センター世界史Bの指定教材
センター世界史Bは2つ教材でOKです。参考書1冊と過去問で対策します。
参考書
文英堂
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参考書をざっと読み、だいたいのテーマや内容を掴みます。この時点では何も頭に残らなくても問題ないです。問題演習を通して知識を入れていくからです。
最終的には、参考書に載っている知識がすべて頭に入っている状態にするのですが、参考書を読むだけでその状態に到達できるわけではないので注意してください。問題演習を通してでないと知識は定着しません。必ず問題集とセットで使っていきます。
さて、参考書は、センターで9割以上取得するのにも十分な網羅性を備えたもので、且つ、わかりやすいものを使う必要があります。その観点から『時代と流れで覚える! 世界史B用語』を選んでいます。
参考書は最初に読むものなので苦手意識を感じさせてはいけません。また、繰り返し読んで頭に刷り込ませる鋳型にもなるので、参考書が知識の構造を規定すると言っても過言ではありません。そういう観点から、わかりやすくまとまっている『時代と流れで覚える! 世界史B用語』を推奨します。
詳しい使い方については下記をご覧ください。
過去問
問題演習用として『センター試験への道』シリーズを使います。
『センター試験への道は』は、過去問を小問レベルで分割し、分野ごとに再構成しています。よって、問題演習とセンター特有の出題形式への慣れ、知識の整理を同時に行うことができる、大変効率的で優れた教材です。
使い方は下記を参考にしてください。
まずは上記2冊を使った勉強を徹底して行ってください。これだけで8割は固く取れるようになります。それで足りない場合のみ、下記のような赤本を購入し、センター過去問を1年ずつ追加し、様子を見ていきます。
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その他:教科書
辞書・資料集として、わからないことを調べるために使います。メインとしては使わず、あくまでもサブとして使用してください。教科書にこだわりはないので学校指定の問題集を使えばOKです。
2つの教材を組み合わせてどう勉強していくか?
参考書の問題を解く
参考書をさらっと読んだら、すぐに参考書に載っている問題を解きます。全体を1周するのではなく、章ごとに参考書⇒問題演習、という流れで進めます。
わからなければすぐに解答を見ましょう。理系教科でもわからなければすぐに解答を見て頭に入れるのが定石です。世界史Bは知識問題なので当然、考えても意味がありません。すぐに解答を読んでください。
その後、参考書の該当箇所を、周辺知識も含め読み、知識を体系化します。
問題集で該当する章を解く
続いて、該当する章を『センター試験への道』で問題演習します。
知識問題なので初めはわからないことばかりだと思います。すぐに解答を読み、再び参考書に戻って理解の伴った暗記をしましょう。
このように、問題演習を通してアウトプットし、それからインプットするようにします。
参考書に戻って知識の整理をする
問題演習をした後に参考書に戻るのは、理解をして暗記するためです。
丸暗記しようとするのは効率が悪いです。どうしても丸暗記しなければならないものは存在しますが、流れや因果関係を頭に入れることで、できるだけ理解の伴った暗記をするようにしてください。
この具体−抽象の往復学習が、知識の体系化を効率的に行うためにもっとも有効な手段です。
誤りの選択肢からも学ぶ
過去問と全く同じ問題は出題されませんが、必要な知識は過去も本番も同じです。つまり、問われ方が違うだけで、身につけるべき知識は同じなのです。
Aという問われ方から、汎用的なXという知識をつける。そうすれば、Bという問われ方をしても、Cという問われ方をしても対応することができる。このXという知識体系を身につけていくのです。
センター試験は誤りの選択肢から学べるので、その選択肢が誤りである理由まで確認し、参考書に戻って知識の整理をしてください。参考書に載っていない場合は教科書を確認します。
目標点付近になるまで、過去問を積み上げる
一般に、暗記系教科は時間をかけるほど、コスパは指数関数的に悪くなります。出題頻度の低い知識は裾広がりに多くなる一方、出題頻度が低いので点数への貢献が低くなるからです。
