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【決定版】入りやすい国公立医学部大学とは? 〜狙い目校と対策〜

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はじめに

本記事では、「入りやすい国公立医学部があれば知りたい」と思っている人に向け、その疑問に答える内容を体系的にまとめました。一般論として、入りやすい国公立医学はありますし、個々の成績に応じて合格可能性の高い国公立医学部も存在します。

最後には具体的な医学部名も出しています。「入りやすい国公立医学部とは?」に対するロジカルな回答をご覧ください。

入りやすい国公立医学部に関するよくある勘違い

まずは、よく注目される指標とその注意点について、医学部受験生を長年指導してきた経験を踏まえて記載します。

入りやすい医学部の判断基準と注意点①:偏差値について

偏差値は入りやすさを測る「最重要指標」だが、注意点もある

医学部の難易度を判断する際、まずは偏差値に着目するのが重要です。

偏差値とは、「母集団のうち、どれくらいの位置にいるか」を意味する指標です。これで合格者への平均偏差値に乗っていなければ、基本的には難しいと考えてください。ただし、偏差値の扱いには十分注意する必要があります。

予備校各社の偏差値は定義が異なる

まず、偏差値と一口に言っても、各予備校が合格判定に使っている偏差値の定義が違います。そのため、偏差値も模試ごとに変わります。受験者層が変われば偏差値は変わるのは当然です。

また、同じ模試であっても、第一回と第二回と第三回で受験者層が変わることがあります。「第二回はドッキング判定を出すから、より多くのデータを集めるために、より多くの高校に受けてもらおう」と予備校が考えて学校に営業をかけ、受験者が増え、勝手に偏差値が上がることがあります。一般に、受験者層が広がるほど偏差値は高めに出るようになります。

松濤舎では、独自換算した「全統記述模試の合格者の平均偏差値」を用いることを推奨しています。

>参考記事

「総合偏差値」は丸められた数値で、使うには粗い

各予備校で発表されている各大学の偏差値は「総合偏差値」です。つまり、英数理の偏差値が”平均”されたものになっています。予備校によっては2.5刻みの粗い偏差値しか発表していなかったり、”平均”といっても単純平均なのか加重平均なのかもブラックボックスです。

この「総合偏差値」だけで合否判定や、バンザイシステムなどで合格可能性判定(A判定〜E判定など)が出されるのですが、非常に粗いと言わざるを得ません。

松濤舎では、総合偏差値でなく、科目別の偏差値をもとに全科目において合格者への平均偏差値を超えることが重要と考えており、これを踏まえて出願校選びを行なっています。

「一般選抜以外」の偏差値は、分母(サンプルデータ)が少なく、信頼性が低い

一般選抜に関しては多くのデータがあるのでそれなりに信頼度はありますが、一般選抜以外(=地域枠など)の偏差値についてはサンプルデータが少ないため注意が必要です。

例えば、定員2名の地域枠のボーダー偏差値や合格者の平均偏差値はボラティリティが高く、ほぼ意味のない数値と言えます。

このように、偏差値は入りやすい国公立医学部かどうかを測る指標としてもっとも使える数値であり、同時に使い方や選び方を間違えると大きな判断ミスに繋がるので注意が必要です。

出願校決めについては専門家に任せる、あるいはセカンドオピニオンをもらうようにした方が安全でしょう。

>参考記事

入りやすい医学部の判断基準と注意点②:倍率について

倍率3倍と10倍では、一見、競争の激しさが異なるように感じるかもしれません。しかし、倍率が低い=合格しやすいという単純な図式は成立しません。

なぜなら、倍率が高い大学ほど「合格するには程遠い人が大勢受けている」傾向にあり、結局、雌雄を決する実質的な倍率は非常に低いということもあるからです。

とはいえ、大学によっては倍率が急激に上がり、さすがに実質的な難易度を左右するくらいに上がることがあります。

共通テストの配点比率が、倍率を大きく変えることがある

倍率は、共通テストの配点比率によって大きく変動することがあります。例えば、共通テストの国語が難化した場合は、国語の配点比率の低い国公立医学部の倍率が跳ね上がることがあります。

なぜこのようなことが起こるかというと、バンザイシステムなどの合格可能性判定が、この点数によってA判定、B判定、C判定、D判定の区分を大きく変えてしまうからです。非常に多くの受験生がバンザイシステムの”粗い”合否判定を鵜呑みにして出願校決めをしている証左です。

“隔年現象”が、倍率を大きく変えることがある

昨年の倍率が高いと、次年度の倍率が低くなる傾向にあります。逆に、昨年の倍率が低いと、次年度の倍率が高くなる傾向があります。このような”隔年現象”が見られるのも、倍率の意味をよく理解せず、「倍率が高いから避けよう」「倍率が低いから入りやすそう」と考えて出願する人が多いことを意味しています。

繰り返しにになりますが、倍率よりも重要なのは「実際に定員枠を争う受験生が何人いるか?」です。倍率が高い年度であっても、合格者の平均偏差値を見てみると例年と同じであることがほとんどです。

