東大世界史の基本情報
東大の世界史問題は①大論述②小論述③単答式(小論述がでることも)の3つの大問から構成されています。試験時間は、もう1つの社会科目と合わせて150分です。
はじめに、具体的な勉強に入る前にして欲しいことがあります。本番を模した演習のために、何年分の過去問を取っておくかを決めることです。
時間配分の調整や、集中し続ける訓練のためにも過去問演習は必要な反面、赤本・青本に収録されている25年分全てを演習にするのは無理があります。
例えば、最新の3年分を演習とし、それ以前の問題は今回ご紹介する勉強法に使うなどです(東大模試を夏秋で3回受けると、演習回数は計6回になります)。人それぞれ必要な回数は変わってきますので、他の教科の進捗状況も考えながら決めてみてください。
東大世界史対策には赤本と青本を用意
それでは、過去問を使った勉強法について紹介します。
まず、論述問題に取り組む際は、ぜひ過去問集を2冊用意してください。具体的には赤本(教学社)と青本(駿台)です。
同じ問題の解答でも、出版社によってその構成・言葉選び・内容には差が見られます。果たしてどの問題集が最も精度が高いのか判断することは難しいです。
そこで、1つの問題集の解き方を完璧に身に着けるのではなく、複数の解答を比較しながら自分の解答に足りなかった点を見つけ、吸収していくことをお勧めします。
東大の世界史過去問を扱った問題集には、赤本(教学社)・青本(駿台)・『テーマ別 東大世界史論述問題集』(駿台)などがあります。この記事では赤本・青本の使い方を紹介します。
解説量は青本>>赤本>『テーマ別』で、構成は青本が年度別、赤本が大問別、『テーマ別』がテーマ別。『テーマ別』では第三問は取り上げられておらず、解答自体は青本と同じです。
東大世界史の大問別勉強法
大問別に勉強方法を紹介していきます。
第一問・第二問を解く順番は年代順である必要はありません。例えば、苦手なテーマから取り組み、早めに苦手を潰してもOKです。
第一問(大論述)
第一問は600字前後の大論述が出題されます。年によって、テーマも要求される書き方も様々で、包括的な知識と構成力、文章力の全てが求められます。
赤本・青本は過去約25年分の問題が掲載されていますが、全てを完璧になるまで書き上げるのはコスパが悪いです。600字を書くにも、自己添削するにもそれなりの時間がかかる上、結局その解答が満点になるのか分からないからです。
そこで、「構想メモを書く×2〜3問→構想メモから文章にする×1問」というサイクルで解いてください。構想メモを書く問題では自分の知識と構成力を確認し、文章の書き方をインプットします。文章にする問題ではインプットした書き方がアウトプットできるかを確認します。
構想メモを書くだけの問題について
構想メモの作り方は『世界史論述練習帳new』を参照のこと
教科書を見て構いません。構想メモを作る過程で知識の整理とインプットを行いましょう。
赤本の解説は「設問の要求→指定語句の整理→詳しい解説→ポイントまとめ」という構成で、青本の解説は「設問の要求→視点→フローチャートの例→加点ポイント」という構成になっています。青本にはフローチャートが載っていて自分の構想メモと比較し易いと思いますが、各々の好みで選んでください。
赤本・青本のどちらが分かり易いか比べてみて、差が生まれた理由(構成が上手いのか?主語術後の関係がより明瞭なのか?など)を考えましょう。
文章にする問題
構想メモの作り方は『世界史論述練習帳new』を参照のこと
教科書を見て構いません。構想メモを作る過程で知識の整理とインプットを行いましょう。
赤本の解説は「設問の要求→指定語句の整理→詳しい解説→ポイントまとめ」という構成で、青本の解説は「設問の要求→視点→フローチャートの例→加点ポイント」という構成になっています。
青本にはフローチャートが載っていて自分の構想メモと比較し易いと思いますが、各々の好みで選んでください。
なお、このSTEP1~3は先述の「構想メモを書くだけの問題について」と同じことをします。間違った歴史認識のまま文章を書くと、文章力の良し悪しを判断できないからです。
字数を気にしながら構想メモを文章に仕上げてください。
休憩を挟むなどして頭をリセットしてから、赤本・青本の解答を読みましょう。
自分で書いた文章を客観的に評価するのはとても難しいことです。休憩を挟んだり、赤本・青本の解説を読んでから自分の書いた文章を読むことで、なるべく内容を脳内で補完しない様にします。
自分の文章が赤本・青本と比べて分かり易いか分かりにくいか判断し、より良くするにはどうすればいいのかを書き出しましょう。次に過去問を解き文章化する時は、それらの点が直っている状態に持っていけるのが理想です。
第二問(小論述)
第二問は60〜150字の論述が3〜6問(単答式の問題が出ることも)が出題されます。第一問に比べると時代や地域が絞られるため書きやすいですが、コンパクトに情報をまとめることが求められます。
第二問は、第一問の「文章にする問題」ステップを全ての問題に対して行いましょう。これくらいの記述であれば構想メモなしで論述できるかもしれませんが、自分の思考プロセスを残しておくことは大切なので、蔑ろにしないでください。
また、1問1問の字数は少なくでも合計するとそれなりの量になります(500字弱ほど)。第一問とセットで解くとそれなりの時間と体力を要するので、それぞれ別の日に解いてもよいでしょう。
第三問(単答式・小論述)
第三問は単答式で10 問ほど出題されます(1行程の記述が出ることもあります)。教科書レベルの知識で対応できますが、毎年大きめのテーマが設定され、時代も地域も様々な問題が出題されるので、通史を網羅していなければいけません。
(テーマ例:歴史上の「少数派」に関わる事象(2013)、世界各地の建造物(2012))
第三問は、第一問か第二問を解いた後に、そのテーマとリンクしそうな年の問題をピックアップして解きます。第一問・第二問にリンクしそうなテーマがなければ、まだ解いていない問題を解きましょう。