バイアスを取り払おう
受験には様々なバイアスが存在します。誤った情報や思い込みにとらわれることが、失敗への第一歩となります。
学校指定の問題集だけやっていれば志望校に合格する
ほとんどの高校において、問題集は平均値・中央値に合わせて指定されており、難関大学志望生に最適化されていません。残念ながら、多くの高校において難関大学への進学者数はKPIになっていません。高校の最大のミッションは「全員を怪我なく無事に卒業させること」ですので。本当にやるべき問題集が指定されているかは自身で確認する必要があります。
進学校であったとしても、指定問題集だけでは難関大学受験に足りないことが多く、中学時代までの「定期テスト対策さえしていればいい」という学習観を持っていると痛い目に合います。
学校指定問題集は定期テスト対策期間の約3週間前から開始し、それ以外は受験を志向した問題集を中心に勉強していくことがセオリーです。
大手塾に通えば安心
講義受講型(集団授業、映像授業)の塾に通うことの弊害については度々書いているので、ここでは特に触れません。
みんながやっている基礎的な問題集をやっても差がつかない
すべての問題は最終的に基本問題に還元されます。
数学なら計算、理科なら公式、英語なら単語と文法、社会なら史実知識、国語なら段落単位の読解。これらの知識が不十分な状態で難易度の高い問題に取り組んでも、効率が悪いことは火を見るより明らかです。
基本的な問題集を徹底することは絶対に必要です。典型問題を網羅的に習得したら、その後はいくらでも難しい問題集を積み上げていくことができます。
それに、皆さんが思っているより周りの人たちは基本的な問題集の習得レベルを上げていません。網羅的にやっていないか、やっていてもやり方が甘いか、その両方か、のいずれかに該当します。講義受講型の塾に通っている人の大半がこの状態に陥っています。
難しい問題集をやって差をつけないといけない、というのは幻想です。基礎を疎かにした結果、基本問題で周りの人と差がついてしまっているという事実から目をそらしてはいけません。
基本的な問題集からしっかり積み上げるようにしてください。松濤舎の指定するボトムアップ問題集は基本的な問題から応用問題までをカバーした網羅系問題集を使用しており、1冊で基礎固めから入試レベルまで持っていくことができるのでお薦めです。
難関大学を受験するなら圧倒的に難しい問題集をやるべき
東大理Ⅲ・京大医学部・阪大医学部・医科歯科大医学部・慶應医学部であればそうかもしれません。しかし、それ以外の大学・学部を志望する場合は、圧倒的に難しい問題集までやる必要はありません。
東大・京大、多くの国公立医学部だったとしても、圧倒的に難しい問題集には入る必要がないのです。
最終的に最難関大学を志望するようになるとしても、それは基本問題集が固まったあとです。最難関大学合格者が使っていた問題集ではよく難しい問題集が登場しますが、それだけの知識の下地があったという事実を忘れてはいけません。
すべての科目で高得点を取る必要がある
受験は合格最低点を1点でも上回れば合格します。総合点が合格最低点を上回るよう、全科目で何点ずつ取っていくか、そのためには勉強時間をどこに配分するかを考え、最適化しなければなりません。
高校生にとって、目標から逆算して配分するという思考はなかなか高度なようです。残念ながら高校の先生の大半も逆算して戦略的に考えることができている人は少ないように思います。生徒の志望する大学の合格最低点が言えない先生は多いですので。学校のカリキュラムは、そもそも志望校から逆算して作られたものではなく、落ちこぼれがでないようボトムアップ的に作られていますので、トップダウン思考で考えられないのも無理はありません。
高校で教えてもらえないことは自分で学ぶしかありません。
志望校の合格最低点、各科目の配点、難易度から、最終的に習得すべき問題集を見極め、適切に時間配分を行っていくようにしましょう。
細かい知識が合否を決める
難関大学となると、出題者は相当考えて問題を作成しています。つまり、対象科目の幹となる部分・本質に関わる部分が理解できているかを問う問題を中心に出するので、細かい知識は不要です。
細かい知識を捨て問として飛ばし、「本質に関わる知識」だけを解けば十分に合格可能です。東大合格者は枝葉の細かい知識を捨てていますが、細かい知識を要される私立大学もすべり止めで合格しているのはその証拠です。
「私立は細かい知識が問われる」と言われますが、問われるだけであって、本当に解けるようになるべきかはまた別です(そして不要です)。塾は「私立は私立に特化した対策をしないといけない」と宣伝します。そのほうが不安を煽れて、新しいメニューを一つ増やすことができ、受講者が増える可能性があるからです。
しかし、そのようなものに惑わされず、やるべき問題集に時間をかけてください。細かい知識問題を除いても合格最低点に達するケースがほとんどなので、ご自身の目で確かめてみてください。
大手予備校に通わないと得られない特殊な知識があり、それがないと難関大学には合格できない
大手予備校の講義で使われている問題は過去問です。薄い冊子の見開き1ページに過去問が載っており、それを予習し、解説授業を受け、復習するということを延々と行っているだけなのです。
99%の生徒にとって、過去問よりも典型問題、解説授業よりも問題集の解説の熟読、予習よりも問題演習が優先であるべきなのに、このような無駄なことに時間をかけます。
大手予備校に通って得られる特殊な知識があるとしたら、それは「教育ビジネスが、いかに本質を外したものに成り下がっているかに関する気づき」かもしれません。
難問が解けないと合格できない
難問の定義に寄りますが、奇問・悪問は解かない方が合格に近づきます。なぜなら、限られた時間内でみんなが解ける問題を確実に解き、手が出る問題にいかに食らいついて部分点をもらうかが重要だからです。
奇問・悪問に目が向くことは百害あって一利なしです。まず、受験本番では解くべき問題にかける時間がなくなってしまい、みんなが解ける問題で失点してしまうからです。これをやってしまうとアウトです。また、普段の勉強においても、基本問題・典型問題への対策でなく、難問にばかり取り組むようになってしまいます。
奇問・悪問は出題者の仕掛けたトラップです。それが奇問・悪問であることが判断できるほどの知識量が身についているかを試すための試金石的問題であることを肝に銘じてください。
難問の中でも、典型問題を組み合わせ、当該分野の本質について問うような良問は解ける必要があります。これは合否を分ける問題になる可能性があるからです。東大受験では毎年各科目で良難問が出題されるイメージがあります。その他、旧帝大では良難問が出題される傾向にあると言えます。
進学校に通わなければ難関大学には合格できない
受験に関する豊富な情報があちこちに転がっていたり、勉強することが当たり前の環境にあること、周りの志望校レベルが高いことなど、進学校に通うことで得られることが多いのは事実です。
しかし、デメリットも多いですし、進学校に通わなければならないということは一切ありません。
当HPで紹介している問題集も勉強法も、学校に依存しているものは一つもありません。大検生でも再受験生でも手に入れられる問題集と情報から成っています。
大学受験は「やっただけ成果が出る」という誰もが成功体験を積むことができる機会です。無為にしないよう、正しい方法で勉強されることを願います。