので、強制的に英語の語順どおり理解しなければなりません。また、音源を使うことでネイティブのナチュラルスピードがどれくらいなのかも掴めます。
スピードが速いので、日本語を介さずに理解する回路が強制的に鍛えられます。まさに”ネイティブ読み”のために非常に有効なトレーニングになるのです。
②音読(パラレルリーディング)で音韻処理を自動化する
音源を使ってリスニングするだけでなく、音に合わせて音読することを推奨しています。
音読することは、音韻処理の自動化につながることが科学的に知られています。
音韻処理とは何か。人は英語を黙読しているときも、心の中では音読していることが知られています。これを音韻処理といいますが、音韻処理が律速(=遅い原因)となり、黙読が遅くなっている場合が非常に多いのです。
音読することで、まず自分の音韻処理が遅いことを自覚するようになり、速く処理しようとする意識が働きます。音源を使うことで正しい発音、スピード、リエゾン(=音の繋がり)も掴めます。
ポイントは、自分なりに音読するのではなく、音源と同時に、文字を見ながらでいいので音読することです。これをパラレルリーディングと言います。
③共通テストのリスニング配点増にも、追加の対策は不要
センター試験では、リーディング200点に対してリスニングは50点という配点比率がデフォルトでしたが、共通テストではリーディングとリスニングがともに100点となりました。
1回しか読み上げない問題が約半分あるなど、その重要度が増しています。
多読多聴を早期から積んでいれば、この変化に対して追加の対策は基本的に不要です。
英作文・英訳の勉強法
英作文・英訳の成績は、先述の「語彙量・文法知識量・多読多聴量」に比例するのですが、これらが必要な場合は特化した対策が必要です。
松濤舎では以下のように対策しています。
まず『和文英訳教本(文法矯正編)』で英文暗記から始める
多くの国公立大学で英訳が課せられるので、国公立志望者は早めに英文暗記を始めましょう。
英語はプログラミング言語ではないため、単語と文法を適切な順番に並べれば文章になるわけではありません。
例えば、日本語の「着る」は「衣服などを身につける」という意味だからといって、外国人が「マスクを着る」と言ったらおかしいですよね。マスクは「つける」です。
だからこそ、まずは正しい英語表現をそのまま自分のものにする必要があります。
松濤舎の指定教材は『和文英訳教本(文法矯正編)』です。
掲載されている英文を、まずは口述で覚えていく指導をしています。
ポイントは、ただ日本語と英文をセットで”覚える”のではなく、自分が実際にその日本語を英語で表現しようと思ったとして、その英語表現をアウトプットすることです。
日本語を見て英語で発話することを繰り返すと、だんだん感情と英語表現がリンクしてきます。はじめから手を動かすと作業になりがちなので、それを避けるためにも、まずは発話してください。
日本語を見て正しい英文が発話できるようになったら、次に書き出します。「テスト−学習一致の法則」のとおり、英訳は最終的に英語を書くことが求められるので、書き出す練習をしてはじめて有効なテスト対策になります。
添削より、最後までインプットを
自由英作文は和文英訳の延長線上にあります。
多くの東大生が、和訳対策のために英文暗記を行い、それを素材として自由英作文を作っています。
正しい英語表現を使うのが前提なので、その表現を使うために多少の創作をすることもありますが、「どんな内容を書くか(WHAT)」を考え、「使える表現(HOW)」かを確かめるという往復に時間がかかるのが自由英作文の難しいところです。
これはトレーニングを重ね、所持している表現を取り出す練習をしなければなりません。そのためにも、「ただ英文を覚える」より「発話することで自分の感覚と英語表現をすり合わせる」ほうが使い勝手がよくなります。
添削を何度も受けるより、まず手持ちの表現を最後まで入れきることを優先してください。
連句英作文で再現性を高める
自由英作文は、再現性の高い書き方を身につけることが重要です。
そのために有効なのが「連句英作文」です。連句英作文とは、先に間違いのない短文で骨子を作り、そこに「句」で肉付けをして文章を豊かにしていくという書き方です。
- 文法的な誤りを最小限に抑えることができる
- 論理的に正しい文章が作れる
- 書くことが思いつかないという事態に陥りにくい
という非常に優れた自由英作文の作成方法です。
松濤舎ではオリジナル教材を用いて、この連句英作文の書き方を習得してもらいます。
形式依存するため、早めに過去問へ
英語は出題形式によって対策が変わります。
文法問題が出ないなら文法問題集での対策は不要ですし、英作文がなければ英作文の対策も不要です。そのため、ボトムアップでやるべき問題集が終わったら、出願する予定の大学の過去問にすぐ入るべきです。
松濤舎では、普通に課題を進めていけば高2の途中でひと通りの課題が終わります。そうしたら、出願予定の大学の過去問に入ってしまいます。
出願校の形式がわかれば、それに合わせて問題集の復習や追加が可能ですし、学習効率も上がります。
他科目は大学によらずやるべきことが同じ部分も多いのですが、英語は過去問からの対策こそが重要な鍵を握ります。
参考書ルートは目的別に用意しています
この記事は英語の勉強法の原理を扱っています。
志望・目的別の具体的な参考書ルートは、別ページにまとめています。
- 高1・高2・高3で、英語のやるべきことは変わりますか?
- 変わりません。英語の成績は「語彙量」「文法の知識量」「多読多聴量」のうち一番足りないものがボトルネックとなって決まるため、どの学年でも「この3つをバランスよく上げる」ことに尽きます。学年によって変わるのは残り時間と、それぞれがどこまで積み上がっているかだけです。
- 英語が最重要科目だと言われるのはなぜですか?
- 理由は3つです。①ほとんどの大学で英語の配点は数学・理科と同じで、最も配点が高い科目のひとつであること、②数学と違って本番の問題との相性に左右されず、実力がそのまま点数に反映されること、③一度できるようになるとなかなか下がらず、非常に安定することです。
- 文法問題集はどこまでやればよいですか?
- 1冊を5割解ける状態まででよいです。5割で偏差値67.5、8割で偏差値75に到達しますが、松濤舎の塾生の多くは5割の時点で切り上げて英作文対策に入ります。より難しい文法問題集を追加する必要もありません。
- 文法問題集はどれを使えばよいですか?
- 『Vintage』『NextStage』など、学校で配られたものでも自分で買ったものでも、どれでも構いません。1冊だけを高1から進めてください。
- 英文解釈の参考書は必要ですか?
- 精読を極めることが和訳の上達につながるわけではありません。和訳がうまくなるための一番の近道は多読です。英文解釈のための専用教材を積み増すより、多読多聴に時間を使ってください。
- 長文はどの教材で進めればよいですか?
- Z会『Rise長文読解』シリーズと速読英単語シリーズを、簡単なレベルから交互に進めます。片方を一気に上まで登るのではなく、2つを行き来しながらレベルを上げることで、多読量が自然に確保されます。
- リスニング対策はいつから始めればよいですか?
- 特別な対策期間は設けません。松濤舎では長文読解のための多読多聴を入塾時から行い、それが結果的に共通テストのリスニング対策になる設計にしています。音源に合わせて音読するパラレルリーディングを取り入れてください。
- 過去問はいつから始めますか?
- ボトムアップでやるべき問題集が終わったらすぐです。松濤舎では普通に課題を進めていけば高2の途中でひと通り終わるので、その時点で出願予定校の過去問に入ります。英語は形式依存が大きいため、早く形式を知るほど対策の効率が上がります。

