▼受験観
・受験は学力だけでなく精神的な力も求められるものと考えている。そのため特に受験直前期においては、勉強はもちろんしていたが、友人との会話も重要視していた。受験直前期は主に3人で会話していたが、それぞれ第一志望の東大理一、東大文一、京大工学部物理学科に合格しているため、会話を楽しめるような精神状態を保てたことが受験での成功に寄与したと考えられる。
・受験生はSNSの利用をやめることが当然のことのように捉えられているが、私は自分のルールに従った上で、毎日Twitterやラインを利用していた。
・Twitterで私が設定したルールは、受験に関しての有意義なツイートや、将来の目標を達成するのに有益なツイートのみを見ることである。(重要なのは自身でルールを決め、ダラダラと時間を過ごさないことである。)
・ラインでは複数友人間のグループで数学の問題を出題しあい、一番早く正解できるよう競争することもした。
・塾では閉館まで自習室を利用する人が多かったが、その点も個人に合う方法に則って勉強すれば良いと考える。私は家でも勉強できる環境だったことに加え、夜遅くまで空腹に耐えながら自習室に残り続けたくなかったため、遅くとも19時ごろには帰宅していた。大事なのは、ただ長時間自習室に残ることではなく、自分にとって最も好都合な時間配分を設定することであると思う。
▼記憶観
・暗記したい事項に触れる回数が多いほど暗記できると考えていたため、自分はExcelを使って、暗記したい事項を記入し、スキマ時間にスマホですぐに確認できるようにした。また、効率化を図るためにも、1周目で暗記できていた事項には緑色で背景色をつけ、2周目でも暗記できていた事項には橙色で背景色をつけることで、ひと目で各事項の暗記度がわかるようにした。
・暗記事項に関しては基本的に2回連続で暗記できていたら暗記完了としていた。
・私は化学の暗記事項がなかなか頭に残らなかったため、自ら語呂合わせをつくり、覚えていた。語呂合わせをつくる行為そのものも暗記に役立っていたのではないかと考える。
▼モチベーション観
・人間は単調で退屈な作業を嫌う生物であるため、受験勉強のみをしていては勉強の効果も半減してしまう。それを防ぐために自分は趣味で中国語やプログラミングを勉強し、机に向かう習慣は維持しながらも、受験勉強以外のことをすることでモチベーションを保っていた。
▼国語観
・東大理系受験生にとっては受験での合否に関わりづらい科目であるので、人並みにできれば良いと考えていた。
現代文観
・長い文章でも結局は筆者の主張の繰り返しであるということに常に留意し、文が筆者の主張に対してどのような働きをしているのかを考えながら解いていた。
古文観
・古文は当時の時代背景を知っていないとどうにもならないことが多いので、最低限の古文常識は必要だと考える。
・私は古文をほぼ外国語だと捉え、問題をやったときは必ず解答の本文を一文ずつ訳し、本文と現代語訳を見比べ修正するという勉強をしていた。この勉強法なら、一問から多くのことを学べるため、国語にあまり時間をかけたくない理系受験生でも効率よく古文の力を上げられると思う。
漢文観
・我々は主に漢字を熟語として用いているため、漢文中の漢字一字をとにかく知っている熟語に結びつけ、意味を類推することを意識していた。
▼数学観
・数学は暗記科目ではないとはよく言われることだが、入試数学において限られた時間の中で合格点を取るには、「いかに頭の中に解法の引き出しをつくるか」が大切であると考えていて、これは一種の暗記と同じである。
・日々問題学習を進める上でただ多くの問題を解くのではなく、限られた問題数であっても出題者の作問意図や重要なポイントをおさえることによって、入試本番のときに使える「解法の引き出し」の幅は拡がり、入試で高得点を取ることにもつながるのである。
・使用する問題集や演習書に関しては、少ない問題数の演習書であっても決して悪いとは考えない。先にも述べたように、確かに入試問題は三者三様であるがその作問意図や重要なポイントは共通することが多い。そのため、少ない問題の中から作問意図や重要なポイントを読み取ることを強く意識すると良いと思っている。
