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【決定版】夏休みの学習計画の立て方|学年別の勉強時間と1日のスケジュール

夏休みは、高校生活で3回しかない貴重な演習時間です。この記事では、夏休みという期間をどう捉え、学年別に何を・どれだけやるべきかを、松濤舎の塾生の実測データとともに解説します。

夏休みの捉え方:「借金を返す期間」

まず、夏休みという期間をどう捉えるべきか(=どんな”夏休み観”を持つべきか)というと、それは「借金を返す期間」となります。

受験勉強の原則として、定期テスト対策期間中に、新しく習った範囲を高い習得レベルに引き上げることが求められます。しかし、苦手科目や難しい範囲だと、十分に習得レベルを高められないまま定期テストを迎えることがあります。

こうして定期テスト対策期間中に十分に対策できなかった問題を「借金」と呼び、これを精算するのが夏休みです。夏休みの本質は、新しいことを習う期間ではなく、演習不足を解消する期間です(この観点から、夏期講習をおすすめしない理由を【決定版】夏期講習は必要か?で解説しています)。

次の模試の出題範囲を優先する

学校の進度が早い人は、既習範囲が広くて夏休みに頑張っても間に合わないこともあり得ます。その場合に優先すべきは、次の模試の出題範囲です。8月末の第2回全統記述模試の範囲でまだ解けていない・覚えられていないものから潰していきます。

習得レベルの穴を埋めていこう

目指す偏差値から逆算し、その偏差値に到達できない要因となっている問題や分野を優先的に克服していきましょう。普段から問題集に○×マークをつけて管理していれば、×マークの問題(=借金)が復習対象です。問題番号を書き出したチェックシートを作り、夏休み中にしらみつぶしに潰していくのがおすすめです。

“借金”のない人は、さらに難しい問題集へ

借金を残さずきちんと勉強してきた人は、さらに高い習得レベルを目指して次の問題集に入りましょう。

なお、先取り学習(学校の未習範囲の予習)は効率が悪いのでやらなくてよいです。学校の授業で全体観を掴み、机に向かえる時間は既習範囲の問題演習やインプットに充てるのが受験の原則です。

夏休みの勉強時間:学年別の目安と実測データ

勉強は時間で測るものではありませんが、目安を持っておくと判断基準になります。

基本の考え方は、夏休みは一学年上の先輩が定常的に割くべき勉強時間だけ勉強するです。定常的に割くべき勉強時間(1週間あたり)は下記となります。

  • 高1:25時間
  • 高2:35時間
  • 高3:49時間
  • 浪人生:84時間

以上から、夏休みの勉強時間(1週間あたり)の目安は下記となります。

  • 高1の夏休み:週35時間(≒5時間/day)
  • 高2の夏休み:週49時間(≒7時間/day)
  • 高3の夏休み:週70〜84時間(≒10〜12時間/day)

高3生は、理想としては浪人生が定常的に勉強する84時間(≒12時間/day)が目標ですが、慣れるまでは70時間(≒10時間/day)でよいでしょう。

この数字は理想論ではありません。松濤舎では塾生から毎週、勉強時間を報告してもらっていますが、医学部に合格した浪人生の勉強時間は平均10.5時間/day(自己申告の週次報告の平均)でした。合格する受験生は、実際にこれだけの時間を確保しています。

1日のタイムスケジュール実例

「1日12時間も勉強できるのか」と思うかもしれませんが、時間割にすると現実的であることがわかります。以下は、実際に1年間の浪人で医学部に合格した塾生の生活スケジュールです。

項目時間
睡眠8時間
朝食30分
昼食30分
夕食・お風呂2時間
勉強12時間
休憩(随所に10〜15分)約1時間
合計24時間

睡眠8時間を確保しても、1日12時間の勉強は成立します。起床・就寝の時刻は何時でも構いません。大事なのは総量の確保です。

網羅系問題集を夏で仕上げる:40日で600例題

高3の夏の最重要ミッションは、『NEW ACTION LEGEND(レジェンド)』や『Focus Gold』などの網羅系問題集を仕上げることです。松濤舎の標準設計を公開します。

  • 1例題あたりにかける時間は20〜30分が定石です。
  • 数学に1日6時間充てるなら、1日15例題進みます。
  • 夏休みを40日とすると、40日で600例題に取り組めます。

この600例題という数字が持つ意味は大きいです。『レジェンド』の例題数は数I+Aが303題、数II+Bが385題、数IIIが297題です。

  • 文系:数I+A・数II+Bの例題は計約690題。すでに解ける問題(○マークの問題)を飛ばせば、夏休みだけで全範囲を1周できます
  • 理系:数IIIまで含めると例題は約1,000題になるため全問1周は難しいですが、高3・浪人生で全例題が復習対象という人はまれです。×マークの問題(解けない問題)だけに絞れば、十分回りきります。

