『上級現代文』の習得レベル
レベル1:ひと通り解き、今後使えそうな考え方に印がつけられている。
『上級現代文』の使い方
上級現代文には、解答欄冊子が付属しているため、ノートに解答欄を作る手間が省ける。繰り返し解きたい場合は、あらかじめコピーをとっておくと良い。また、問題冊子も取り外せるようになっている。
『上級現代文Ⅰ』では、記述問題の学習が12のパターンに分類されており、それぞれのパターンが例題・実践問題1・実践問題2の三段階で構成されている。そのため、例題→実践問題1→実践問題2の順に解くことで、各パターンに習熟することができる。
「上級現代文Ⅱ」は、演習問題12題と模擬試験8題で構成されている。このうち模擬試験には解答目安時間が設定されているので、本番の試験を意識して力試しをしてみるのがおすすめである。
どちらの問題冊子も、文字の大きさや行の長さといったレイアウトが、国公立大二次試験の問題用紙によく似ている。そのため、演習の際に、実際の大学入試の問題用紙を意識しながらメモ書きの練習をすると良い。付属の解答欄冊子を使って解くと、解答欄をみて字数を確認しながら解答を組み立てることを意識する練習になる。「上級現代文Ⅱ」では字数指定のない記述問題も扱われているが、これも解答欄の大きさを考慮しながら解く練習になるので、解答欄冊子を用いると良い。
『上級現代文I・Ⅱ』の特色は、模範解答・解説のきめ細かさにある。この問題集を最大限活用するために重要になるのが、“自分で丸付けを行うこと”、“解説に沿って丁寧に採点し、各記述問題について何点取れているかを分析すること”である。
記述問題の模範解答は全て、要素に分解された上でそれぞれの要素に点が割り当てられている。
そのため、学習者は自分の解答と模範解答を見比べた時、ただ漠然と一致の度合いをはかるのではなく、“どの要素が自分の解答に足りておらず(または盛り込みすぎており)、それによって何点失っているのか”を意識しながら丸付け・採点することができる。これにより、問題を解く際に、解答に盛り込みたい要素をどのように繋げるか、どういった部分を削ぎ落として指定字数に収めるかを考えるクセをつけることができる。
また、最も重要な問題に関しては「採点の現場から」というコーナーがあり、惜しい解答例が複数挙げられ、それぞれどの要素に過不足がみとめられるのか、丁寧に解説されている。これらに目を通し、自分の答案と似ているものがないか対照してみることはもちろん、模範解答を丸写しにするのではなく、自分の解答を模範解答に近づけるためにはどこを改変したら良いか考え、丸付けの際に書き込んでみると良い。
解説には段落要旨のまとめや構造図、百字要約の例も掲載されている。そのため、扱われている文章は、ただ問題を解くだけではなく、要約の練習や要旨把握の練習にも使うことができる。
『上級現代文』の次にやること
基本的に、一周して解説の隅々まで目を通せば、記述問題を解答する際のメソッドを身につけることができる。何度も繰り返し使用するというより、一周する際に学ぶべきことをひと通り学び、学んだ箇所に印を付けておいて、それを目で見て復習する程度でよい。
大事なのは「初見の問題も同じメソッドで解けるか」なので、次は志望校の過去問に入り、本書『上級現代文』で学んだ考え方・解き方が使えるか確認すること。
『上級現代文』とは?
本書『上級現代文』は、国公立の二次試験で出題される現代文の記述問題対策用の問題集である。
国公立全般を対象とする『上級現代文Ⅰ』、東大・京大・一橋といった最難関国公立を対象とする『上級現代文Ⅱ』の二冊があるが、『上級現代文Ⅰ』にも東大など最難関クラスの国公立の入試問題を改変した問題が多く含まれている。
そのため、よほど現代文に自信がある場合を除き、最難関国公立を目指す学習者も『上級現代文Ⅰ』からはじめるのがおすすめである。
また、前述の通り『上級現代文Ⅰ』も最難関国公立の問題を扱う比較的レベルの高い問題集であるため、共通テストレベルの問題に不安がある場合は無理に着手しようとせず、読み込めなかった問題は繰り返し解いたり、解説を読み直したりして基礎的な読解スキルの向上に役立てるとよい。
以下から、『上級現代文I・Ⅱ』それぞれの特徴に触れながら使い方の一例をご紹介する。
『上級現代文』の対象者
上級現代文Ⅰ
国公立受験者のうち、二次試験に現代文の記述問題が出題される大学・学部を受験する人
上級現代文Ⅱ
東大・京大・一橋といった最難関国公立受験者