▼受験観
・受験に対しては、「自分がどこまでやれるのかを試すことができる機会」、そして「大きな目標に挑戦できるいい機会」だと思っていました。東大を選んだのは、「せっかくだから日本一の大学に行きたい」という思いがあったからです。
・受験を通して意識していたことは、「最後まで諦めないこと」、「受験は他人ではなく自分との戦いであるということ」の二つです。やはりやるからには全力でやることを決め、それを最後まで貫き通しました。結果としては2年浪人しましたが、最後には合格することができました。東大に挑戦したことは人生において貴重な経験であり、後悔はしていません。
▼記憶観
・前提として、人間は忘れる生き物だと思うようにしていました。勉強するときも、一回で全て覚えようとするのではなく、忘れることを前提に勉強するのです。個人的に良かったと思うことは、忘れたからといって自分を責めないようにしていたことです。受験勉強をしていると、何回やってもどうしても覚えられないものもあります。でも忘れやすいものは、付箋を使ったり、書き出したりして覚えるようにし、忘れたこと自体は特に気にしていませんでした。
・暗記は隙間時間を有効利用するようにしていました。具体的には移動時間や寝る前に暗記物をやるのを習慣にして、机に向かっている時間はなるべく問題演習などに充てていました。
▼モチベーション観
・多くの人は、モチベーションが上がらず勉強が捗らないときがあると思います。しかし、モチベーションが上がるのを待っていてはいつまで経っても勉強を始めることができません。僕は、モチベーションは自然に出てくるものではなく、やり始めてから出てくるものだと思っていました。なので、まずは少しだけでもやってみるようにしていました。なかなかやる気が起きなくても、まず5分だけやってみる。1問だけ解いてみる。そうすると、案外やる気が出てくるものです。
・モチベーションに関して個人的に大事だと思うのは、「いきなり大きな目標を立てないで、小さな成功体験を積むこと」です。「英単語を一つ覚えられた」、「数学の計算問題を一問解けた」など小さなものでいいので、成功体験を積むことで少しずつやる気が上がってきます。
・もう一つ効果があったのは、合格した後の自分を想像することです。やはり自分が志望校に合格する姿や、志望校で勉強している姿を想像すると、それを実現したくなってモチベーションが上がっていました。
▼国語観
現代文
・一番意識していたのは、「自分の感情を入れないこと」でした。現代文は、「筆者と出題者の意図をいかに読み取れるか」という科目であり、「自分の考えを述べる」科目ではないからです。
・そして論理構造を大事にしていました。問題文の最初から最後までを通して、筆者が言いたいことは一貫しているはずです。接続詞に○や△をつけることは否定しませんが、目的は筆者の意図を読み取ることであり、印をつけることが目的になっていたら本末転倒です。やって良かったのは、段落ごとに何が言いたいのかを考えることです。段落ごとの要旨をつかむことができれば、それをつなぐことで全体で言いたいことが分かります。
古文
・当時の習慣、古文常識などをおろそかにしないようにしていました。古文常識がわかっているだけで、それを知らないよりもはるかに読み取りやすくなるし、文章の場面や登場人物の心情も想像しやすくなります。
・古文単語、文法はとにかく穴がないようにひたすら繰り返して暗記しました。
漢文
・漢字の知識を増やすことを意識していました。入試では、普段生活しているだけでは知らないような漢字の意味を問われることがあります。
・古文と同様に、句法は穴がないように覚えるようにしました。
▼数学観
・数学の勉強は公式暗記やパターン暗記になりがちですが、なるべく本質を理解するようにしていました。多くの問題はパターンや公式の組み合わせで解けるのですが、難しい問題になると本質を理解していないと解けない場合もあります。東大の入試ではパターンで解ける問題はほぼ出ず、しっかり考えないと解けないものがほとんどです。
・数学だけでなく全科目に共通して言えるのですが、解説を読んでわかった気になることがよくあったので、しっかり自分の手を動かして解いてみて、本当に理解できているのか確認するようにしていました。
・論理構造を大事にしていました。東大の数学は答えがあっているだけでなく、解く過程も正しくないと点がもらえないことが多いです。なぜその解き方をするのか、なぜその答えになるのかを普段から意識して勉強すると良いと思います。
▼化学観
・公式や法則がどのような条件で適用できるのかをしっかり理解して、使うべき問題で使えるようにしていました。
・センターも東大も知識は教科書の内容でほぼ十分だったので、教科書の知識を完璧にするようにしていました。
・族や周期ごとの元素の性質をしっかり理解することや、法則がなぜ成り立つのかを意識して勉強していました。
▼物理観
・化学と同様に、公式や法則の意味を理解すること、それらがどのような条件で適用できるのかを意識するようにしていました。
・物理は特に公式暗記になりがちな科目だと思うので、本質を理解するように心掛けていました。
