[推奨]松濤舎の指定問題集です。
『日本史論述問題集』の特徴
山川出版社の教科書『詳説日本史』『新日本史』に対応する論述問題集のため、論述テーマごとに根拠となる教科書の引用が掲載されているところが大きな特徴です。教科書の表現をベースに学習することで、用語説明についても正しい表現で押さえることができます。また、本書のボリュームについても、年代ごとに概ね15~30題、難易度も「基礎」「標準」「応用」と分類されており、その年代で問われる頻出のテーマを無理なく対策できる内容となっています。
難易度が「応用」の問題もそこまで難解なテーマではなく、あくまで全75題の頻出テーマで原始から現代まで確認できる点が強みと言えるでしょう。
『日本史論述問題集』の位置づけ
本書は、一問一答集などで一通りの用語学習を終え、論述対策を開始していない人向けの教材と言えます。対策レベルとしては中堅~難関大レベルまで広くカバーできる内容ですが、大学ごとに傾向が決まっている、あるいはもっと詳細なテーマ論述を求められる場合には少し物足りない部分があるでしょう。傾向が特に決まっておらず、どの時代からも広く出題が求められる大学を受験する場合には、論述対策のベース教材として最適です。
入試の論述問題に対応していくためには、本書をこなした後に過去問演習をしましょう。特に論述の過去問の傾向を掴むことが重要です。
国公立大では平均的な論述テーマの出題も多く、本書をしっかり使いこなすだけでも対応できる問題も多いでしょう。ただし過去問演習は欠かせません。
『日本史論述問題集』に入るタイミング
教科書学習と一問一答形式の問題集をこなし、共通テストの日本史が8割ほど解答できると思ったタイミングで使い始めると良いでしょう。
論述問題はそもそも用語や時系列の関係など基本的な理解ができていないと、書き出しが難しいだけでなく解説と解答例を理解するのも一苦労します。時間的にも効率が落ちるため使い始めのタイミングに注意しましょう。
いま教科書学習をしている最中の人は、教科書→一問一答集→本書という流れで1時代ずつ丁寧に一気通貫で勉強していくと学習効率も上がるのでオススメです。
『日本史論述問題集』の使い方
時代ごとに用語学習→本書で学習するパターンか、一通り用語学習を終えてから本書を使って学習するパターンの2通りがありますが、ここでは一通り用語学習を別教材で行った後に使い始める前提で本書の使い方を紹介します。
まずは、本書に書かれている「解答の指針」を見ずに自力で解答を作ります。書き出しが難しい場合は一問一答集に戻りリード文を見直してみましょう。難易度が「基礎」「標準」「応用」と分類されていますが「応用」まで解いてください。
解答の指針と引用先の教科書ページを参照し、解答を修正してみましょう。この修正した解答を、解答例と照らし合わせて答え合わせします。答え合わせをする際には、どんな要素が足りなかったかを確認するようにしてください。
<問題>
保元の乱・平治の乱に共通する意義について、武士が果たした役割を示しながら、80字以内で説明しなさい。
<解答例>
いずれも京を舞台に展開された争乱で、武士が本格的に動員された。貴族社会内部の争いも武士の実力で解決されることが明らかとなり、中央での武士の政治的地位が高まった。(80字)
上記の問題を解く際、解答例を覚えていることが重要ではなく、解答に必要な要素を整理して書けることが重要です。この問題では次の3つの要素が論述テーマの背景にあります。
- 京を中心に武士も動員された反乱であったこと
- 武士の実力によって貴族内部争いも解決していったこと
- その後、武士の政治的地位が向上するようになったこと
答え合わせをするときには自分の論述答案の中に上の3つのような要素が含まれているか、確認します。
あくまでも要素が述べられているかが重要であり、解答例のまま書けることが重要ではありませんので勘違いしないようにしましょう。
ノートに解くときには「問題文」と「キーとなる要素」だけをセットにして見直しできるようにまとめておくと、復習の効率が上がります。目安として1つの要素が20~30字程度で書けると良いです。
<問題>
徳川吉宗と田沼意次の時代を比較し、それぞれの政策の連続性について、具体的な事例にふれながら100字で説明しなさい。
<要素>
【徳川吉宗の時代】
①経済活動の活性化と財源の確保に積極的だった
②(①の具体例として)堂島米市場、商品作物の栽培奨励
【田沼意次の時代】
③吉宗時代の経済政策をさらに推進していった
④(③の具体例として)株仲間の公認
解答につまずかなかったと判断できる問題以外には、付箋等でマークしておきます。
解くときに解答要素を書けるか確認します。書き出しが難しい場合は見直しが足りていないかもしれません。解答できた問題はマークを外していきましょう。
『日本史論述問題集』と他の教材の組み合わせ
本書は山川出版社の教材であるため、同じ出版元の以下の教材との併用を強くお勧めします。
- 『詳説日本史』(教科書)
- 『日本史用語集』(用語集)
- 『山川一問一答集』(一問一答集)
これらの教材で日本史の基礎を固めることをお勧めします。
統一された表現で正しく学べるだけでなく、教材同士の関連(例えば『日本史論述問題集』に『詳説日本史』の引用が掲載されているなど)があり、学習の効率を上げる観点でも有効です。
基本的には一問一答集を繰り返し使用し、人物名や用語を8割程度押さえられたと判断できたとき、本書を使い始めていくと良いでしょう。
本書の解説だけでは覚えられそうにないと感じたときは、該当する箇所の他教材に戻りリード文を見返すと効率よく理解を深められるでしょう。
『日本史論述問題集』の論述問題掲載数
年代 | 問題数 |
---|---|
原始・古代 | 14題 |
中世 | 17題 |
近世 | 15題 |
近代・現代 | 29題 |