>>[残席僅か]12月入塾の個別相談会はこちら

【決定版】『荒巻の新世界史の見取り図』の使い方とレベル

[推奨]松濤舎の指定問題集です。

 

 

 

『荒巻の新世界史の見取り図』に関する前提

本書は「世界史という科目の奥深さを知るための本」であると著者は書いています。

受験生向けの参考書としては異質ともいえる本書ですが、果たして受験生にとって有用なのかといえば「とても有用」と言えます。

ただし、使い方には注意が必要です。詳しくは後述します。

『荒巻の新世界史の見取り図』の特徴とレベル

本書の特徴を、文体や図解の観点からまとめると下記になります。

観点評価
広さ
深さ
読みやすさ
難易度やや難
『荒巻の新世界史の見取り図』の特徴(図解)

まずは広さについて。時代順に上中下の三冊構成です。大まかには地域別で書かれています。時代・地域のいずれの切り口で見ても、幅広い内容がしっかり網羅されています。

次に、深さについて。ここでの深さは、受験に必要な単語や年代がどれだけ細かく載っているかで判断します。この本は細かい単語や年代はほとんど載っていません。あくまでも世界史の流れや大枠を掴むことに主眼を置いています。ですので、一見受験には使えないと映るでしょう。しかし、この本の真髄はそこではありません。

次に読みやすさ。語り口調で表現も優しく、図解もされているため非常に読みやすいです。

最後に、難易度。著者の個性が遺憾なく発揮されている本ですので、教科書とは違った記述や表現が多く出てきます。おそらく最初は戸惑います。ですので、教科書と並行して読み進めることをオススメします。目的は教科書の内容と本書の内容をリンクさせることです。その為、本書で大枠を掴んでから教科書で細部を補うも良し、教科書で細部の知識をつけてから本書で出来事のつながりを把握するも良しです。教科書と本書でそれぞれの欠点を補いあっているというイメージです。

『荒巻の新世界史の見取り図』の対象

東大世界史選択者が対象です。理由は2点あります。

1点目は東大世界史第一問と関係があります。

第一問は「大論述」などと言われており、相当な字数の記述が要求されます。この第一問で必要なのは、「世界史の全体的な流れの大枠をつかんでいること」なのです。記述を書き始めるにあたりまず全体感を掴んでおかないと、とんでもない方向で記述を書いてしまうことになります。

例として、令和2年度の世界史第一問は東アジアの伝統的な国際秩序が19世紀になってどの様に変容していくのかを記述する問題でした。明から清の時代にかけて東アジアは、冊封体制の安定→再編→崩壊と流れていくわけですが、ここで教科書での勉強で単語や年代ばかり覚えていると、この全体感が掴みづらくなります。「木を見て森を見ず」の状態にならぬよう、本書は「森」を見る為の参考書というわけです。

2点目は、世界史の奥深さに触れることで学習への意欲が上がる点です。

暗記中心の世界史学習に面白さを感じていない人は多いと思います。そんな人にこそ読んで欲しいのが本書です。教科書の範囲から外れてしまう内容もありますが、時代の流れを掴むことで世界史という科目の面白さに気づくことが出来ます。中々世界史の学習に意欲が湧かない人は一度読んでみると、世界史に対する見方が変わるでしょう。

『荒巻の新世界史の見取り図』の使用場面

教科書と併用します。

本書で大局観を掴み、教科書や他の参考書などで細かい点を補うという使い方をしてください。

『荒巻の新世界史の見取り図』の使い方

全体の流れを理解したところで、他の人に解説してみることをオススメします。狙いはアウトプットして記憶を定着せることです。

周りに適切な人がいなければ、一人で解説しましょう。自分が先生になったつもりで、頭の中でインプットしたことを解説します。その際、想定する生徒は世界史をこれから習う人です。自然と誰でもわかるような説明は、自分の頭の中でしっかりと理解しておかないとできません。アウトプットを通してインプットの質が飛躍的に向上します。

世界史は時代・地域ともに範囲が広いため覚えにくく忘れやすいです。それを防ぐ為に出来るだけインプットしたことを外に出すようにしましょう。

『荒巻の新世界史の見取り図』使用上の注意点

本書はなんとなく読んでしまうとあまり効果がありません。事前に何のために利用するのかを明確にしておきましょう。基本的には、

  1. 東大世界史第一問で高得点(具体的には8割程度)を安定して取るため
  2. 勉強に疲れた時の息抜き

という2点が本書を使用する主目的となります。

『荒巻の新世界史の見取り図』の欠点

本書の欠点を挙げるとすれば、細かい情報があまり載っていない点です。

省かれている単語や年代を補う勉強は別途必須です。

共通テストや東大世界史の第二問、第三問を対策する教材には適していないので、その対策は他の参考書を使って行います。

『荒巻の新世界史の見取り図』の習得レベル

参考書なので特に習得レベルはありません。