「はじめに」を読む
特徴や他書との違いを把握する
多くの人が飛ばしがちな「はじめに」ですが、よく読んで問題集の特徴を把握することは大変重要です。
問題集の勘所がわかり、何に注意すべきかがわかるからです。逆に、どこは飛ばしていいかもわかり、学習効率が格段に上がります。
「本書の使い方」は差引いて読む
「本書の使い方」も書かれていますが、そのまま踏襲すべきかは判断が必要です。問題集に書かれている使い方は往々にして、その問題集に膨大な時間を割くことを要求するような内容になっているからです。
苦労して執筆した教材なのでやり込んでほしい気持ちはわかりますが、受験生にとって時間配分は死活問題です。「本書の使い方」は参考程度に見ておくようにしてください。
各コンテンツの狙いを把握する
問題集には「ポイント」や「コラム」「解説」といったコンテンツがありますが、ここに著者の工夫が詰まっています。
各コンテンツはどのような狙いで入れられているのかを「はじめに」を読んで把握することで、各コンテンツを有効活用することができます。
例題は、わからなかったらすぐに解説を読む
問題集の多くは「例題」と「練習問題(類題)」がセットで載っていますので、この形式の問題集に絞った話をします。
例題は、問題を通して新しい解き方を知ってもらうためのコンテンツです。そのため、問題のすぐ下に解答解説がついていることが多いです。例題を見て、わからなかったらすぐに解答解説を読むようにしてください。
例題⇒練習問題(類題)
「練習問題(類題)」は、その考え方(解き方)が身についているかを確認するためのコンテンツです。原則として例題を解いたらすぐに練習問題(類題)を解くようにしてください。例題で身に付けるべき考え方が身についていたら解けるはずなので、本当に身につけるべきものが身についているかのチェックにもなります。
そのため、練習問題(類題)は、すぐに解説を読むのではなく、同じ考え方で解けるか考えて解くようにしてください。
問題演習形式で勉強する
人間の脳は、知識を蓄えておくことは得意ですが、それを取り出すことが苦手だということがわかっています。答えを見たときに「あぁ、あれか」となるのはまさに、一度見聞きしたものは頭の中のどこかに存在している証拠です。存在はしているが、探し出すことができないのです。
よって、普段から取り出すことに重きを置いたテスト形式で勉強してください。
大手予備校では講義型の学習が勉強時間の大半を占めるため、問題演習の時間が十分に確保できず、学習効率がとても低いです。
問題を解いている時と、解説を読んでいる時で、強弱をつける
問題を解いているときは、頭がトップギアになるよう意識してください。
問題を見て、わからなければすぐに解答解説を読む。手を動かすのであれば1問あたり時間を決め、時間を意識して解きます。数学の例題なら10分〜15分以内で完答する、といったように本番の時間を想定して解きましょう。
解説を読むときは、あまり時間は気にせず理解しようと努めます。長期記憶するためには理解することが必須ですので。ただし、時間をかけても理解できなそうものは、いったん放置して次に進みましょう。何度か問題を解いているうちに理解するようになることもあります。
問題番号の横に◯×をつけ、問題集マネジメントをする
問題集は、「繰り返すべき問題」と「そうでない問題」を区別することが大事です。これを問題集マネジメントを呼んでいます。
問題集マネジメントの方法はシンプルですが、いくつか注意が必要です。やることは、問題番号の横に小さく◯か×を書き、解けた問題なのか、解けなかった問題なのかがわかるようにしておくことです。
解答解説を見ず、自力で解けた問題には◯をつけます。一方、最後まで解けなかった問題には×をつけます。
一度書いた◯や×は消さずに残しておき、下(右)に追記していくというルールを決め、最新の状況がわかるようにしておきましょう。
間隔を置いて(最低でも3日は置いて)復習する前提ですが、一度でも◯マークがついた問題は模試の直前に復習したらOKです。敢えて放置するようにしましょう。
さて、例題の解説を読んだあとに練習問題(類題)をやって解けた場合は当然、練習問題(類題)に◯マークを付けてOKです。このように例題には×がついていて類題には◯がついている問題は、例題の解き方がわかれば練習問題(類題)は難なく解ける問題なので、今後は練習問題(類題)の復習はしなくていいということになります。復習効率が格段に上がりますよね。
必ず自力で解答を作るところまでやって、次の問題に移る
わからない問題や、最後まで解けなかった問題には×マークをつけたあと、解答解説をよく読み、内容を理解してください。
しかし、それだけで次の問題に移ってはいけません。必ず解答解説を見ず、自力で解けるか手を動かして確認する必要があります。このプロセスを経なければ進歩しません。
ここで注意点ですが、解答解説を見た直後に自力で解いた問題は、たとえ解けたとしても◯マークは付けないようにしてください。
解答解説を読んだ直後にできるのは当然のことですし、短期的に繰り返しても長期的には定着しないからです。
できる問題を復習している時間は、学力が伸びていない時間
問題集マネジメントが重要なのは、できる問題を復習しても学力が伸びないからです。新しいことを学ばなければ、学力は伸びません。このことを強く肝に銘じてください。
特に浪人生は、不安の中で勉強しているため、安心感が欲しくなりついついできる問題を解くことに時間を割きがちです。
確かにできる問題を解けば「自分は大丈夫」という感覚が得られるのですが、実はそれは錯覚で、逆に学力が伸びていない時間を過ごしてしまっているのです。
受験直前の12月以降は逆に、×のついた問題は深くは追いません。◯がついたことのある問題(解法)を思い出し、素早く正確に解けるようにすること、忘れないようにすることを一番の目標として勉強していきます。よって、受験直前の12月までは、◯のついていない問題を中心に勉強していきましょう。
「集中学習」から「分散学習」へ
同じ問題を短期間で何回も解く勉強はやめましょう。短いスパンで繰り返しても長期的に記憶が保持されないことが科学的に知られているからです。
必ず間隔を置いて復習する分散学習をしましょう。目安ですが、最低でも3日はあけて復習するようにしてください。間隔が長いほど、長く記憶を保持できることも知られています。敢えて放置することで長期的に記憶させてください。
間隔を置くためには、1教科に絞って勉強するのではなく、複数教科に分散させて勉強するのがよいです。
ただし、教科ごとに分散させると好きな教科ばかりやってしまったり、すべてが中途半端になってしまうことも多いです。教科ごとの時間配分をきちんと決め、1週間単位では適切な時間配分になるよう調整しましょう。
全章、全教科、習得レベル1にすることからはじめる
分散学習の有効性を踏まえ、全教科・全章で、まずは習得レベル1にするよう学習を進めます。
次の模試までにやるべき教科は複数指定するのは、特定の教科をやったあと一定時間を置いてから復習したほうが効率的だからです。
短期的に単一教科の習得レベルを上げることは、長期的に定着させるという観点では効率が悪いのです。
到達すべき状態目標を明確にする
最終的に「解答と同じような答案が、自力で、手を止めずに作れる」状態を目指して進めたら良い教科が多いです。
このように「どんな状態になったらOKなのか、その問題集を習得したといえるのか」という状態目標が明確になった状態で勉強をしなければ、なんとなく勉強したつもりになってしまうので注意しましょう。
さらに負荷を上げて演習する
負荷を上げて演習すれば、さらに定着します。例えば、英単語暗記は以下のように習得レベルを上げていきます。