・私に関して言えば、高校1年生や2年生のころまでは、数学の学習では例題の解答を「写す」ことを多く取り入れてきた。一見するとこの解答を「写す」という作業は、数学の学習の本質とはかけ離れているかのように感じるかもしれないが、作問意図や重要なポイントを理解し解法の引き出しの幅を拡げるという点では、極めて良い方法だったと感じている。
・また、数学では記述力も大切な要素であるが、上記の「写す」行為は解答作成力の向上にも寄与していたと考える。
▼物理観
・東大の入試問題は原理原則に立ち返って解答する問題が多く、単に難しい知識を覚えたからといって必ずしも解答できるわけではない。そのため物理の学習においては、最低限の
公式や知識を理解した上で、物理的イメージを大切にする勉強方法を取ることを意識していた。例えば力学の分野では二体問題などが頻出分野として有名である。二体問題の場合、相対速度の式を用いて、数式だけで問題を解くことは不可能ではないが、やはりこの問題の本質を理解するためには、注目している物理現象そのものの視覚的イメージを常に頭に、時には、問題用紙の紙片に残しておくことが大切だ。物理というのは元来自然現象を数式や物理学的法則に基づいて解釈することであるから、やはり現象そのもののイメージを持つことがいかに本質の理解に重要か非常によく分かるのである。
・これは決して物理だけに言えることではないかと思うが、というよりむしろ学習全般に共通することといっても過言ではないが、演習した問題量の多寡は必ずしも学習時の理解を確実なものにするとは限らない。数学にせよ物理にせよ、やはりどう学習するか、どう演習するかが重要である。物理で言えば、それは物理現象そのものへのイメージの構築であるわけだし、それを踏まえた学習とそうでない学習がその後の結果を大きく分けることは言うまでもない。物理の問題を解く上で、あるいは新しい分野の学習を進めるなかで扱う物理現象のイメージを自分の手で描いてみることは予想以上の効果をもたらすと思っている。
・物理は一旦高得点がとれるようになるとその後点数の落ちはほぼ無くなるような科目であると認識しているので、早めに物理を完成させることで、得点の向上や受験勉強中の自信維持につながると考える。やはり、得意科目が一つでもあると、入試に対しての安心感はかなり増す。
▼化学観
・東大の入試問題では問題集に載っていないような、受験生にとって真新しい問題が出題されるため、物理と同様に基礎的事項の徹底的な理解が不可欠である。とはいえ、高校化学で習う内容は大学化学でしか説明がつかないことも多々あるため、暗記しなければならないことはそのまま飲み込むという妥協も必要である。
・分野別に勉強量を変えるのも一つの手ではあると思う。私に関して言えば、有機化学や無機化学は基本的に暗記であるので、必ず得点できるよう演習量を積んだが、理論化学ではやったことのある問題が出ることが少ないと感じたので逆にあまり演習しなかった。
・特に東大化学においては計算が複雑になる問題が出題されることが多いので、有効数字を意識した概算方法を学ぶことも良いと考える。
▼英語観
単語
・単語の効率的な暗記方法は人それぞれであると思う。書いて聞いて見て読んで覚える方法が推奨されているのを見たことがあり実践してみたものの、単語の暗記に膨大な時間がかかるうえ、肝心な暗記率もあまりよくなかったため、私には合っていないように感じた。私にとって最も効率的な覚え方は、一つの英単語にかける時間を極めて短くし、単語帳の周回数を増やすことで、単語への遭遇回数を上げることであった。
文法
・日本人にとって英文法を完全に習得することは極めて不可能に近いと私は考えていたため、受験において重要な基本的文法事項は押さえたうえで、インプットに時間をかけすぎず、長文読解などを通して学ぶことを意識していた。
和訳・精読
・受験での和訳は、英文を暗記したそのままの意味で訳すことよりも、文脈の中での単語の働きに応じて訳語を選択していくことが重要と私は考えていたため、直訳した和文を自然な和文に換言する力も身に着けようと努力した。和訳は様々なジャンルの文章に触れ、慣れていくことで力がついていくと思う。
和文英訳・自由英作文