倍率に惑わされず、実力を踏まえてロジカルに出願校を決めましょう。

入りやすい医学部の判断基準と注意点③:地域枠について

地域枠は確かに入りやすいが、基本的にはオススメしない

地域枠は確かに一般枠より合格しやすい傾向があります。ただし、卒業後の勤務地制限等があります。

9年間の地域医療従事義務など、将来のキャリアに大きな影響を与える条件付きです。「とにかく医師になれればいい」という考えなら選択肢ですが、専門医取得や研究キャリアを考えるなら慎重に検討すべきです。特に、女性医師の場合は、結婚、出産、子育てなどのライフイベントの計画を立てる際に苦労するという声をお聞きします。

原則として、将来のことはわからないためオススメしませんが、一般選抜での合格が難しそうである場合や、その地域の僻地医療に興味があり、従事したいという人は検討してよいでしょう。

入りやすい医学部の判断基準と注意点④:推薦について

学校推薦型選抜は積極的に利用されることを推奨します。ローリスク・ハイリターンな試験だからです。

一般的には共通テスト+面接が必須で、大学によっては筆記試験や小論文などが課されます。それでも、ハードルの差分やセカンドチャンスとして利用できることを踏まえてもプラスになるので、基本的には使用した方がいいです。

9割以上の国公立医学部で評定4.3以上が必要になることが注意点です。高1から評価の対象となるので、高1から定期テストの出題範囲を都度潰していき”借金”を残さず勉強していくことが、一般選抜に向けても学校推薦型選抜の切符を得るという意味でも、合理的です。

総合型選抜は実施している大学が少ないので、ここでは割愛します。

入りやすい医学部の判断基準と注意点⑤:配点比率・試験難易度について

配点比率や試験難易度も、最終確認が重要

共通テストと二次試験の配点比率は大学によって大きく異なります。

例えば、共通テスト重視型の大学では、二次試験での逆転が困難です。
逆に、二次試験重視型では共通テストでの失敗をカバーできる可能性があります。

基本的には「共通テスト」と「2次科目の記述模試の偏差値」の両方が合格者平均を超えている必要がありますが、たまたま共通テストで失敗してしまったり、共通テストでたまたま高得点をとった場合は、出願校決めにおいては重要なポイントになります。

ただし、配点比率だけで入りやすい・入りにくいというのはありません。

比較的入りやすい国公立医学部一覧(偏差値・倍率データ付き)

ここからは具体的な大学名を挙げていきます。ただし、「入りやすい」は相対的な表現であることを再度強調します。どの大学も医学部である以上、高い学力が要求される点は変わりありません。

弘前大学

弘前大学医学部医学科は、合格者の平均偏差値が、英語65弱、数学60弱、理科60弱 となっています。このように偏差値がもっとも低い医学部となっています。二次試験は英語と数学のみで、これまで総合問題一本だったところから、英語と数学に戻りました。共通テストの合格者平均も8割弱となっており、共通テストでうまく取れなかった場合の出願校として考えるのもよいでしょう。気になるのは二次試験の配点のうち、面接点の占める割合が高いことです。このブラックボックスが気になる人は避けた方がいいでしょう。

島根大学

島根医学部医学科は、合格者の平均偏差値が、英語65前後、数学60弱、理科60弱 となっています。このように、弘前大学と同じくらい偏差値が低い医学部となっています。二次試験は英語と数学のみで、問題難易度も高くありません。英語で差がつく大学なので、英語が得意な人は島根大学への出願を検討するといいでしょう。共通テストの合格者平均は約82%で、弘前大学医学部医学科よりは高いですが、国公立医学部の中ではもっとも低い部類に入ります。面接点が低いということもあり、昔から再受験生にやさしい傾向があります。

秋田大学

秋田大学医学部は、英語65前後、数学61前後、理科62前後 となっています。このように、偏差値が比較的低い医学部となっています。共通テストの合格者平均は約83%で、国公立医学部の中でも低めの部類に入ります。面接点の占める割合が非常に高いため、ブラックボックスを避けたい人にとっては微妙な大学になります。

秋田大学医学部医学科は、地域枠が充実しており、秋田県内の高校出身者には有利な制度があります。ただし、卒業後は秋田県内での勤務が義務付けられます。

その他、偏差値65未満の国公立医学部一覧

偏差値65前後の医学部としては、旭川医科大学、富山大学、佐賀大学、大分大学、琉球大学、愛媛大学などがあります。これらはもっとも重視すべき「偏差値」の観点で入りやすい部類にありますが、出願時にはさらに細かな分析が必要です。

国公立医学部「後期日程」の狙い目大学はある?

後期日程は募集人数が少なく、出願者も「今年で合格したいから偏差値の低めの大学に出願する」といった意思決定をするため、非常に難易度が上がります。共通テストの点数でほぼ決まるため、8割後半が取れていなければまず厳しいと考えてください。

はじめから国公立医学部の後期試験はあてにしないようにしましょう。

私立医学部で入りやすい大学は?(国立との違いと学費面)

私立医学部は学費が高額ですが、その分競争が緩和される側面があります。

川崎医科大学・東京女子医科大学・金沢医科大学(高学費グループ)

これらの大学は、私立医学部の中では学費が高めです。結果、偏差値が低めになっています。

私立医学部は学費と難易度が比例する?

