はじめに
東大世界史対策は、教科書・資料集を使った勉強がメインとなります。しかし、ただ漠然と教科書・資料集を読み込んでも効率が悪いです。
効率よくインプットするためには相応の工夫が必要であり、その方法についてまとめました。
重要語句の暗記
教科書の太字欄にマーカーを引き、隠して覚えます。一問一答も使用しますが、教科書の太字は外せないので教科書でも答えられるか確認してください。
★東大対策における位置づけ・・・2次試験の第3問対策になります。
年号の暗記
年号を暗記すると、出来事の順序や地域間のつながりをイメージしやすくなります。
①重要な出来事は年号を覚える
重要な年号は覚えましょう。「1848二月革命」「1492コロンブス新大陸へ到達」などです。
②半世紀区切りで覚える
続いて、出来事を半世紀おきくらいで区分します(スペインの覇権16 c、オランダの覇権17c前半、イギリスの覇権17c後半〜)
世界全体は半世紀ごと、イスラーム世界にフォーカスしたら25年ごと、というように区分の細かさは随時変えます。
★東大対策における位置づけ・・・一貫した地域史や、覇権・宗教の変化の大論述対策
③地域比較で覚える
教科書・資料集の後ろに載っている様々な地域をまとめた年表を活用し、地域間のつながり(横のつながり)を覚えます。
下記のような、横のつながりを意識した年表を作り、見なくてもおおよそ頭の中でイメージできるくらい反芻してください。
年号 | 中国 | イスラーム | 西ヨーロッパ |
---|---|---|---|
17c前半 | 明初期 | オスマン帝国初期 | ・・・ |
17c後半 | ・・・ | ・・・ | ・・・ |
18c前半 | ・・・ | ・・・ | ・・・ |
18c後半 | ・・・ | ・・・ | ・・・ |
★東大対策における位置づけ・・・地域の比較の大論述対策
④地域ごとに覚える
出来事の順序を正確に、年は±10年くらいでだいたいイメージします。教科書などの年表を視覚的に覚えると良いでしょう。隠しつつ自力で思い出しながら覚え、空で年表が書けるくらいにします。
問題をイメージして読む
短い論述対策を対象として話を進めます。
ザックリ言うと、頭の中で問題をイメージし、それへ解答を確認しながら教科書を読みます。問われる部分はだいたい決まっているので、それが書かれている部分に注目して読みます。
ここで大事なってくることは分割して統合せよということです。
自分で立てた予想問題の答えになる部分の教科書の文章にスラッシュを引いて文章を要素にわけ、それぞれに番号をつけて覚えます。そして、問題を付箋などに書いて教科書に貼り付け、それを見て要素を思い出せるようにするのです。
まずは要素がいくつあったかをまず思い出し、要素の内容を思い出していくという過程を経ると良いでしょう。
具体例を見ていきます。
出来事・重要語句の内容・特徴(What何を)
例題1:ウェストファリア条約の内容を説明せよ。
例題2:ユンカーを説明せよ。
ユンカーについて、資料集にはこのように記述があります。
「ユンカーはプロイセンの地主貴族。自由農民の農奴化を強化させ(再版農奴制)、広大な農場で市場向けの穀物生産を行うグーツヘルシャフトをエルベ川以東のドイツで確立し、莫大な利益を得た。地方政治を支配し、高級官僚や上級軍人の職も独占した。農奴解放令は、プロイセン・オーストリアともに1848年の革命を経て完了した。」
これを
「ユンカーは①プロイセンの地主貴族。自由農民の農奴化を強化させ(②再版農奴制)、広大な農場で市場向けの穀物生産を行う③グーツヘルシャフトをエルベ川以東のドイツで確立し、莫大な利益を得た。④地方政治を支配し、⑤高級官僚や上級軍人の職も独占した。⑥農奴解放令は、プロイセン・オーストリアともに1848年の革命を経て完了した。」
このように線を引き、番号をつけた後で付箋に「ユンカーを説明せよ。×6」と書いた付箋を貼ります。
付箋をみて、ユンカーの6つの要素を思い出しながら、教科書の本文を読みます。
読んでいるうちに、要素として覚えた部分以外も頭に入ってきて、いざ書くときに覚えた要素に肉付けできるようになります。
出来事の流れ(howどのように)
例題:イタリア統一の流れを述べよ。
資料集の年表を使います。設問への必要な要素に番号をつけ、同じように付箋に「イタリア統一の流れを説明せよ。×9」などとして、それが思い出せるように教科書や年表を読みます。
- 青年イタリア
- 対墺戦争の敗北
- ローマ共和国の樹立
- プロンピエール密約
- イタリア統一戦争(ロンバルディア併合)
- ガリバルディ、赤シャツ隊
- イタリア王国成立
- ヴェネチア併合(普墺戦争)
- 教皇領併合(普仏戦争)
比較
例題1:カトリック、ルター派、カルバン派それぞれの宗教の相違を述べよ。
例題2:ウマイヤ朝とアッバース朝の王朝の性格を比較せよ。
例題3:北海・バルト海交易圏と地中海交易圏を比較せよ。
比較する項目を決め、表を作ると良いでしょう。
「北海・バルト海交易圏と地中海交易圏を比較せよ」の問題を例に挙げると下記のようになります。
北海・バルト海交易圏 | 項目 | 地中海交易圏 |
---|---|---|
ハンザ同盟 | 担い手 | イタリア都市 |
日用品 | 扱った品 | 奢侈品 |
帝国都市 | 都市 | コムーネ |
変化(一緒に背景も覚える)
例題1:唐宋変革を説明せよ。
例題2:8世紀から11世紀にかけてのイスラーム世界の変容を指導者、民族に注目して述べよ。
「8世紀から11世紀にかけてのイスラーム世界の変容を王朝をになった民族に注目して述べよ」という問題を例にとると、
王朝はアラブ系 → イラン系 → トルコ系と変化します。
教科書の「〜に変化した」という記述に注目したり、資料集にまとまっている部分を活用しましょう。
理由・背景(Whyなぜ)
例題1:宗教改革が行われた背景を述べよ。
例題2:15c~16cにかけて西欧を中心に新しい航路の開拓が推し進められた背景を述べよ。
出来事や変化には必ずそれが起きた背景があります。関連する記述を教科書や資料集で見つけ、本文を要素に分けながら読むことが大切です。
想定問題の作り方
オリジナルで作っていくのですが、過去問や東大オープン、東大実践模試などは作成する上で指針になるでしょう。
また、教科書や資料集を、内容(What)・流れ(How)・比較・変化・理由(Why)の観点で注目すると想定問題は作りやすいです。
まとめ
ただ漠然とインプットするのではなく、
- 想定問題に答えながら覚える
- 要素に分けて覚える
といった工夫をした上で、結果的にインプットされるようにしましょう。