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【決定版】大学受験の物理勉強法|参考書ルートと到達偏差値

結論:物理は「公式理解」がすべて

物理の論点は、どうすれば効率的に公式理解ができるか——これに尽きます。

物理は化学や生物と異なり暗記する必要がある知識が少ない科目ですが、松濤舎ではこれをネガティブに捉えています。

化学や生物は知識量に応じて成績が伸び、努力で「これ以上落とすことはない状態」まで持っていけますが、物理は努力しても初見問題に対応できないまま入試を迎えてしまう可能性が残るからです。

一方で物理は、問題設定はいくらでも複雑化できる反面、一見複雑な状況を簡単な事象の組み合わせまで解きほぐせれば高得点が可能です。

だからこそ、典型問題の反復ではなく、解説が十分な問題・複数の公式を使う問題・典型問題の組み合わせ問題を通して公式の運用理解を深める。これがどんな問題にも対処できるようになる唯一の道で、以降で紹介する教材の順番もすべてこの原理から導かれています。

志望校からではなく「教材」から考える

教材ごとに到達可能な偏差値が決まっているので、松濤舎ではそこから志望校を考えます。

「地方国公立ならここまで」「旧帝ならここまで」と志望校から逆算して教材を決める表が多く出回っていますが、順番が逆です。

先に教材ごとの到達偏差値があり、そこから志望校や、志望校レベルに応じた各問題集の習得レベルを決めるのが松濤舎の指導です。

指定教材と到達偏差値は次のとおりです。

教材位置づけここまでで到達可能な偏差値
『宇宙一わかりやすい高校物理』別冊問題集入門・状況理解偏差値60
『良問の風』典型問題の網羅偏差値67.5
『名問の森』入試実戦・応用偏差値75
  • 合格者の平均偏差値が偏差値60で届く大学なら、『宇宙一わかりやすい高校物理』別冊問題集の完璧化で足りる。それ以上の教材は不要。
  • 偏差値67.5が必要なら『良問の風』まで、偏差値75が必要なら『名問の森』まで入る。
  • 逆に、自分がどこまで習得できているか(できそうか)から現実的な志望校を考えることもできる。

重要なのは、教材を増やすのではなく、指定教材の習得レベルを上げることで偏差値が上がる点です。同じ『良問の風』でも、5割解ける状態と8割解ける状態では到達偏差値が違います。

買い足す前に、手元の問題集に×マークが残っていないか、正答率が低くないかを確認してください。

ステップ1:『宇宙一わかりやすい高校物理』で公式を感覚的に捉える(→偏差値60)

別冊問題集の正答率を8割にすることで、偏差値60を取得することが可能です。

まずは解説が豊富で事象理解を促す教材として、事象をビジュアル化し、感覚的に理解できる『宇宙一わかりやすい高校物理』シリーズを使います。習得の対象は別冊の問題集です。

1問の目安は、本冊(解説部分)を読む時間を含めて20分です。解けなかったら本冊に戻る往復が前提の教材なので、「解く時間」だけで見積もると足りなくなります

検証:教科書傍用問題集は必要?→現在は『宇宙一』別冊で代替

松濤舎では以前は『エクセル物理』などの教科書傍用問題集からスタートしていましたが、現在は『宇宙一わかりやすい高校物理』の別冊問題集で代替しています

公式理解がすべてとはいえ最初からできるものではないので、まずは理解しきれないままでも、公式に当てはめる・運用するだけの問題と典型問題をひと通り解けるようになるべきです。

教科書傍用問題集は基本問題まで8割以上解ける状態にする使い方で、これだけで偏差値60まで出ることがわかっています。

しかし基本例題・基本問題だけでも300〜400問あり、その習得だけで入試を迎えるケースがありました。

「基本問題に時間がかかるなら他の問題集でも厳しいのでは」という考えもありますが、物理は「網羅よりも理解を優先する科目」です。ルートを変更したのはこのためです。

『宇宙一わかりやすい高校物理』の別冊問題集は約160問で、最小限の問題数で偏差値60を出せます。ここから『良問の風』に進みます。

傍用問題集をやる場合は学校配布のもので代替可能

学校で配られた教科書傍用問題集があれば、そちらを使用してOKです。

対象は、時間のある現役生や傍用問題集が定期テスト範囲になる人で、『セミナー物理』『センサー物理』『リードα物理』などが該当します。

傍用問題集はどれも収録問題の性質が近く、買い直す必要はありません

ステップ2:『良問の風』で典型問題を網羅しつつ公式理解する(→偏差値67.5)

『良問の風』だけで偏差値67.5まで取得可能で、ほとんどの大学でボーダー偏差値を超えられます。

ステップ1で公式運用ができるようになったら、よく出題される問題・公式理解を深める問題・公式理解を試す問題=典型問題にひと通り触れるフェーズです。典型問題をやることで効率的に公式理解が進むうえ、初見の問題が減って模試や入試で対応しやすくなります。

