医学部受験生の疑問|演習をしても伸びない?まだ伸びる?
記述模試の偏差値が高ければ、共通テストの点数は当然高いですよね。
ということは、共通テストの演習をするとき、演習したらもっと点数が伸びるのか、演習するより問題集の習得に時間をかけたほうがいいのか迷うようになります。
実際、偏差値が十分に出ていないのにただ演習だけを繰り返して共通テストの点数を伸ばそうとしても徒労に終わります。急がば回れで、ギリギリまで問題集の習得に時間を使ったほうがいいでしょう。
では、その判断はどうしていったらいいでしょうか?
第3回全統記述模試の偏差値と、共通テストで取得可能な点数の関係式
松濤舎では生徒の第3回全統記述模試(河合塾)と、共通テストで取得可能な点数の関係式を見出しました。
ここで言っている「共通テストで取得可能な点数」というのは、河合塾のプレ模試、駿台のプレ模試、Z会の予想問題集のことを指しています。ほぼ本番の点数と言ってもいいでしょう。
以下では、簡単な相関表を公開します。
医学部受験生の偏差値−共通テスト関係表①|英語(R)
第三回全統記述_偏差値 | 共通テスト_上限得点 |
---|---|
60 | 84 |
65 | 90 |
70 | 95 |
75 | 100 |
医学部受験生の偏差値−共通テスト関係表②|数学1A
第三回全統記述_偏差値 | 共通テスト_上限得点 |
---|---|
60 | 85 |
65 | 89 |
70 | 93 |
75 | 98 |
医学部受験生の偏差値−共通テスト関係表③|数学2B
第三回全統記述_偏差値 | 共通テスト_上限得点 |
---|---|
60 | 85 |
65 | 89 |
70 | 94 |
75 | 98 |
医学部受験生の偏差値−共通テスト関係表④|化学
第三回全統記述_偏差値 | 共通テスト_上限得点 |
---|---|
60 | 72 |
65 | 78 |
70 | 84 |
75 | 90 |
80 | 96 |
医学部受験生の偏差値−共通テスト関係表⑤|物理
第三回全統記述_偏差値 | 共通テスト_上限得点 |
---|---|
60 | 86 |
65 | 90 |
70 | 94 |
75 | 99 |
医学部受験生の偏差値−共通テスト関係表⑥|生物
第三回全統記述_偏差値 | 共通テスト_上限得点 |
---|---|
60 | 87 |
65 | 89 |
70 | 91 |
75 | 94 |
表の見方
共通テストで取りたい点数に対し、自分の偏差値が見合っていなければ、偏差値自体を上げるべく問題集の習得に時間をかけるべきです。そのあと共通テストの予想問題集を解けば点数は上がるはずです。少なくとも演習を続けるよりは有効な時間の使い方になります。
一方、偏差値の割に共通テストの点数が出ていない場合は、演習量を増やしましょう。それだけ記述模試で得点できていれば、共通テストではもっと取れるはずです。この際、意識すべきは、大きく以下の3つです。
- 解き方が悪くないか(=わからない問題ですぐ飛ばせていない、時間配分が間違っているなど)
- よくやるミスは洗い出せたか(=たくさん解いて、やりうるミスは本番前にすべてやり尽くすべき)
- 処理能力が低いままでないか(=これは演習を重ねるうちに上がっていくので、上がりきるまで演習継続)
上記を踏まえ、無意識にただ演習を重ねるのではなく、どこが悪かったのかをしっかり振り返りをしたり、仮説を立てて新しい方法をトライしたり、ひたすら失敗しまくってそれを次にやらないようにしたりすれば、演習を重ねるごとに取りうる点数に確実に近づきます。
表の解釈の注意点
- 上記の数値はあくまでも参考値です。Nを増やし、これからもっと精緻にしていけたらと思っています。
- 簡易的に1次方程式で近似して予想値を出しています。
上記の数値を参考に、演習を継続するか、問題集を復習するか、判断してみてください。
この数値が合理的なワケ|偏差値65で考えてみよう
では、偏差値65で取りうる点数を共通テストで取った場合の、英(R)数理の点数を置いてみましょう。英(L)はそこから無理のない点数を算出し、国語と社会も最低限取りたい点数を置いてみました。
科目 | 偏差値65の得点 |
---|---|
リーディング | 90 |
リスニング | 86 |
数1A | 89 |
数2B | 89 |
化学 | 78 |
物理 | 90 |
国語 | 150 |
社会 | 80 |
合計 | 752(≒84%) |
すると、約84%と、偏差値65の国公立医学部で、もっとも多いボーダー得点率になりました。ゆえに、取りうる得点率は結構妥当な数字で、使えそうということがわかるかと思います。
重要!|穴があると共通テストでは点数が出にくい!
記述模試の偏差値は高いのに、演習も重ねているのに、共通テストで思ったように点数が出ない・・・そんな人は、穴がある可能性が高いです。例えば、化学の高分子、物理の原子、生物の進化など、苦手な分野を放置していると、絶対に共通テストの点数が伸び悩みます。
なぜなら、共通テストの方が満遍なく出題されるからです。
記述模試では大問数が少なく、マイナーな分野からはあまり出題されません。よって、主要な分野さえ勉強していれば高い偏差値も取れます。
一方、共通テストでは満遍なく出題されるため、勝手に捨てる分野や放置している苦手分野がある人は、その分野で必ず2〜3問落としてしまい、総合点で80%を超えるのが一気に厳しくなります。
「記述模試の偏差値から予想される、共通テストでの取得可能点」というのは、あくまでも穴なく網羅系問題集を終えている人に言えるのであって、穴があるのに演習を重ねても点数が伸び悩むのは当然なのです。
医学部受験生に網羅系問題集の徹底を推奨しているのは、このように、共通テストで点数を取るためには穴なく勉強する必要があるからでもあります。
改めて網羅系問題集の重要性を認識し、穴をつぶしていく勉強をしましょう。