1)公式理解がすべて
物理は、化学や生物と違い、暗記しなければならない知識は少ないです。しかし、これをポジティブに捉えるかネガティブに捉えるかは人によるでしょう。私はネガティブにとらえています。というのも、化学や生物は知識量に比して成績が上がるため「最悪これ以上落とすことはない状態」まで努力次第で持っていくことが可能なのですが、物理は努力しても公式理解できないまま入試を迎えてしまうと絶望的です。
問題設定はいくらでも複雑化できます。しかし、一見複雑な状況を解きほぐし、簡単な事象の組み合わせであるところまで見抜けるようになれば高得点が可能なのも物理の特徴です。
2)論点は、どうすれば効率的に公式理解ができるか?
物理の論点は、どうしたら効率的に公式理解ができるか、に尽きます。物理では典型問題をひたすら解くのではなく、問題に対して解説が十分に載っていることや、複数の公式を利用したり、複数の典型問題が組み合わさってできた問題に取り組むことを通して公式の運用方法について理解を深めていくことで、どんな問題にも対処しやすくなります。
まずは解説が多く、問題を通して事象理解を促すような教材をやりましょう。松濤舎では、事象をビジュアル化し、感覚的に理解できるようになる宇宙一わかりやすい高校物理シリーズを推奨しています。
これだけで偏差値60が取得可能です。
3)教科書傍用問題集で公式運用する
物理は公式理解がすべてとはいえ、最初からできるものではありません。ステップとして、まずは理解していないなと思いながらでも、公式に当てはめるだけの問題、公式を運用するだけの問題、典型問題はひと通り解けるようになるべきです。
松濤舎では『エクセル物理』などの教科書傍用問題集を、まずは基本問題まで8割以上解ける状態にもっていくことからすたーとしています。これだけで偏差値60まで出ることがわかっています。
他の教科書傍用問題集でも代替可能
学校で配られた別の教科書傍用問題集があれば、そちらを使用してもよいです。
4)『良問の風』で、典型問題を網羅しつつ公式理解する
『エクセル物理』などの教科書傍用問題集で公式運用ができるようになったら、典型問題にひと通り触れるフェーズとなります。物理にも、よく出題される問題や公式理解を深める問題、公式理解しているかどうかを試すのに格好の問題がが存在します。こういった典型問題をやることで効率的に公式理解できるようになるだけでなく、初見の問題が減り、模試や入試で対応しやすくなります。
松濤舎の指定教材は『良問の風』です。網羅的に典型問題を扱っており、各問題にテーマ名が書かれているので問題をパターンとして頭に入れやすくなっています。解説もわかりやすいので自力で進めやすいのも特徴です。
『良問の風』だけで偏差値67.5まで取得可能で、ほとんどの大学でボーダー偏差値を超えることができます。
5)『名問の森』でさらなる高みへ
市販教材で最後にやるべきなのが『名問の森』です。本書で偏差値70まで取得可能です。
物理は完璧に理解できていると高得点が安定的に取れ、そうでないと点数が安定しない科目です。物理選択したということは(=生物選択にしなかったということは)安定を捨て、高得点を狙いに行っているからであるはずなので(=でなければ生物選択にするべき)、物理選択者は原則として『名問の森』まで入ると思っていてください。
名問の森
6)難系は必須でない
市販教材の中でもっとも難しい問題集は難系ですが、必須ではありません。東大理Ⅲ・京大医・慶應医を受験する人は他の人も解いているという消極的な理由からやってもいいと思いますが、スキップして過去問に入っても全然OKです。実際、現役生で時間がない人は本書をスキップして過去問演習に入っても合格していますので。
やるとしたら例題のみでOKです。
6)過去問演習を通し、理解の穴を問題集で埋める
やるべき問題集を習得し終わったら、過去問演習に入って理解の穴を埋めましょう。過去問も、あくまで公式理解深めるためにやっているという認識を持ち、どうしてそう考えて解くのかわからなければすぐに参考書・問題集に戻り、理解を深めるようにしましょう。