○×の付け方はシンプルです。問題を見て、ノーヒントで瞬時に完答できたら○。一歩目がすぐに出なかったり、解くのに時間がかかったら×をつけて復習対象とします。

『レジェンド』の詳しい使い方は【決定版】『NEW ACTION LEGEND』の使い方とレベルを参照してください。

学年別・夏休みにやるべきこと

高1が夏休みにやるべきこと

高1は前提として英数の2科目を極めるのが定石です。よって、この期間に英語と数学を進めましょう。

英語は、単語30分(=1日120語、1単語15秒)、文法問題集1時間(=1日30問、1問2分)、長文30分(=1日1長文)で合計2時間やります。

数学は、残り時間を充てます。例えば1日5時間勉強するとしたら、1日3時間数学に充てます。

国語や社会の勉強もしたいという人は、上記課題を優先した上で追加するとよいでしょう。

高2が夏休みにやるべきこと

高2も英数の2科目を優先する学年です。ただし、ちょうど既習範囲が一定ある状態になっているので、夏休み中に既習範囲を復習しておくとよいです。

理科であれば理科基礎を習い終わっているところが多く、社会も一定の進捗があるはずなので、その部分のインプットを進めておきましょう。

秋以降の進研模試から理科・社会が出題されます。全統記述模試は高2の2月から理科・社会が出題されます。もし夏休み時点で既習なのであれば、エクセルやセミナーなどの教科書傍用問題集で解けるようにしておきましょう。

<理科>
物理:電流とオームの法則、気柱の共鳴[物理基礎]円運動[物理]
化学:物質の構成、物質量と化学反応式、酸と塩基[化学基礎]結晶、物質の状態変化、気体[化学]
生物:生物と遺伝子、生物の体内環境の維持、生物の多様性と生態系[生物基礎]生命現象と物質[生物]

<社会>
世界史B:中国の王朝と都、キリスト教の成立と発展、東南アジアの歴史、詩人とその時代
日本史B:原始の社会、古代の政治・社会、古代の文化、古代・中世の外交
地理B:地理情報と地図、自然環境、資源と産業、現代世界と日本
政経:民主主義の原理と日本国憲法の人権保障、市場経済の特質と経済政策、国会・内閣・裁判所の相互関係と地方自治、日本経済の動向と国民生活の諸問題、戦後の国際政治と国際経済
倫理:源流思想総合、日本の思想、西洋近現代思想、現代社会の倫理的課題

英語は高1とほぼ同じで、単語・文法・長文です。すでに文法問題集が終わっている人は、和文英訳対策としての英文暗記や、志望校によっては(東大・京大・阪大など)和訳対策に入ることもあります。合計2時間とることが多いです。

数学も既習範囲(※模試の出題範囲を優先)の習得レベルを上げていきます。『レジェンド』や『Focus Gold』を優先的に終わらせ、終わったら『1対1対応の演習』に入っていきます。合計3時間取ることが多いです。

1日7時間勉強するとしたら、理科や社会に1〜2時間、国語に1時間取る計画になることが多いです。英数の進捗によっては、理科・社会・国語よりも英語・数学に優先的に時間を使うこともあります。

高3が夏休みにやるべきこと

英語は高2と同じように計画し、2時間ほど確保します。

数学も高2と同じように考えます。多くの高校が夏休み時点でほぼすべての範囲を習い終わっており、8月末の第2回全統記述模試でも全範囲が出題されますので、全範囲が復習対象となります。

数2Bは問題数が多く、数3は比較的難易度が高いため、高3夏休み時点で『レジェンド』や『Focus Gold』が終わっている人はあまりいません。最後の夏休みに徹底して網羅系問題集を終わらせることがゴールになる人が多いです(上述の「40日で600例題」の設計を参照してください)。

理科や社会も、模試の出題範囲がほぼ全範囲となります。よってこれらの対策にも時間の確保が必要です。

<理科>
物理:物理基礎全範囲・物理(原子分野を除く)
化学:化学基礎全範囲・化学(高分子化合物を除く)
生物:生物基礎全範囲・生物(生態と環境および生物の進化と系統を除く)

<社会>
世界史B:ヨーロッパ・アメリカ▶19世紀まで(帝国主義の前まで)/中国・西アジア・インド・東南アジア▶18世紀末まで
日本史B:原始・古代~近世(天保の改革まで)
地理B:地理情報と地図、自然環境、資源と産業、人口、都市・村落、生活文化、民族・宗教、地誌など
倫理:全範囲
政治経済:全範囲

