背景
前提として、忘れてから復習した方が長期記憶しやすいことが科学的にわかっています。
短期的に復習すると覚えている感じがするので効果的なように錯覚しますが、短期記憶にしか寄与しないことがわかっています。そもそも、短期的な復習をしたほうが記憶に定着しているよう錯覚しやすい、ということさえ科学的にわかっているのです。
そのため、松濤舎では復習までの期間を空けるよう最初から最後まで通しでやったあと再び最初に戻る復習をベースにすること推奨しています。
しかし、短期的に復習することを厳しく禁じているわけではありません。柔軟さを欠いた厳格なルールを設けることは、自分で考えて勉強すること、自分の素直な感覚に沿って勉強することを阻害し、百害あって一利なしです。
そこで、改めて復習方法について記載することにしました。
ベースは分散学習
ベースは分散学習です。
英単語など機械暗記せざるを得ない科目では分散学習が有効であることが科学的にわかっています。
一方、有意味暗記できる科目(特に理系科目など)は有意味暗記のほうが強力ですが、それでも分散学習をベースにしたほうがよいです。それには、次のようなメリットがあるからです。
- 期間を置いても忘れないようにするにはどうしたらいいか? を考えるようになる。解説をざっくり頭に入れようとするのではなく要素を覚える、解くために必要な知識は何か探そうとする、など
- 期間を置いて復習すると、”いつの間にかできている”ことがある。理系科目をはじめとした、理解が必要な科目で起きます
◯✕マークは3日以上空けてつける
◯✕マークは3日以上空けてからつけるようにしましょう。これは、比較的厳しいルールとして設けていいと思います。
でないと「◯がついているけど、当時短期的に復習して◯をつけたんじゃないか? 念のため復習していおいたほうがいいんじゃにあか」と疑ってしまい、結局、解ける問題を解くことになり復習効率が大幅に下がります。
自分のつけた◯✕マークの有効性を保つためにも、必ず3日以上を空けて復習した際に◯✕マークをつけるようにしましょう。
前提として、勉強時間の9割以上は復習になります。復習効率を上げること(≒解ける問題を解かないこと、新しい知識が増えないことに時間を使わないこと)は受験勉強において最大の論点です。復習効率を上げるためにも、必ず◯✕マークはつけるようにしましょう。
東大・京大生の多くが行っていたマネジメント方法です。
関連問題に戻ることは全然OK
有意味暗記できる科目では、1つ簡単な問題に戻ったり、類題が解けるか確認する作業は理解のために非常に有効です。このような「関連問題への戻り」は随時行って構いません。
ちょこちょこ振り返るのは任意で行ってOK
例えば、英単語暗記のような機械暗記がメインの勉強で、次の日に前日分を復習するといった短期的な復習はやっていけないかというと「別にやっても構いません」という返答になります。
というのも、継続的な勉強にはやはり「前日やったことを覚えている」という安心感も必要だからです。
ちなみに、よく「1日おき、1週間おき、1ヶ月おきに復習するといい」というアドバイスを聴きますが、これにはエビデンスがないことがわかっています。エビデンスがあるのは「復習期間をあけたほうが、より長期的に記憶できる」ということだけです。詳しくは下記で触れられています(読まなくていいです)こういった学術的な裏付けのある文献のみを信じるようにしましょう。
英単語学習の科学
最後に
長期記憶させるには有意味暗記や分散学習が有効であることに変わりはありませんが、短期的な復習を絶対にやってはいけないというものでもありません。うまくバランスをとって進めていきましょう。