そこで、上記2冊をやったあとは、過去問演習を追加していって得点を上げていきます。注意が必要なのは、上記2冊をやれば、だいたい8割は取れるようになるということです。
なので、8割に達していなかったら過去問演習を積み上げる前に、参考書と問題集を本当にやりきったかを確認することから始めてください。上記2冊をやりきる前に過去問を積み上げていくのは効率が悪いです。また、勉強方法自体を間違えている可能性もあります。間違えた勉強方法で新しい知識を入れていくことほど非効率なことはないので注意しましょう。
目標点が8割以上の場合、過去問1年分を解いて採点し、復習します。これをやることで、自分の今の実力を測りつつ学力を伸ばしていくことができます。
目標点数で点数が安定してきたら、過去問の追加演習はストップします。あとはこれまでやってきた問題の復習を行ったらOKです。
志望校が、センター世界史Bへの投資時間を左右する
志望校によってこんなに違う、センター世界史Bの選択と投資
例えば東大では、センター試験900点満点が110点に圧縮され、二次試験の440点と合わせた550点が満点となります。世界史Bはセンター試験900点満点中100点を占めますが、11/90に圧縮されるので、世界史Bは550点全体に対して約12点(≒100×11/90)です。これは、全体の約2.2%を占めることを意味しています。
たとえば、得点占有率を勉強時間に按分するとしたら、1年(=365日)中、約9日だけ勉強するのが最適ということになります。相当少ないですよね。
さらに、世界史Bで100点を取る場合と80点を取る場合の差は20点ですが、この20点は圧縮されるとたった約2.4点になります。センター世界史Bで80点を取るのは簡単ですが、100点を取るとなると膨大な時間が必要です。ここに時間をかけるのはナンセンスであると言えます。もっとやるべきことがありますし、東大からのメッセージも英数理ができる人を取りたいというものなのです。少なくともそういったメッセージを発する大学を志望しているということは認識しておきましょう。
なお、私は社会の勉強をほとんどせず60点台でしたが、それはもっとも東大受験生でボリュームが多いであろう80点台の人たちとの差は2.4点であるため、全く問題ないと判断した結果です。その分、2次試験の国語で3〜5問出題される漢字の対策をしたほうが圧倒的に効率的です。
このように、戦略的に時間配分することは受験では重要となります。
志望校が決まっていない場合は、8割で止めておく
志望校が決まっていない状態であれば、世界史Bは8割で止めておいてください。志望校や状況によっては9割に伸ばす必要がありますが、8割から9割に伸ばすのは圧倒的に時間コストがかかります。
センター社会の平均は60点だが、最頻値は70点後半〜80点前半
センター社会はどれも、最頻値が70点後半〜80点前半であり、これくらいまでは一般的な努力によって到達可能です。
一方、80点台後半から100点にかけて大きく人数が減るため、一気に難易度が高まり効率も下がります。
センター世界史Bは総合点の約5%という認識を持つ
センター試験で世界史Bを受験すると決めたら、次は、どれくらい時間をかけるべきなのかを考えなければなりません。
大学受験は合計点によって合否が決まるため、限られた3年間という時間を適切に配分し、合計点を最大化させる必要があります。世界史Bにだけたくさん時間をかけるわけにはいかないのです。
例えば医学部は、前期日程におけるセンター世界史Bの総合点に対する割合は、4−5%が最頻値で、平均5.2%でした。5.2%というのは、センター試験900点中世界史B100点、センターと2次試験の比率が1:1.2の場合にそうなります。
他学部でも、このような点数配点の大学が多いです。
得点占有率を勉強時間に按分するとすれば、受験生の4月からセンター本番までの期間(=290日)間で、約14日勉強するのが最適ということになります。
いちいち勉強した時間を積算する人もいないと思いますし、受験校やその人の他教科の学力状況によって異なるため一概には言えませんが、思ったより少ないから、結構効率的に対策しないといけないんだなと思ってもらえたらOKです。
