[推奨]松濤舎の指定問題集です。
目次
- 『コンプリート物理』で取得可能な偏差値
- 『コンプリート物理』で合格可能な医学部・上位校
- 『コンプリート物理』の習得レベル(+到達可能な偏差値)
- 『コンプリート物理』の使い方
- 『コンプリート物理』の1周目、2周目…の役割
- 『コンプリート物理』の習得にかかる時間
- 『コンプリート物理』の特徴
- 『コンプリート物理』が指定教材の理由
- 『コンプリート物理』の欠点
- 『コンプリート物理』の前にやるべき参考書
- 『コンプリート物理』の後にやるべき参考書
- 『コンプリート物理』と並行すべき参考書
- 『コンプリート物理』と代替可能な参考書
- 『コンプリート物理』に関するQ&A
- 『コンプリート物理』の目次/問題数
- 物理の完全攻略法
『コンプリート物理』で取得可能な偏差値
問題集としてではなく、参考書として使うため、偏差値はありません。
ただし、載っている演習問題は『良問の風』と同レベル(=偏差値67.5到達)です。
『コンプリート物理』で合格可能な医学部・上位校
『コンプリート物理』の習得レベル(+到達可能な偏差値)
レベル1:通読した
レベル2:練習問題が8割解けた
レベル3:演習問題が8割解けた
『コンプリート物理』の使い方
まずはお持ちの問題集に載っている問題を解きましょう。オススメは『エクセル物理』や『セミナー物理』『センサー物理』『リードα物理』『ニューグローバル物理』といった教科書傍用問題集です。これらの問題集には事前に解けるようになっておくべき問題が必要十分なだけ掲載されています。
ただし、解説は体系立っているとは言えません。
「この問題はこう解く」ではなく「この手の問題はこう解く」といった、体系的な知識があるはずだという目で本書を読んでみてください。きっと頭が整理されるはずです。
物理は「この説明で一気に腹落ちした」「この図解でモヤモヤが晴れた」ということがある科目です。そのような解説・図解に出会うためにも、やるべき問題集は必要十分なだけに留め、参考書は複数冊持っておくといいのです。
本書はそのような参考書の一冊であり、きっと「この説明のおかげで理解できた」と出会えるはずです。
すべての練習問題・演習問題を解く必要はありません。しかし、文章を読むだけでは理解できなかったり、理解できているのか不安になるものについては、実際に解いてみるといいでしょう。
まずは解説を読みながらでいいので、解き方をなぞってみるのがいいです。ここに載っている正しい解き方を新たに身につけることが目的なので、独自の方法で解いても意味がないからです。
解き方が掴めてから、実際に自分も同じように解けるか、確認してみるとよいでしょう。
『コンプリート物理』の1周目、2周目…の役割
1周目は通読をして、これまで散らばっていた自分の知識の整理であったり、自分では到達できなかった「統一的な考え方」を見つけてください。
2周目以降は、問題集を解いていて不安な箇所を随時読むのがよいです。苦手分野は練習問題・演習問題にも手をつけてみてもいいでしょう。
『コンプリート物理』の習得にかかる時間
1ページ平均5分として、全350ページ(2冊)ほどなので、通読だけであれば6時間で1周できます。
練習問題は15分/問、演習問題は30分/問 です。
『コンプリート物理』の特徴
『コンプリート物理』は、現象を根本から理解できる
『コンプリート物理』は現象を根本から理解することを目的に作られています。どうしても物理は「公式暗記→公式当てはめ」で解いてしまう人が多いのですが、これでは「いつ、どのように使うか」までの理解が伴いません。本書は抽象的な物理法則を通して、具体的な現象を説明しようとしており、結果的に現象を根本から理解できるようになっています。
『コンプリート物理』は、図解が豊富
図解が豊富に掲載されているため、事象を視覚的にも理解できるようになっています。グラフも多いため、グラフ問題やグラフによる説明で躓いている人も疑問が解消されるでしょう。
『コンプリート物理』は、「読んで納得」だけでなく「解いて定着」も叶う
参考書はどうしても、抽象的な原理原則の説明と、実際に目の前の問題を解くということの間に乖離が生じがちです。その点、問題を通して実践に移せるようになっています。
『コンプリート物理』は、Tipsや周辺知識が多い