▼英語観
単語
・単語はとにかく反復を繰り返していました。単純暗記だと覚えるのが大変なので、単語の接頭語や接尾語などの成り立ちを理解するようにしていました。鉄緑会の単語帳の鉄壁では、単語の語源や豊富なイラストが描かれているので覚えるのに役立ちました。
文法
・頻出の熟語や基本文法は穴がないように繰り返して暗記しました。この時にも動詞や前置詞の中心となる意味を理解することで、覚えやすくする努力をしていました。
・時制の理解は大事にしていました。現在完了や過去完了、時制の一致など、文章を読んでいるときに時間軸のどこの話をしているのか分かるように意識していました。
和訳・精読
・文の構造を正確に読み取れるようにしました。どこからどこまでが主語なのか、どこからが目的語なのか、修飾語はどこにかかっているのかなどを丁寧に読み取れるようになることが大事です。そのためにも、文法や単語の知識をしっかりつけるようにしていました。
・難しい和訳の問題では、直訳では意味がわからないことも多かったので、自然な日本語に意訳する練習をしました。
和文英訳・自由英作文
・使える英文の型をストックしておくようにしていました。英作文では例文の単語を変えるだけで書けるものも多いので、例文が多く頭に入っているほど有利になります。
・しばらく英語を書いていないと書けなくなるので、定期的に和文英訳や英作文の問題に触れるようにしていました。
・英作文では、なるべく簡単で自信のある英語を使うようにしました。和文英訳では難しい日本語を英語にする問題も出されますが、まず問題文を簡単な日本語に言い換えてから英語に訳す練習をしました。
長文
・段落ごとに何が言いたいのかを理解するようにしていました。現代文と同様、段落同士の関係を理解し、段落ごとの意味をつなげることで文章全体の言いたいことを理解する練習をしました。段落の横の空白に、その段落の要旨をメモするのが大事だと思います。
リスニング
・一番大事なのは耳を英語にならすことだと思います。なので、通学時間や移動時間などはなるべくイヤホンでリスニング教材を聴き、とにかく英語を聴く時間を増やすようにしました。
・リスニングのスピードに慣れるためにシャドーイングをするようにしました。シャドーイングは、CDの音声の後に続けて自分でもCDと同じように英語を声に出す勉強法です。発音できない英語は聞き取れないと思っていたので、実際に声に出すことで聞き取れる英語を増やす努力をしました。
▼模試観
・自分の現在の位置を確認するための道具として認識していました。なので、模試の結果をあまり気にしすぎないようにしました。本番で点数が取れれば大丈夫なので、模試でA判定を取れなかったからといって落ち込む必要はありません。模試は目標までの距離を測るために使い、そこから目標を達成するには具体的に何をするか考えるようにしました。
▼塾観/予備校観
・塾や予備校はあくまで補助的な存在として認識していました。自分に足りないものや、一人ではできないことを補うことを目的としていたという感じです。自分は先生に積極的に質問するタイプではなかったのですが、もっと質問すれば良かったという反省があります。塾や予備校に通っている人は、積極的に利用するべきだと思います。
・塾に行くだけではできるようにはならないということも意識していました。授業を受けるだけではダメで、しっかり復習をすることが重要です。授業をたくさん受けるのではなく、自習をして授業内容を消化する時間をしっかり作ることが大事です。
▼参考書観/問題集観
・参考書や問題集のコレクターにならないようにしていました。友達や成績の良い人たちが自分とは違う問題集を使っていると、どうしてもその問題集を使いたくなってしまいます。しかし一番やってはいけないことは、いろいろな問題集に手を出してどれも中途半端になることです。
・そして自分のレベルに合ったものを使うことが大事です。焦って難しい問題集に手を出したくなる気持ちは分かりますが、基礎ができていない時に難しい問題を解いても意味がありません。まずは自分のレベルに合った一冊を決めて、それを3周ほどして完璧にすること。完璧になったら上のレベルのものをやるようにしましょう。
▼友人観
・同じ目標に向かって切磋琢磨できる存在でした。お互いに勉強時間を報告したり、点数を競い合うことで、友人に負けないように頑張ることができました。時にはわからないところを教えあうことで、互いに高め合っていました。一人で頑張るのではなく、友人とともに頑張ることで大きな目標にも挑戦することができました。
▼学校観
・学校はペースメーカーのような存在でした。学校の先生に進捗状況や困っていることを相談して、今後の勉強計画の参考にしていました。学校の先生は相談すれば親身になってくれると思うので、積極的に利用すべきだと思います。
▼部活観
・勉強ばかりしている受験生活の中で、メリハリをつけるための存在でした。やはりたまには運動することも大事で、運動することでリフレッシュする時間ができ、そのあと勉強に集中できることもよくあります。少しでもいいので、勉強のことを考えない時間も作ることで、より勉強に身が入ると思います。