9割との10点の差は、0.5%の貢献でしかない
ちなみに、東大文系であってもセンター世界史Bで9割取れたら「よくできた」という感覚です。よって、センター世界史Bは9割を上限として考えたらよいです。
そんな9割との10点の違いは、世界史Bの総合得点に対する占有率が5%程度の大学では、総合点の0.5%程度です。そのためだけに膨大な量の暗記をするのは、時間配分を間違えていると言わざるを得ません。
センター世界史Bで8割以上を狙うか、他教科の点数から判断する
世界史Bの10点が命取りになるようなら、それ以外で十分に点数が取れなかったと考えるべきです。2次試験で必要な英語・数学・理科2つでもっと点数が取れるよう時間をかけて学力を上げるか、センター試験のケアレスミス対策をすべきでしょう。
他教科の学習状況も参考にし、世界史Bに投資する時間を総合的に判断してみてください。
英数理を優先する。世界史Bは8月からでも間に合う
国公立2次試験や私立大学の個別試験に必要な科目(≒英数理)で十分な成績が取れていない場合は、夏休みまでは英数理に特化して集中的に勉強してください。問題ない成績になってから世界史Bの対策をはじめます。
センター世界史の開始時期に一般解はありません。重視しているのは、より得点占有率の高い他教科の成績を上げることだけです。
センター世界史Bは8割安定的に取れたら問題ないので、センター8割を固定として考え、残り教科をどう伸ばすか考えてください。
各教科については、下記点数にすることを優先しましょう。これに満たない場合、センター世界史Bを8割以上にするという目標は立てるべきではありません。
数学・理科:380点
理系難関大学に合格する2次力がある人は、結果的にセンター試験で満点近く取れる学力がなければなりません。よって、センター対策でやることはケアレスミス対策のみになります。
センター試験でケアレスミスは言い訳になりません。理系難関大学受験生にとってのセンター数理対策はケアレスミス対策であると言い換えられます。
具体的な対策としては、マーク模試ごとにパフォーマンスの振り返りと対策を立てます。また、センター試験1ヶ月前から過去問演習を開始し、45分以内に解き切り、残り10分で見直しをする練習をしましょう。
国語:160点
内訳は、評論文35点、小説35点、古文45点、漢文45点です。
現代文(評論文、小説)は当年の難易度に影響を受けるので、35点が取れたらOKとしてください。本番も35点取れたらOKです。
ただし、間違えた問題については、なぜ間違えたのかをきちんと腹落ちするまで納得するようにし、次からは満点が取れる状態にしてください。
現代文はあくまで、普段から70点以上取れる状態になっても本番で70点になる可能性があるから、点数として見込んでいないだけであって、毎回満点が取れるようになるべく解説をよく読むこと、選択肢の絞り方の精度を上げていくこと、参考書を読んで知識の体系化を行うことは行ってください。
古文、漢文は世界史Bと比べて暗記すべき量が少なくコスパがいいので、合わせて90点は取れるようにしておきましょう。
英語:180点
英語は、2次対策もバッチリなくらい実力がついていれば180点は安定して取れるようになります。英語は実力をつければ安定的に得点できる教科であり得点占有率も高いので、しっかり時間をかけてください。
180点取得を目指す中での20点の失点は、発音・アクセント問題で2-3問、文法問題で1問、長文読解で1問、合計20点減点するというパターンが多いです。長文ではほぼ落とさないようにしてください。
まとめると、一般に理系受験生が時間をかけるべきは下記となります。
- 数学&理科の2次対策、ケアレスミス対策
- 古文&漢文の暗記
- 英語の本質的な対策(語彙量、文法、長文読解力)
それでも時間が余る人は、世界史Bに時間をかけましょう。
上記の点の取り方でも約89%になります。数理は本番でほぼ満点取れる人、英語でほぼ満点取れる人、現代文が得意な人、であれば、90%は軽く超えます。
世界史Bが80%であっても、何の心配もいりません。
センター世界史Bのカリキュラム
英数理の基礎をひと通り勉強したら開始(6月中〜7月中)
英語、数学、理科の基礎をひと通り勉強したら入ります。
浪人生は確保できる勉強時間が多いことと精神衛生上、世界史Bに入るタイミングは早めにしておくとよいでしょう。
