1)国語はコスパ重視の科目
ほとんどの受験生にとって国語は共通テストのみで課せられる科目です。一部の文系学部では個別試験でも出題されますが、総合点の配点比率では英語・社会と同じかやや少ないです。しかも、この2科目は勉強時間に比して成績が伸びるのに対し、国語は一定勉強するとすぐに頭打ちします。
成績を伸ばす理屈がわかっていればすぐに切り上げることができない。勘所を知らないままダラダラと勉強しないよう、コスパ重視で考えるべきなのが国語です。
2)評論文は「正しい解き方」を身につけるだけ
評論文は知識がいらず、正しい解き方をしたら、あとはそれを正確かつスムーズに遂行するトレーニングを積むだけで対策は完了します。マーク式と記述式では「読み方」は共通していますが「解き方」が異なるため注意しましょう。
3)評論文の読み方
評論文は、①まず冒頭の一部と最終段落(最終段落が長い場合は最終2〜3文)を読んだ後、②各段落の最初の一文を読みます。それから、③問題を確認して何に答えたらいいかを確認したあと、問いを念頭に置きながら冒頭から該当する下線部までザッと読みます。あとは問いに答えるだけです。
特に重要なのは①②のステップです。これをするだけで概要は十分掴め、しかも所要時間は1〜2分ほどです。概要を掴む目的は次の3つです。
①速読するため
概要を掴めば、その文章の何が重要で何が重要でないかが判断できるようになります。逆に、どんな内容かわからないのに重要・非重要の判断はできないため、概要を掴まず速読などできないと思ってください。
②精読するため
速読できるからこそ、選択肢の吟味や記述に盛り込む内容の精査に時間をかけることができます。
③大枠を外さないため
概要を掴んでいるからこそ、全体の論旨を踏まえて、局所的な部分の問いに答えることができます。出題者の意図もおぼろげにわかりますし、大枠を掴んでいるからこそ各小問での解答に自信が持てるようになります。
4)マーク式の解き方
マーク式の場合、自分なりに言語化できていない状態でも大丈夫なので、選択肢を順に見に行きます。この時点では文章全体の概要と、下線部までのざっとした読みしかしていない、すべての選択肢はおそらく削れません。あとは、残った選択肢を1つ1つ精査するために、裏付ける根拠、あるいは矛盾する記述を本文に探しにいきます。
ポイントは、逆説の接続詞があったら△を書くといったミクロな読解や、対比を見つけるといった型にはまった読解は一切しないというところです。こんなことをしていたら絶対に時間が足りません。9割以上の文章が不要な文章であるのに、それを1つ1つ丁寧に(?)読んでいくのは非常に非効率です。結局、選択肢を見て迷って本文に戻ることになるので、その時に精読したらよいのです。
部分を精読すれば全体が理解できる、が間違い
接続詞に着目したり、指示語に注目して読み進めたりする読み方をするのは、「部分の理解を積み重ねれば、全体を理解できる」と考えてしまっているからです。これは一見正しいように思うかもしれませんが、たいていは木を見て森を見ずとなり、全体の論旨を見失います。
重要なのは逆で、全体を捉えたあとだからこそ部分を深く理解できるという真実に気づくことなのです。全体の論旨がわかっていないのに、各文の重要・非重要は判断できません。ミクロに読み進める人は、ミクロな情報から何が重要な文なのかの手がかりをつかもうとするのですが(例えば、逆説の後が重要など?)、そもそも概要がわかっていれば瞬時に判断できます。それに、逆説の後に重要でない文章がくるケースは非常に多いので、そんな小手先のテクニックはまず通用しません。
5)記述式の解き方
記述式の場合、「下線部はどういうことか、説明せよ」といった説明問題が多いのですが、この説明問題は下線部の言い換えがすべてです。下線部の日本語を文節で区切り、それぞれを本文で使われている言葉や内容に沿って言い換えていくのです。
自分で好き勝手に文章を作ればいいのではありません。下線部の文章が解答の文章構造を規定するので、その箱の中に文章を入れていくと答えが完成します。
随筆もまったく同じようにして解くことができます。
6)小説も「正しい解き方」を身につけるのみ
小説も評論文と同じく、正しい解き方さえ知りさえすれば、あとはこれを正確かつスピーディーに遂行できるまで演習して対策は完了します。ここでは、共通テスト対策に限って記載します。
まず、①冒頭の第一文と最終段落(長い場合は最後の2〜3文)を読みます。②そのあと問題を確認し、③問いを念頭に置きながら冒頭から下線部までザッと読み、解答します。
選択肢は”ありえる”ものばかり
小説の選択肢は、どれも可能性としてはありえるものばかりです。評論文は論旨的にあり得ない、ロジック的にあり得ないといった削り方ができますが、小説はそれができません。選択肢がよって、小説こそ必ず根拠を探しにいかないといけないのです。つまり、評論文と同じようにザッと読んだあと選択肢を精査するという、緩急をつけた読み方が必須となります。
問題を通して内容もわかってくる
選択肢を読む前に、どんな内容になりそうかを予想することは非常に難しいです。これは評論文も小説も同じです。そのため選択肢を読んでから精査するのですが、この過程で内容理解を深めていくというのが、共通テストの小説なのです。100%理解した状態だから正解が選べるのでなく、問いを通して理解していくのです。
そのため、後に解いた問題を通して内容を理解し、前の問題に戻って正しい選択肢を選び直す、といったことも起こることを知っておきましょう。
7)古文は単語・文法・古文常識
古文は外国語のようなものと捉えてください。つまり、単語と文法を知らないと読めるはずがありません。単語については現代語と同じなのに違う意味で使われているものが問題にされるため、必ず覚えなければなりません。
松濤舎では学校指定されることの多い『古文単語330』『古文単語315』を指定教材としています。前者の方がベターですが、後者を持っている人が買い足す必要はありません。
「補完」がポイント
古文は主語が省略されたり、散文的で話の繋がりが見えなかったりと、とにかく虫食い感が満載です。ここが古文を非常に難しくしている原因です。
これを解消するには、まず古文常識を身につけること。舞台や状況を知ることが理解を補完してくれます。古文単語に古文常識が載っているものも多いので、単語と一緒に覚えると効率的です。
現代語で書かれているものはすべてヒント
最初の導入、選択肢など、現代語で書かれているものはすべて本文を理解するためのヒントだと思ってください。本文だけで読解は不可能だと考えると比較的楽に読めます。
例えば、古文では最後の小問が「誤っている選択肢を選べ」になっていることがあります。これは、1つを除きすべてが正しい内容だということです。このようにして出題者はヒントをくれたり、難易度調整しています。
古文は例年難しく、真面目に対策してもなかなか安定して得点できません。共通テストでは35点取れたらOKとし、それ以上は追い求めないようにしましょう。
8)漢文は句法・漢字
漢文は非常に簡単で、とにかく句法と漢字の意味を覚えたら終わりです。あとは精読していき、内容を掴むだけです。松濤舎では早覚え速答法を指定教材としています。東大生もこれだけで個別試験に対応できたと答える人が多いです。