「Point」や「Comment」に、こういう時はこう解く、といったコンテンツが豊富です。これは一見、本質的な理解とは対照的な、テクニカルで”点在的”な知識のように思うかもしれませんが、そういった知識が最終的に原理原則と相まって豊かな知識体系につながります。Tipsのような知識、周辺知識にも目を通すことで、最終的に全体としての理解につながります。
『コンプリート物理』は、発展内容が勉強になる
「STEP UP」というコンテンツには発展的な内容が書かれていますが、こういった情報が知識の精緻化を促し、結果的に深い理解につながります。こちらも目を通しましょう。
『コンプリート物理』で、微積を使った理解もできる
微積分を使って解説している箇所が多々あります。「微積の物理」が気になっている人の本質理解につながります。
『コンプリート物理』が指定教材の理由
『コンプリート物理』の説明で初めて理解できた、が存在するから
他の参考書ではわからなかったが、『コンプリート物理』の説明でやっと理解できた、というテーマや現象が少なからず存在することが生徒指導を通してわかってきました。
松濤舎では『宇宙一わかりやすい高校物理』をメインの参考書として指定しています。宇宙一シリーズはどちらかといえば”定性的・直感的”に事象を理解するのに対し、『コンプリート物理』は”定量的・数式的”に理解することを促します。
どちらが優れているということではありません。物理は「腹落ちする説明・図解に出会った者勝ち」な性質があるため、『コンプリート物理』を通して1つでもわかりやすい説明があったらOK、というくらいの気持ちでいましょう。
価格も1冊1,100円(税込み)と非常に安価です。購入しない手はないでしょう。
『コンプリート物理』で苦手分野の演習量確保
『コンプリート物理』に載っている問題は、網羅性は低いものの、当該テーマの本質を捉えるのに適した問題になっています。苦手と感じる分野は『コンプリート物理』をよく読むのは当然のことながら、練習問題・演習問題を解き、補強することができます。このように「演習量確保」という意味でもちょうどいい教材になっています。
『コンプリート物理』の欠点
『コンプリート物理』は「電磁気編」が未発売
決定的な欠点としてあるのが「電磁気編」が未発売だということです。今後発売されるかもしれませんが、2020年に力学編が発売されてから5年ほど経っているため、今後も発売はないかもしれません。
『コンプリート物理』は微積分による説明も多い
高1,2生が使うには適していないかもしれません。少なくとも数2の微積分を習い終わってからでないと本書の説明もわからない箇所が多いと思うので、この点は欠点といえば欠点かもしれません。しかし、微積を使った本質的な説明をわかりやすくしてくれているという点は本書の非常に大きな特徴なので、利点の裏返しでもあります。
『コンプリート物理』の前にやるべき参考書
参考書は先に『宇宙一わかりやすい高校物理』を使いましょう。
『コンプリート物理』は先述の通り微積分を習ってから威力を発揮する参考書です。先に『宇宙一わかりやすい高校物理』でイメージできるようにしておいて、さらに理解深めたいときに『コンプリート物理』に入るといいでしょう。
『コンプリート物理』の前にやるべき問題集では『セミナー物理』『エクセル物理』『センサー物理』『リードα物理』のような教科書傍用問題集です。基本問題まででいいので、基本的な問題にひと通り触れ、ひと通り解けるようになりましょう。
『コンプリート物理』の後にやるべき参考書
参考書は本書まででOKです。
『コンプリート物理』と並行すべき参考書
『宇宙一わかりやすい高校物理』を並行しましょう。『宇宙一わかりやすい高校物理』が定性的な説明なのに対し、『コンプリート物理』は定性的な説明がメインです。両方使うことで「事象と数式が結びつく」ようになります。
『コンプリート物理』と代替可能な参考書
ありません。定量的な説明は難しくなりそうなところ、本書は端的なのにわかりやすく解説してくれている唯一無二な参考書です。
『コンプリート物理』に関するQ&A
- 電磁気編が出ていませんが、それでも買うべきですか?
- はい。電磁気分野が抜けているからといって他の分野に影響があるわけではありません。電磁気以外の分野で理解が進むなら購入しない手はないでしょう。
- 練習問題・演習問題は解くべきですか?
- 必須ではないですが、解説を読むだけでは理解できない部分も多いので、実際の問題でどのようにその知識を使っているのかを把握するためにも、目だけは通すとよいでしょう。
- 本書をやるとどれくらいの偏差値になりますか?
