完了日の1/2~1/3の期間で1周せよ
結論から言うと、問題集(または章)を完了させたい期間の1/2~1/3で1周するペースで進めましょう。
ロジックはシンプルで、下記の無限等比級数をもとにしています。
①1+1/2+1/4+…+(1/2)^n+…=2
②1+2/3+4/9+…+(2/3)^n+…=3
つまり、前回1周するにかかった時間の1/2の時間で復習していけば、はじめの1周にかかった時間の2倍の時間で問題集が習得完了するということです(式①)。復習すべき問題は減っていきますし、解答・解説にも既視感があって読む時間も減るので、1/2の時間で復習していくことは可能でしょう。
厳しければ、前回1周するのにかかった時間の2/3の時間で復習する試算をすると、はじめの1周にかかった時間の3倍の時間で問題集が習得完了する計算になります(式②)。つまり、完了させたい期間の1/3で最初の1周をすればいいということです。
上記から、問題集を習得したい日までの1/2~1/3の期間で1周にしたらよいことがわかります。ここから、1日あたりにやるべき問題数も算出できます。
例を示しましょう。
例:現在4月1日で、7月末までに完成させたい問題集の場合
問題集に掲載されている問題数が600問あるとします。4月1日から7月末までは4ヶ月あるので、2ヶ月で1周するペースで進めたら良いわけです。つまり60日で600問を1周すればいいので、1日10問やる計画になります。1問あたり15分としたら、1日2時間半、その問題集にかけたらよいということがわかります。
余裕をもって計画するならば、4ヶ月(=120日)の1/3で1周する計画にしたらよいので、40日に1周するペースで計画を立てます。40日で600問なので、1日15問やる計算になります。1問あたり15分かかるとしたら、1日約4時間、その問題集にかけることになります。
松濤舎では、上記の計算式や経験則をもとに、1日あたりにやるべき問題数にまで落とし込んだ課題作成をしています。
1周目は時間がかかる
1問あたりの目安時間を意識しすぎて、わからないまま丸暗記しようとするのは絶対にやめましょう。特に1周目は時間がかかりますが、初見なのでしょうがありません。2周目以降に覚えておくために頭に定着させようとすることが重要です。
次に復習するまで覚えていられるようにするには、ポイントに絞って頭に入れようとすることがポイントです。数学であれば、どのパターンの問題のときにどのような一歩目を踏み出すか、どのような展望で展開しておくか、といったところに絞って頭に入れていくことがポイントです。
また、有意味暗記すると長期記憶することが知られているので、既有知識に関連付けて覚えようとすると良いでしょう。類題や、ひと回り簡単な問題との関連性(類似点や相違点)に目を向けることがポイントです。
人によって、かかる時間は異なる
復習するのにかかる時間がどれくらいになるかは、人によって異なります。
1問にかかる時間も、定着させるのに必要な周数も、人によってバラツキがありますが、これはどうしようもないことです。
というより、どうしようもないことだから「努力と時間でどうにかしよう」と割り切れる人が難関大学に入っています。
重要なのは、自分でできるようになるためには10周以上することも厭わないことです。最難関大学合格者だったとしても『Focus Gold』のような網羅系問題集において10周以上繰り返した問題は、数え切れないほどあります。私もそうでした。
「他の人はもっと簡単に習得しているはずだ」
「難関大学に合格する人は、こんなに1問の習得に時間がかかるはずはない」
と勝手に思い込むのは、絶対にやめましょう。
受験は、入試本番までに必要な知識量を身につけたらいいのです。それまでに何周したのかは問われませんよ。
バッファを設けた計画を
受験勉強では予想外のことがばかり起きます。というより、自分がどれくらい暗記しておけるのかなどを発見していくのが受験勉強でもあるので、正確に予想することは無理です。
(少し脱線しますが、このような「自分がどれくらい覚えておけるか」に関する認知をメタ記憶と言います。学習経験が浅い人ほどメタ記憶が弱いことが知られています。学習経験を通して、自分のことを知っていってください)
とにかく悲観的に計画を立て、バッファを設けた計画を立てるようにしましょう。
まずは問題集を終わらせたい期間の1/3で1周する計画を立て、それに必要な勉強時間を確保することから始めましょう。
松濤舎では、手帳を用いた自己管理指導もしています。