・和文英訳については、英訳頻出パターンを含む例文を300個ほど暗唱し、すぐに頭から引き出せるようにしていた。そのおかげで、試験において和文を見た瞬間におおよその英文が浮かぶようになったため、和文英訳に試験時間を多く費やす必要がなく、安心感を与えてくれた。
・自由英作文についてはあまり対策していなかった。というのも、和文英訳ができれば自由英作文はできるものと考えていたし、何より答案が自分のものと近しいことが少ないからである。英文を添削してもらえる環境が身近にあるならばかまわないが、無い場合は自由英作文に時間をかける必要は無いように感じる。
・受験期に日常的に英語を使いたいと考え、私はスマホアプリを用いて外国人とチャットを始めた。日常の出来事を英語にするのは想像以上に難しく、何度も辞書を参照しながら英文を作成したため、自由英作文力の上昇につながったと思われる。
長文
・東大では他大学ではあまり出題されない小説が出題されることが多い。正直なところ、過去問を解いても知らない表現が多く、高得点があまり期待できなかったので対策はあまりしなかった。
リスニング
・本番の英語のスピードがゆっくりに感じることができるよう、私の趣味に合ったYoutubeの英語チャンネルを見ていた。ネイティブの速度に慣れたため、本番のリスニングはゆっくりに聞こえた。
・各国のアクセントについて興味本位で学んだため、東大リスニングで特異な発音で話していても、どこの国のアクセントかがわかる点で安堵感を覚えることができた。
▼地理観(地理は共通テストのみ使用)
・私は地理という学問自体が好きだったため、共通テストの勉強は苦ではなかった。本格的に勉強し始める前は地理は7割ほどの正解率であったが、その後地図帳を用いた学習により9割は固くなった。地理は地図が基本となる学問である以上、地図帳は勉強に不可欠である。地理の得点が伸び悩んだら、地図帳に諸事項を書き込む勉強法をぜひ試してほしい。
▼模試観
・模試は受験時の実力の目安にはなるが、受験結果を左右するものでも保証するものでもないと考える。一種の問題集と捉え、本番までに模試の問題を復習することが極めて重要であると考える。
▼塾観/予備校観
・塾や予備校が合格に寄与するかどうかは、受験生と塾の付き合い方によって決まると考える。塾に頼り切って講習を山ほど受講して失敗した人を知っているので、塾に行けば成績が上がると考えるのは間違っていると言えると思う。大切なのは独学では難しい部分のみを塾を上手に利用し、残りは自分の力で勉強することである。
▼友人観
・友人は受験において非常に重要な存在であると考える。前述した通り受験期直前は友人と会話して気持ちを落ち着かせていたし、夏休みなども、問題を出し合い互いに切磋琢磨しながら成長し合えた。
▼学校観
・人によって様々ではあるが、学校は必ずしも受験に特化していないことが多いので、その点には注意が必要である。学校の授業は必ずしも全て聞かなければいけないといったことは全くない。これは多くのことに当てはまるが、勉強する上で重要なことのひとつは、自分に必要なことを取捨選択する力である。他人が言っていることを鵜呑みにせず、多面的な見方を持って学習をすすめるべきである。
▼共通テスト観
・東大受験においては共通テストの得点による影響がかなり小さいことは確かであるが、だからといって共通テストの得点が低くてよいわけではない。二次で取れれば問題ないという言葉を聞くこともあるが、私の周りでは、やはり東大合格者の殆どは9割近くであった。もちろん例外もあるとは思うが、真の学力がついていれば共通テストでも高得点が取れるはずなので共通テストも油断することなく高得点を取ることが重要だと考える。
・とはいえ、共通テストの勉強に本腰を入れすぎるのも良くないと考える。実際私が共通テストの勉強を本格的に開始したのは正月であり、それまでは周りを気にせず、二次の勉強を貫き通していた。共通テスト特有の対策をしなくても9割ほど取れる、基礎的事項の徹底的な理解が進んでいるならば、正月からでも余裕で間に合うと考える。
以上が私の考える、受験に関する「〜観」です。少しでも受験生のお力に慣れればと思い、一般的なことから自分自身特有のことまで幅広く書かせていただきました。よろしくお願いいたします。