- 問題集ではないので本書に載っている問題が解けるようになるだけでは足りません。難易度は『良問の風』と同じくらいで、『良問の風』をやり切ると偏差値67.5まで取得可能です。
『コンプリート物理』の目次/問題数
力学
章 | テーマ |
---|---|
第1章 物体の運動 | 運動の記述 |
| 直線上の運動 |
| 平面上の運動 |
第2章 力とつり合い | 質量と力 |
| いろいろな力 |
| 力のつり合い |
| 剛体のつり合い |
第3章 運動の法則 | 運動の3法則 |
| 運動方程式を立てる手順 |
| 運動方程式を解く |
| 慣性力 |
第4章 エネルギーと運動量 | 仕事とエネルギー |
| 運動量保存則 |
| 重心運動と相対運動 |
第5章 円運動と単振動 | 等速円運動 |
| 等速でない円運動 |
| 単振動 |
第6章 万有引力による運動 | 万有引力の法則 |
| ケプラーの法則と万有引力 |
| 重力と万有引力 |
| 万有引力を受ける物体の運動 |
演習問題
1. 相対運動
2. 軌道の式
3. スキージャンプ
4. 三角台とその斜面上のつり合い
5. 棒に働く力のモーメントのつり合い
6. 剛体の転倒
7. 球体のつり合い
8. 斜面上でつながれた3物体の運動
9. 同滑車
10. 2物体の運動と摩擦力
11. 3物体の運動
12. 動く台上の2物体の運動
13. 動く三角台上での小球のつり合い
14. 等加速度運動する台上の物体の運動
15. 水平投射となめらかな床との衝突
16. 鉛直面内での振り子の運動と衝突
17. 2球の斜め衝突
18. 放物運動する小球のくり返し衝突
19. ばね付き台上での小物体の運動
20. 摩擦のある台上での小物体の運動
21. ばねにつながれた2球の運動
22. 円形すべり台上の小球の運動
23. 大きさのある2球の斜め衝突
24. 動く半円筒内の小球の運動
25. 円すい面上での円運動
26. 鉛直面内の円運動
27. 台上での小球の円運動
28. 2物体の単振動(鉛直)
29. 2物体の単振動(水平)
30. ひもでつながれた2物体の単振動
31. エレベータ内の単振動
32. 浮力による単振動
33. 静止衛星と第2宇宙速度
34. 人工衛星の円運動と楕円運動
35. 人工衛星内の物体の運動
36. 惑星内での物体の運動
波動
章 | テーマ |
---|---|
第1章 波動の伝播 | 波動という現象 |
波動の数式表現 | |
第2章 定常波と固有振動・唸り | 重ね合わせの原理 |
定常波 | |
物体の固有振動 | |
うなり | |
第3章 波の屈折とレンズ | 平面内・空間内の波の進み方 |
波の反射と屈折 | |
レンズ | |
第4章 波の干渉 | 干渉条件 |
波の反射が干渉条件に及ぼす影響 | |
波の式による干渉条件の導出 | |
第5章 ドップラー効果 | ドップラー効果 |
演習問題
1. 弦を伝わる横波
2. 圧力変化としての音波
3. 気柱の共鳴と弦の共振・唸り
4. 波の式と定常波
5. 反射面に斜めに入射する平面波
6. 水中の物体の見かけの位置
7. 縦波と横波の反射・屈折
8. 凸レンズによる実像と虚像
9. 水面波の干渉
10. マイケルそん干渉系
11. ニュートンリング
12. くさび形空気層による光の干渉
13. 地震波の反射・屈折と干渉
14. スピード測定器
15. 流れがある水面上の波
16. 超音波による光の回折
熱力学
章 | テーマ |
---|---|
第1章 熱容量と比熱 | 熱容量と比熱 |
熱量保存の法則 | |
第2章 気体の法則と分子運動論 | 理想気体の状態方程式 |
気体の分子運動論 | |
第3章 気体の状態変化 | 期待のエネルギーに関する物理量 |
熱力学第1法則と状態変化 |
演習問題
1. 水の状態変化
2. 熱量保存の法則(エネルギー保存則)
3. 熱気球
4. 断熱膨張における気体分子運動論
5. 断熱自由膨張と気体の混合
6. 定積・定圧・断熱変化
7. さまざまな状態変化とp-Vグラフ
8. ヒートポンプの定理
9. ばね付きピストン
10. 仕事をされながらの気体の混合
11. 仕切りのある回転シリンダー内での気体の状態変化
12. 液体をのせたシリンダー内の気体
13. ピストンの単振動
原子と原子核
章 | テーマ |
---|---|
第1章 粒子と波動の二重性 | 電磁波の粒子性 |
物質の波動性 | |
第2章 原子の構造 | 原子の構造 |
原子の発光 | |
第3章 原子核と放射線 | 原子核 |
放射性崩壊 |
演習問題
1. 光電効果
2. 光の圧力と光子気体
3. 結晶表面での電子波の反射
4. 電子線とX線回折、逆光電効果
5. 水素様イオンのスペクトル
6. フランク・ヘルツの実験
7. X線発生とコンプトン効果
8. 運動する原子からの光の放出
9. 電子と陽電子の対消滅
10. ニュートリノの発見
11. 核融合
12. 核分裂
13. γ線の放出・吸収とドップラー効果
14. 放射性炭素年代測定法
物理の完全攻略法
物理の成績の決まり方、それを踏まえた推奨教材と使い方などがまとまっています。参考にしてみてください。