英語の偏差値を決める要素は3つ
英語は、「時間をかければ伸びる科目」という認識を全員が持っているはずです。
当然、毎日英語を読んだほうがいいでしょし、英字新聞をとったらいいでしょうし、毎日ラジオ英会話を聴いたらいいでしょう。
しかし、時間は限られています。つまり、成績への転換効率が高い、時間の使い方をしなければなりません。
松濤舎では、英語の偏差値を決める「3つの要素」を突き止めており、偏差値との関係まで見出しています。
1.語彙量
まずは語彙量です。
前提として、受験英語は配点の6〜7割を長文問題が占めます。大学によっては全問が長文問題のところがあったりしますし、共通テストは長文問題しか出題されません。
長文問題を解く上で語彙量がなぜ重要かというと、語彙量との間の相関係数が0.78もあることが科学的に知られているからです。
また、英語長文の95%以上の英単語がわからないと意味が取れず、98%以上の英単語がわからないと深く理解できないことが科学的にわかっています。
内容把握問題にかぎらず、和訳問題、説明問題、英訳問題、自由英作文も、結局は語彙量で決まります。
受験英語において語彙量が重要であることは、多くの受験生にとって吉報です。
なぜなら、努力でどうにでもできるからです。
「ただひたすら英語に触れる機会を増やしましょう」と言われても、狙って成績を上げることは困難ですし、「小さな頃に英語に振れていないと成績が伸びない」などと言われてしまったら、できることはありません。ですが、英単語であれば、意図的に増やすことができ、自分の成績をハンドリングできます。
このように、意識的に行う学習を随意学習といいます。随意学習は自己効力感が付随しやすく、自己肯定感も上がりやすいです。
英語の成績に伸び悩んでいる人がいたら、まずは語彙量を疑いましょう。
語彙量と偏差値の関係
松濤舎では『システム英単語』を英単語帳の指定教材として採用しています。
英単語のラインナップがよく、別売りのカードを使うと非常に効率的に英単語暗記ができるからです。
『システム英単語』の場合
・システム英単語の見出し語/1,000語:偏差値55
・システム英単語の見出し語/1,500語:偏差値60
・システム英単語の見出し語/2,200語:偏差値65
・システム英単語の派生語/1,390語+熟語/535語:偏差値70
※いずれも全統記述模試(河合塾)の全国偏差値/以下同
『VENN4000』の場合
松濤舎オリジナル英単語帳『VENN4000』では、以下のように偏差値が対応しています。
まずは『システム英単語』でひと通り暗記したあと、そこに掲載されていない英単語まで覚え、偏差値75近くを狙う場合に使用します。
・VENN4000/1,600語(掲載数=10回):偏差値60
・VENN4000/2,200語(掲載数=7回):偏差値65
・VENN4000/3,700語(掲載数=3回):偏差値70
・VENN4000/4,600語(掲載数=2回):偏差値75
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2.文法
英語の成績を決める2つ目の要素は文法です。
網羅系の文法問題集に載っている問題のうち、何問解けるようになったかが偏差値を決めます。
文法と偏差値の関係
・正答率5割/約800問:偏差値65
・正答率8割/約1,600問:偏差値70
対象の問題集は以下となります。
Vintage、Next Stage、Scramble、POWER STAGE、Bright Stage、UPGRADE
注意が必要なのは、多くの受験生が文法や精読に時間をかけすぎがちな点です。
上記の通り、偏差値65近く取りたければ、文法問題集は正答率5割で十分なのです。
たいていは、語彙量や長文量が足りていないのに、さらに文法に力を入れ、ますます成績が伸び悩むケースが多いので注意が必要です。
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3.長文量
英語の成績を決める3つ目の要素が長文量です。
次のように、長文量を増やしていくことによって、偏差値が段階的に上がっていくことが指導経験上わかっています。
長文量と偏差値の関係
・Rise1(12問) :偏差値55
・速単入門編(68長文):偏差値57.5
・Rise2(15問) :偏差値60