現役生は、英数理の基礎固めを夏休み中(8月中)に行いますが、英数理の基礎固めを終わらせてから世界史Bに入ってください。
夏休み中のまとまった時間でひと通り勉強します。8月以降は模試も多く、学校も始まるのでまとまった時間が取りにくくなるので、8月中にひと通り固めるつもりで進めましょう。
11月末で8割を目標とし、12月以降に最終調整する
11月末にセンター世界史Bが8割が取れる状態を目標に進めたらOKです。
試験本番で80%取れたらいいので、常に80%維持できているか過去問演習でこまめに確認するような非効率な勉強にはしないようにしましょう。
もし11月末で80%が取れなかったとしても、12月以降は残り1ヶ月+αあるので間に合います。また、9割取得したいと思ったとしても、1ヶ月あれば問題ありません。その分だけ過去問演習する年を追加し、具体−抽象の往復学習を行ったらいいだけです。
年明けの直前期も、これまで通りの勉強でOK
英数理は十分実力がある中でいかにケアレスミスをなくすかがポイントとなりますが、センター世界史Bの場合は知識問題なので、英数理ほどパフォーマンスに気をかける必要はありません。
直近3年分の過去問を直前期まで取っておくということもしなくてよいです。逆に、直近の問題の方が最近の傾向を踏まえていて学ぶことが多いので、早めに手を付けておいたほうがよいでしょう。
センター世界史Bを勉強する前に確認すべきこと
記事の最後にはなりますが、下記については真剣に検討しましょう。
私立専願でなくてもいいか?
受験では何をしないかが重要です。
もしも私立大学受験が可能で、国公立対策をする余裕がなさそうであれば、センター対策には入らず、私立大学の受験に必要な科目に絞って勉強してください。
「センター試験の一般入試という1回のチャンスを捨てるのはもったいない」と考える人がいますが、センター試験対策をする分、私立大学への合格可能性は下がるので、チャンスではなくリスクであるという認識を持ってください。
特に国公立医学部の場合、センター試験で9割弱を取らないと厳しいため、国公立の難易度は格段に上がります。学費の問題はありますが、私立医学部でも良い場合は無理にセンター対策に時間をかけないことをおすすめします。
医学部以外の学部であっても、最終的に就職を考えているのであれば東京都内の私立大学に進むほうが地方の国公立大学に進むよりも選択肢と可能性が広がっているのが現実です。今一度、国公立大学を受験すべきか考えましょう。
世界史Bのままいくか?
世界史Bはセンター社会の中でもっとも覚えるべき量が多い科目です。本当に世界史B選択でいくのかは考える必要があります。
ただ現実問題として、浪人生が社会選択を変更するのは精神的な負担も考えると厳しいというのもわかりますし、時間のない現役生が独学で勉強するというのも負担が大きいです。
1つの目安として、センター試験で60点(平均点)が取れているならそのまま世界史Bを進めてください。60点未満であれば倫政への変更を推奨します。
センター世界史Bの注意点:マーク模試について
マーク模試はセンター過去問とは異なるため、出題傾向や難易度にどうしても歪みが生じます。結果、本番と比べて簡単過ぎたり、逆に難しすぎることも多く、下手に安心感(または不安感)を頂いてしまい、その後の計画に狂いを生じてしまうことがあります。
マーク模試はそこまで積極的に受験する必要はありません。特に現役生の場合は追加で受験する必要はなく、学校で受験するマーク模試だけで十分でしょう。正直なところ、学校で受験させられる駿台ベネッセマーク模試などは難易度的にも易しいため受験不要なのですが、現実的に厳しいので受験はするようにしましょう。
マーク模試は一応、ケアレスミス対策やパフォーマンス改善の機会になるという考えもありますが、自分で時間を測り(数理の場合は45分以内に解き切る&見直しをする練習をする)、マークシートを使って過去問演習しても全然問題ありません。
センター試験本番でのミスの半分は、計算ミスや読み間違え、残り半分はマークミスです。特にマークミスの場合、自己採点時にミスが発覚しづらいので出願戦略にも大きく影響します。絶対にマークミスがおきないよう、マーク模試の段階から対策するようにしてください。