松濤舎の指定教材は『良問の風』です。典型問題を網羅し、各問題にテーマ名が書かれているのでパターンとして頭に入れやすく、解説もわかりやすいため自力で進めやすい教材です。

1問の目安は20分です。

ステップ3:『名問の森』で入試実戦レベルを仕上げる(→偏差値75)

市販教材で最後にやるべきなのが『名問の森』で、本書で偏差値75まで取得可能です。

物理は完璧に理解できていると高得点が安定的に取れ、そうでないと点数が安定しない科目です。

物理を選択したということは、安定を捨てて高得点を狙いに行っているはずです(でなければ生物選択にするべきです)。そのため物理選択者は原則として『名問の森』まで入ると思っていてください。

1問の目安は30分です。

『難問題の系統とその解き方』は不要

市販でもっとも難しい問題集『難問題の系統とその解き方』(難系)は、必須ではありません

東大理Ⅲ・京大医・慶應医の受験者が「他の人も解いているから」という消極的な理由でやるのは構いませんが、スキップして過去問に入っても全然OKです

実際、松濤舎では時間のない現役生が本書をスキップして過去問演習に入り、合格しています。やるとしても例題のみでOKです。

所要日数は出さない。1問にかける時間の上限を決める

松濤舎では「1日◯問で◯日で終わる」という目安を出さず、教材ごとに1問にかける時間の上限を指定しています。

計画に組み込めば、時間のかけすぎも駆け足も防げるからです。

教材1問あたりの目安
『宇宙一わかりやすい高校物理』別冊問題集20分(本冊を読む時間を含む)
『良問の風』20分
『名問の森』30分

物理でよくある失敗は、1問に1時間悩んで「今日は物理を頑張った」と満足することと、解答を見て納得しただけで進み公式理解が深まらないことの2つです。

時間の上限を先に決めれば前者は起きません。上限まで考えて解けなければ解答を読み、なぜそう考えるのかがわからなければ入門書に戻る。これが物理の正しい進め方です。

所要日数を出さないのは、所要期間や1日の問題数は成績や他科目との兼ね合いで一概に言えないからです。

物理は1日1〜2時間でよい(現役1時間・浪人2時間)

物理にかける時間は、現役生なら1日1時間、浪人生なら1日2時間で考えれば大きく間違えません。

所要日数の代わりに指定しているのが科目別の1日あたりの学習時間です。塾生に実際に配分している時間のベースは次のとおりで、人によってここから調整します。

英語数学物理化学
浪人生1.5時間6時間2時間2時間
現役生1.5時間3時間1時間1時間

物理の時間が思ったより短いと感じた方が多いはずですが、物理にかける時間は他科目とのバランスの中で決まります。

大学受験の物理勉強法に関するQ&A

志望校レベル別の参考書ルートは載せていないのですか?
載せていません。教材ごとの到達偏差値(宇宙一の別冊問題集で偏差値60、良問の風で67.5、名問の森で75)が先に決まっており、そこから志望校を考える順序で指導しているためです。志望校から逆算するとルートが分岐して複雑になりますが、教材から考えれば1本の線で済みます。
物理の網羅系問題集は何を使えばよいですか?
松濤舎の指定は『良問の風』です。典型問題を網羅し、各問題にテーマ名が書かれていてパターンとして頭に入れやすく、解説もわかりやすいため自力で進めやすいからです。これだけで偏差値67.5まで取得可能です。
教科書傍用問題集は学校で配られたもので大丈夫ですか?
大丈夫です。松濤舎の指定は『エクセル物理』ですが、セミナー物理・センサー物理・リードα物理などで代替可能で、買い直しは不要です。まずは基本問題まで8割以上解ける状態を目指してください。
『名問の森』はやらないといけませんか?
物理選択者は原則やると思っていてください。物理選択は安定を捨てて高得点を狙いに行く選択のはずだからです。ただし志望校が偏差値67.5で届く大学なら『良問の風』までで足ります。
『難系』はやるべきですか?
必須ではありません。東大理Ⅲ・京大医・慶應医の受験者が消極的な理由でやるのは構いませんが、スキップして過去問に入って問題ありません。松濤舎では時間のない現役生がスキップして過去問演習に入り、合格しています。やるなら例題のみでOKです。
物理は1日どれくらい勉強すればよいですか?
現役生1日1時間、浪人生1日2時間が松濤舎の標準です(英語1.5時間、数学は現役3時間・浪人6時間、化学は物理と同じ)。理系受験で最も時間を要するのは数学なので、物理に時間を使いすぎないことのほうが重要です。
1問にどれくらい時間をかけるべきですか?
宇宙一の別冊問題集は20分(本冊を読む時間を含む)、良問の風は20分、名問の森は30分が目安です。この上限を先に決めることで、時間のかけすぎも駆け足も防げます。

共通テストの物理対策は次の記事で解説しています。