・速読英熟語(60長文):偏差値62.5
・Rise3(15問) :偏差値65
・速単必修編(70長文):偏差値67.5
・Rise4(15問) :偏差値70
Rise読解演習シリーズ(Z会)と、速読シリーズ(Z会)をサンドイッチ形式で進めていくことで、偏差値が2.5ずつ上がっていきます。多読多聴し、いくらか問題演習をする、という適切な配分で進めます。
なお、各問題集は正しい方法で使わなければ、ただ読んだだけ・ただ解いただけとなり、成績が全く伸びないので注意が必要です。以下を参考に進めてください。
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英語の偏差値は「もっとも足りない要素」がボトルネックに
英語の成績は、3つの要素のうち足りないものがボトルネックになることがわかっています。
例えば、次のような状態になったとしましょう。
・単語 ・・・システム英単語の見出し語/1,500語:偏差値60
・文法 ・・・Vintageの正答率5割/約800問:偏差値65
・長文 ・・・速読英熟語/60長文:偏差値62.5
すると、上記では語彙量がボトルネックとなり、偏差値60で頭打ちします。
よって、語彙量を増やしていかねばならないのです。
このように、もっとも不足しているものが全体を決めることを律速と言い、上記では語彙量が律速段階にあると言います。
課題の組み立て方
具体的な課題を組み立て方については、次の①〜③のアルゴリズムで考えます。
①まずはシステム英単語の見出し語を1,000語覚える
システム英単語の見出し語を1,000語覚えることから始めましょう。
語彙量が少なければ、まともに長文が読めないのはもとより、すぐに語彙量がボトルネックになってしまうからです。
1,000語覚えるまでは長文に入らず、単語暗記に時間を使ってください。
②5文型と時制を習得する
文法は、長文読解を進める上で必要なだけ習得していればOKです。
文法の細かい例外を入れても、英語の成績は一切上りません。長文読解をスタートさせるための下準備でしかないことを強く理解しましょう。
さて、高1でひと通り文法を習い終えますが、それを待つのは遅いので、学校で5文型と時制を習い終わったタイミングで、長文に入りましょう。
5文型と時制が理解できていれば、難問を除き、ほとんどの長文が読めます。
ただ繰り返しになりますが、英単語が1,000語以上覚えている状態でなければ、長文に入ってはなりません。
③単語30分、文法30分、長文30分、合計1.5時間/日がベース
①②をクリアしていれば、1日あたり単語30分、文法30分、長文30分、合計1.5時間で英語の勉強時間を確保しましょう。
もし長文に入れる状態になければ、その時間を単語や文法に充てます。
当然、他科目と比べ英語の成績が足りない場合は、1.5時間より多く英語に時間を割きますし、英語が得意な人はもはや全く英語に時間を使わないということもあります。
上記を基本としながら、他科目とのバランスを保って課題とするのがよいです。
偏差値70超を目指すには?
市販教材を使った学習では、文法も長文も偏差値70が上限です。
さらに高い偏差値を狙う人(東大・京大・一橋・難関医学部)は、実戦模試の過去問や、入試の過去問を使うことで、さらに高い偏差値を目指していくことになります。
ただし、当然ながら、市販教材を使わずに過去問をやったところで成績は上がらないため、下積みからコツコツ積み重ねていくしか方法はありません。
なお、英単語に関しては『VENN4000』で偏差値75まで取得可能で、これ以上単語を追加する必要はありません。
まとめ
英語の成績を決めるのは、語彙量・文法・長文量の3要素です。
語彙量なら『システム英単語』『VENN4000』、文法なら『Vintage』『Next Stage』などの網羅系問題集、長文なら『速読英単語』『Rise読解演習』の習得レベルと偏差値の関係性までわかっています。
英語の偏差値は律速であり、語彙量・長文量がボトルネックになることが多いため、注意しなければなりません。
松濤舎では、上記のような合理的な戦略に基づいた英語指導をしており、毎年多くの合格実績を出しています。
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