はじめに
合否は総合点で決まりますが、各科目の点数は「知識量×パフォーマンス」で決まります。特に1月下旬〜3月上旬は知識量を増やすことよりもパフォーマンスに目を向けた方が成績への寄与インパクトは大きいです。
そこで、本番のパフォーマンスを最大化するために個別試験前後で確認すべきことをまとめました。
1)個別試験前の確認事項
①合格最低点の確認
当然ですが、もっとも重要なのは合格最低点の確認です。合格最低点を1点でも上回れば合格します。
ただし、多くの大学では独自換算した点数を公表しています。独自換算とは大学独自に行う得点調整のことで、その計算方法は公表されませんが、教科間や科目間で平均点差が開きすぎないよう調整していると考えられます。
あくまでも参考値ではありますが、合格最低点をアンカーとしてそれを上回る点数をどう取るか設計していく必要があります。
なお、多くの大学では、合格者平均が合格最低点の120%程度であることが多いように思います。少し余裕を持った目標点を設定するとしたら、独自換算された合格最低点×120%で目標点数を決めるとよいでしょう。
②各科目の目標点数の確認
目標点数が決まったら、各科目で何点ずつ取るかを決めます。人によって得意不得意がありますし、大学によって教科・科目間に難易度差がありますので、必ず自分にとっての目標点数を決めましょう。
③捨てるべき問題難易度、取るべき問題難易度の確認
各科目の取るべき点数は、裏を返せば各科目の捨てるべき点数でもあります。
共通テストや模試は満点を目指して解いていくものでしたが、入試本番はいかに捨てるかが重要となります。
例えば、数学7割取得を目標とした場合、どの程度の難易度の問題は取らないといけなくて、どの難易度の問題は捨てていいのか、確認しましょう。
配点が公表されていない大学が多いのであくまで感覚にはなると思いますが、それでも何割くらいできていたかはだいたいわかるはずです。
④大問ごとの時間配分の確認
どれくらいの問題を捨てていいかがわかったら、最後に大問ごとの時間配分の確認です。ざっくりではなく、必ず定量的に時間を決めておくことが重要です。
本番は想像以上に緊張します。ざっくりとしか時間配分を決めていないと、心の拠りどころがなくなり、本番に余計に焦ります。
本番はとにかく過程に集中することが重要なので、いつもどおりに解いている状態が作れるよう、大問ごとの時間配分は必ず決めて臨むようにしてください。
本番では過去問と違った大問構成になる可能性も十分ありますが、だからこそ大問ごとの時間配分を決めておくことで、それを基準に調整することができるようになります。
⑤基本ルールの確認
最後に基本ルールの確認をしてください。マイルール(国語は漢文から解く等)があればそれも追加します。共通するルールは下記になるかと思います。
- 試験が始まったらすぐに全問題を確認し、過去問と構成や難易度(文量)が変わっていないか確認する。これを1分で終わらせる。
- わからない問題があったら、大問ごとの時間配分に関係なく、すぐに飛ばす。
★過去問演習時の確認事項でもある
これまでお話した内容は、過去問演習をしながら固めていくものです。
特に国公立受験生は共通テスト後に本格的に過去問演習を開始しますが、その際には上記確認事項を明確にしながら行うようにしましょう。
過去問演習は単に「形式に慣れるため」といった漠然とした目的で行うものではありません。
2)個別試験後の確認事項
個別試験後は、個別試験前の確認事項がちゃんと守れていたか確認し、次の試験では絶対に同じ過ちを繰り返さないようにします。
私大は複数校受験できるので、反省を重ねた人は受けていくに連れ解き方がうまくなり、後半になるにつれて合格率が高まっていきます。
例年、前半戦で合格がなかなか出なかったのに後半戦でほぼ合格する人がいますが、上記の確認事項を忠実に守っているからです。
特に重要なのは、捨て方がうまくなることです。前半戦では、問題を捨てるのが怖くて難しい問題にも手を出したり、計算がおかしくなった問題があっても粘ったりしていたのが、後半では大胆に捨てられるようになり、「だいぶ捨てたから手応えはあまりない」のに、蓋を開けてみると全合格といったことが起こります。
下記にチェック項目をまとめましたので、入試後の振り返りに使ってみてください。
個別試験後の確認項目
□ 合格最低点は確認したか?
□ 各科目の目標点数を定量的に決めてから本番に臨んだか?
□ 捨てるべき問題がどれくらいの難易度かわかっているか?
□ 大問ごとの時間配分を定量的に決めてから本番に臨んだか?
□ 基本ルール(マイルール)は守れたか?