1日10時間勉強するとして、英語2時間、数学4時間、理科3時間or社会3時間、国語1時間、といった配分になることが多いです。これは国公立志望者の平均的な例であり、個々人によって調整が必要です。

夏休みにやってはいけないこと

共通テスト対策を始める

理系であれば国語・社会・情報など、共通テストでしか使わない科目の対策を夏から本格化させるのは得策ではありません。

共通テストの点数は、記述模試の偏差値と強い相関があります(松濤舎の塾生データで相関係数0.8)。つまり共テ対策は「形式へのアジャスト」でしかなく、学力が上がりきっていない夏にアジャストしても無駄が多いのです。夏以降に月1回ペースで共テ模試を受け、足りなければ11月以降に過去問・予想問題集で補えば十分間に合います。

これらの科目で夏にやるべきことがあるとすれば、講義や問題演習ではなく暗記です(古文単語・古文文法・漢文の句形・重要漢字など)。詳しくは【決定版】模試の効果的な受け方を参照してください。

過去問演習を始める

夏はまだ、志望校の過去問演習をする時期ではありません。過去問は消化するともったいない教材であり、網羅系問題集の習得レベルが上がりきっていない状態で解いても、「解けなかった。なぜなら習得レベルが低いから」という当たり前の結論に至るだけです。夏は問題集の習得レベルを上げることに集中してください。

夏期講習を取りすぎる

講義形式の夏期講習は、演習時間を削ります。夏の本質が「演習不足の解消」である以上、講習で時間を埋めるのは本末転倒です。詳しくは【決定版】夏期講習は必要か?で解説しています。

計画は崩れるもの:立て直しの考え方

夏休みの計画は崩れるものです。そもそも、夏休みの計画を最初から正しく作れる人は、プロ以外にいません。

自分で計画を立てる場合は、「1問あたり何分かける前提か」を必ず明記してください。これを明確にしておくことで、計画が崩れたときに「無謀だったのか、余裕がありすぎたのか」を振り返ることができます。計画倒れの多くは、1問あたりにかけるべき時間の見積もりがタイトすぎることが原因です。

また、風邪や突発的なイベントで課題が終わらなかった場合、遅れを取り返そうとしないでください。松濤舎では、終わらなかった分は1日または1週間単位でリセットして切り替え、また次の1週間を頑張る、という運用にしています。取り返そうとすると計画全体が連鎖的に崩れていきます。

なお、松濤舎ではプロが一人ひとりの計画を立てているので、基本的に必要な時間さえ割けば課題が終わるようになっています。夏の1ヶ月間だけ演習中心の学習を体験できるサマースクールも開講しています。

最後に

夏休みは高校生活で3回しかない貴重な演習時間です。「借金を返す」「一学年上の勉強時間をやる」「網羅系を仕上げる」——この3点を押さえて、最大限に活用してください。

「夏休みの学習計画の立て方」に関するQ&A

夏休みの勉強時間はどれくらいが目安ですか?
一学年上の先輩の定常的な勉強時間が目安です。高1は週35時間(5時間/day)、高2は週49時間(7時間/day)、高3は週70〜84時間(10〜12時間/day)です。実際、医学部に合格した松濤舎の浪人生の平均は10.5時間/dayでした。
1日12時間の勉強は現実的ですか?
現実的です。睡眠8時間+食事・入浴3時間+休憩約1時間を確保しても、24時間の中に12時間の勉強時間は収まります。実際に医学部合格者が行っていた時間割です。
夏休みにレジェンドは終わりますか?
1日6時間数学に充てれば、40日で600例題進みます。文系(数I+A・数II+Bで例題約690題)なら、解ける問題を飛ばして全範囲1周が可能です。理系は解けない問題だけに絞れば回りきります。
夏休みに共通テスト対策は必要ですか?
不要です。共テの点数は記述模試の偏差値と強い相関があるため、夏は記述力(問題集の習得レベル)を上げることに集中し、形式へのアジャストは秋以降で間に合います。
計画通りに進まなくなったらどうすればいいですか?
遅れを取り返そうとせず、1日または1週間単位でリセットして切り替えてください。また「1問あたり何分かける前提の計画か」を明記しておくと、崩れた原因を振り返れます。
夏休みに先取り学習はすべきですか?
不要です。未習範囲は学校の授業で全体観を掴めば十分で、机に向かえる時間は既習範囲の演習に充てるのが原則です。