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【決定版】『書いて深める日本史: 思考して表現する記述問題集』の使い方とレベル

『書いて深める日本史: 思考して表現する記述問題集』に関する当記事について

この記事では、日本史の記述問題集『書いて深める日本史: 思考して表現する記述問題集』の使い方を解説していきます。

「日本史の論述練習をしたいけど、どのテキストを使ったら良いかわからない」という方や、「このテキストを書店でみたことあるけどどうやって使えば良いのかわからない」という方、「学校の定期テストで論述問題が出題されるので対策をしたい」という方の参考になるはずです。

『書いて深める日本史: 思考して表現する記述問題集』とは?

本書『書いて深める日本史: 思考して表現する記述問題集』は、山川出版社から2021年に出版された本保泰良著の問題集で、高校学校用の教科書『詳説 日本史 改訂版』(日B309)に準拠しています。

オレンジの表紙が特徴的で、比較的とっつきやすいデザインとなっています。

中身は白黒で、問題文と解答スペースの他に、メモなどができる余白も十分に設けられています。

『書いて深める日本史: 思考して表現する記述問題集』の構成

本書『書いて深める日本史: 思考して表現する記述問題集』は、下記の通り2つのブロックに分けられています。

  • Basic(原始・古代、中世、近世、近代・現代) 40題
  • Advance(原始・古代、中世、近世、近代・現代) 108題

それぞれのブロックで、原始〜現代までの問題が記載されており、Basicでは2〜3行程度の記述問題、Advanceでは10行程度の記述問題が出題されます。

解答や解答作成にあたってのポイントは巻末にまとめて収録されていますが、問題文の部分に参考となる教科書のページも記載されているので、自分で教科書の該当ページを参考にしながら答え合わせすることもできます。

国公立大学の場合は特に教科書のインプットが勉強のメインとなります。本書が「教科書の理解を深める問題集」という位置づけにある点は非常によいでしょう。

『書いて深める日本史: 思考して表現する記述問題集』の対象と学力レベル

本書『書いて深める日本史: 思考して表現する記述問題集』は論述の練習を積むための問題集なので、論述問題が出題されない人には不要です。

加えて、問題の内容が難問ぞろいです。現役東大生も「答案を自力で作ることはほぼ不可能」と言っていました。よって、

  • 部活をやってない、3教科受験であるなど、時間に余裕がある人
  • 難しい日本史論述が受験で課される人のうち、過去問だけでは不安な人(旧帝、一橋など)

でやりたい人はやるとよいでしょう。

また、本書をただの問題集だと思って普通に解いても、あまり効力はありません。後ほど紹介する「正しい使い方」をするようにしてください。

『書いて深める日本史: 思考して表現する記述問題集』を使い始めるタイミング

先述の通り、このテキストに掲載されている問題は難しいです。しかし、だからといって諦める必要はありません。適切な段階で取り組むことで、自分の学力を高めるために役立つ教材にもなります。

適切な段階とは、下記をご覧ください。あくまで目安ですが、それぞれの学習内容と使う教材はこのような形にすると良いです。 

(1)学校や塾の授業で習う ◀︎授業
(2)知識や単語を定着 ◀︎教科書、単語帳
(3)時代背景などの理解 ◀︎教科書、このテキスト(Basic)
(4)論述練習 ◀︎このテキスト(Basic、Advance)

なぜかというと、知識や時代背景を理解していない状態でこのテキストに取り組もうとしても手を付けられずに終わってしまう可能性が高いからです。

『書いて深める日本史: 思考して表現する記述問題集』の使い方

本書の使い方と気をつけるべきことを紹介します。

まず、自分の知識から書く場合も、教科書を参考にする場合も、メモを作成することをおすすめします。メモの作成方法とは次のような流れです。

  1. 必要と思われる知識を思い出して書き出す。
  2. 全て出し尽くしたと思ったら、教科書も参考に必要と思われる知識を思い出して書き出す。
  3. どのような論理構成(出した知識の関係性)かを意識して書く順番の番号を振る。
  4. 漏れや重複がないかを確認したら実際に書き出す。

①最初に知識を書き出す必要がありますが、思い出せない時は仕方ないのであまり時間をかけすぎないようにしましょう。最初のうちは②のステップを踏み、知識を出す練習よりも、教科書のインプットに徹しましょう。自分の記憶力を試したい場合や自信が付いてきた場合は②のステップを飛ばしても大丈夫です。

知識を文章にしていくには論理構成が必要になります。これが③です。知識を羅列するだけではいけないので、問題文が聞いているのは「原因・結果」なのか「時代の流れ」なのか「対立関係」なのかなどと、質問意図を確認しながら、知識間の関係性を明らかにするために、矢印を引いたり、フローチャートのような形にしたりしてわかりやすくしていきましょう

最後の④は、このメモを文章にするだけです。

メモを作成するメリット

次のような利点が挙げられます。

  • 知識の整理ができる
  • 思考の整理ができる
  • 書き忘れや重複を防ぐ
  • 何度も消したり書き直したりする必要がない

メモを作成すれば、答え合わせをする際にも、知識が足りなかったのか、問題意図を読み違えていたのか、論理構成が間違っていたのか、などと自分の回答を細かく分析できます。

さらに、定期テストや受験本番は時間が少ないので、何度も消したり書いたりする時間はありません。メモを作成しておけばそう言った作業は省けますのでぜひ実践してみてください。

また、解けない問題があったときには、解説や教科書を読み込んでノートや自分が普段使っている日本史のテキストなどに書き込みをして、苦手分野を無くしていきましょう

『書いて深める日本史: 思考して表現する記述問題集』を進める順番

Basicの問題を全て取り組み、その後にAdvanceの順番で取り組む

この方法のメリットは、行数の少ないBasicからだととっつきやすいという点と、Basicをやり切って論述に対する抵抗感がなくなってからAdvanceに進める点です。

また、Basicの中で原始・古代、中世、近世、近代・現代の問題に取り組んでから、Advanceの中で原始・古代、中世、近世、近代・現代の問題に取り組むので、それぞれの時代の知識を2周確認できることになります。

時代別に取り組む

もう一つの方法は、同じ時代の中で、Basic→Advanceという順番で解くものです。得意な時代から始めたり、最近学校で習った時代から始めたり出来るのがメリットです。

特定の時代を集中的に強化できるので、対策したい時代が定まっている人やテスト範囲だけを対策したい人には良い方法かもしれません。

『書いて深める日本史: 思考して表現する記述問題集』の習得レベル

レベル1:Basicの8割の問題で、教科書を見ずに自力で、必要十分なメモを作ることができる。

レベル2:Advanceの8割の問題で、教科書を見た上で、必要十分なメモを作ることができる。

補足

Basicの問題は行数も少なく、問われる問題も基本的な論述問題なので教科書などを参考にせずに自力で模範解答まで作成できるレベルを目標にしましょう。

Advanceに関しては、志望校などにもよりますが、教科書を見れば知識の漏れなくメモ作りができて、論理構成も大きなズレがないレベルまでは行きたいです。特に現役生は本番直前まで知識のインプットが続くので、知識を完璧に入れた状態で本書に取り組むのは大変でしょう。よって、該当のページを見て、どの知識が問題で求められているのかを正確に判断し、メモに落とし込めれば十分です。

論理構成に関しては、問題の意図を正確に読み取ってメモを作る練習を繰り返していけば、細かい言葉使いは違っても模範解答と同一の構成を作れるようになります。

習得レベルで定義された状態ゴールを目安に、最後まで取り組んでみてください。