倍率では難易度は測れない
倍率が高い=難易度が高い、と思ってはいけません。合格可能性のない人がいくら受けても関係ないからです。
実際、私立医学部となると倍率が何十倍になったりしますが、実際はC判定以上の人たちの間での戦いなので、倍率は約2倍でしかありません。
<ロジック>
100人定員の大学に3,000人が受験したとする。偏差値65の大学でC判定が出るのは上位6.7%以上の人たちであるため、3,000人×6.7%≒200人。よって倍率は2倍。
D判定以上だったとして3倍です。
<ロジック>
100人定員の大学に3,000人が受験したとする。偏差値65の大学でD判定が出るのは偏差値62.5以上で、上位10%以上である。よって、3,000人×10%≒300人。よって倍率は3倍。
大事なのでもう一度言います。倍率が30倍の大学であっても、実態は2〜3倍でしかありません。この事実を肝に銘じてください。
もちろん、私立医学部の場合、E判定でも合格可能性は十分にありますが、言いたいこととしては、倍率が高いことに振り回され、勝手にネガティブに考えたりしないようにしてください。
結局、入試本番は「練習通りにできるかどうか」という、自分との戦いなのです。
私立医学部受験生は倍率を気にしても意味がない
私立医学部において倍率はほぼ意味をなしません。上記のように、実質的には2〜3倍の倍率ですし、そもそもアンコントローラブルです。
周りとの勝負と考えるのではなく、合格最低点を超えられるかどうかという自分との戦いであり、練習通り解いてこれるかという自身との戦いなのです。
例年、非常に高い倍率になります。だからこそ自分にベクトルを向け、どの科目に改善点があるか、どうしたら合格最低点を超えられるかを考えましょう。
国公立医学部受験生は倍率には多少注意する
国公立医学部だったとしても、私立医学受験と本質は変わりません。倍率というのは本質的な数値ではなく、自分の合否にはほとんど関係のない数値です。結局は自分との戦いとなります。
しかし、出願時には多少注意すべきことがあります。
国公立医学部では、昨年の倍率を踏まえて判断する人が多い
松濤舎では「隔年現象」と呼んでいるのですが、前年度の倍率が高いと次年度の倍率が低くなり、前年度の倍率が低いと次年度の倍率が高くなる、という現象です。
例えば、前年度で倍率7倍くらいになっていると、多くの人が怖気づき、次年度の倍率が2倍などに下がります。一方、前年度が2倍くらいだと、次年度が5倍くらいに上がります。
国公立医学部の場合、私立医学部と違って合格した人はほぼ進学するため、少ない枠数にどれだけ優秀層が受けに来るかが合否に結構影響します。私立医学部と違い、受験者層の入れ替えの影響が比較的大きいです。
逆張りして「前年度の倍率が高かったから、今年は低くなるだろう」という希望的観測で決めるのはリスキーですが、少なくとも「前年度の倍率が高いから、本当は受けたかった大学があるけど諦めよう」と考えないほうがいいでしょう。
また、昨年度のみならず、5年前くらいまで倍率を遡って確認してみるとよいです。
共通テストの難易度が上がると、志望校を下げてくる人が多い
共通テストの難易度が上がると、志望校を下げてくる人が一定います。
単純に共通テストの出来によって、例えば次のような移動が起こります。
<神戸大学 前期>
・流出先:滋賀医科大、大阪市立大、広島大、徳島大、奈良県立医科大、三重大、和歌山県立医科大
・流入元:大阪大
[出典元]河合塾
このように、基本的には偏差値のより高い大学から、偏差値のより低い大学に移動が起こります。
単に難易度が高くなっただけでなく、次のように傾斜配点が影響することもあります。
<滋賀医科大学 前期>
・流出先:福井大、奈良県立医科大、熊本大、名古屋市立大
・流入元:神戸大、京都府立医科大、奈良県立医科大
[出典元]河合塾
どういうことかというと、国語の難易度が上がった年では、国語配点の低い滋賀医科大学から低い奈良県立医科大への流入が見られ、一方で国語配点の高い愛媛大が流出先から消えたりするのです。
このように、共通テストの自身の出来、客観的な難易度、傾斜配点などで受験者は大きく動き、倍率は変わります。
少なくともこういったダイナミクスがあることを知った上で、出願校を決められるとよいでしょう。