はい、基本的には強い相関があります。ただし、立地やネームバリューなどで多少の変動はあります。

国公立医学部と私立医学部の受験環境の違い

国公立は年1回のチャンスですが、私立は複数校受験が可能です。そういった点では国公立医学部より私立医学部の方が難易度はグンと下がります。しかし、首都圏で比較的学費の安い私立医学部(東京医科大学、東邦大学、昭和医科大学など)は、中堅の国公立医学部よりも偏差値が高いですので、私立医学部の上位校は難易度が非常に高いということは知っておきましょう。

地方 vs 都市部:地方医学部が入りやすいと言われる理由

地方医学部が「入りやすい」と言われる最大の理由は、当然ながら、地理的要因です。

結果、合格者の平均偏差値も、東北地方や四国地方、九州地方では低くなっています。

足切りライン(第一段階選抜)が低い国公立医学部は入りやすいか?

入りやすくありません。足切りラインの高低や有無は難易度と関係がないので注意しましょう。

そもそも足切りラインに引っかかるような共通テストの点数を取っていたら合格は非常に厳しいです。一部大学では二次比率が高い且つ二次試験の問題が難しいため逆転も可能ですが、そういった大学は入りやすい部類の医学部にはありません。

理科不要な国公立医学部は入りやすいか?

一般的な傾向として、国公立医学部の二次試験で理科不要な国公立医学部ほど合格者の平均偏差値は低いです。そのため入りやすいかと言われたら「YES」となりますが、理科不要な国公立医学部にも注意が必要です。例えば、英数が得意でなければなりません。帰国子女や英語が非常に得意な受験生もいる中で、英数のみで定員に入らねばならないのです。「英数での失点を理科でカバーする」といったことができないという点で、松濤舎では基本的に「二次試験が英数のみ」の医学部への出願は推奨していません。また、二次試験が英数のみの大学は、共通テストの比率が高くなったり、面接点の比率が高くなりやすいです。そういった意味で、両手をあげて「入りやすい」とは言えません。

共通テスト重視の国公立医学部は入りやすいか?

もし共通テストで高得点が取れ、さらに二次試験の比率が低かったり、問題が簡単で逆転しづらい場合は「入りやすい」と言えます。しかし、共通テスト重視の国公立医学部だから入りやすい、とは言えません。そもそも共通テストで高得点を取ることは簡単なことではありません。共通テストで高得点が取れる人、あるいは取った人であれば、共通テスト重視の国公立医学部に出願し、いわゆる「逃げ切り型」の出願をするのはアリです。

TOEFL/英検スコア加点がある国公立医学部は入りやすいか?

そもそも広島大学医学部や順天堂大学医学部など、ごく一部の医学部で実施されていません。またこのラインナップを見てもわかるように難関医学部が多いです。よって、外部検定のスコアを持っていればプラスにはなりますが、入りやすいとは決して言えません。逆に「外部検定を持っていると有利になる医学部があるから受けたい」という人がいますが、使える医学部はほぼありませんし、そのために外部検定の勉強をするという打ち手は非常に悪手です。残念ながらこういったことを言う人は戦略的思考に欠けており、全体的に成績が低いケースが多いです。外部検定は「元々持っていたらラッキー」程度に考えましょう。

面接・小論文の配点が高い国公立医学部は入りやすいか?

面接や小論文はペーパーテストと違い、どのように採点・評価されているのか不明です。そのため、面接や小論文の配点が高いからといって入りやすいとは言えません。ペーパーテストで点が取れる人は、あえてブラックボックスである面接・小論文の配点が低い大学に出すのも手だと思っています。逆に、ペーパーテストの点数は足りなさそうだが、一発逆転を狙って面接・小論文の配点が高い大学に出願を”せざるを得ない”という人もいるでしょう。そういう人にとっては一縷の望みをかけて出願するという意思決定はありです。

なお、面接点については年齢や性別、出身地での差別はほぼされていないという印象です。これは合格者に成績開示してもらった結果を見て、あからさまな差別はされていないことがわかっているからです。というより、次のどちらかです。

・特に問題なければ全員に高得点を出す。
・きちんとその人となりや経験を踏まえて得点化する。

言い換えれば、単に年齢や出身地で差別していると感じる大学は一つもないので、面接で逆転を狙うのであれば、配点が大きいところに出願し、徹底して事前準備をして臨みましょう。

社会人・再受験に寛容な国公立医学部は入りやすいか?

そもそも社会人・再受験に寛容でない国公立医学部はほぼありません。ネットの噂ベースでは、例えば東京科学大学は再受験生や多浪生に厳しいという声もありますが、東京科学大学に再受験で入学した人を知っていますし、同期に何人もいると言っていました。また、どの地方国公立医学部にも社会人・再受験生は一定いることが松濤舎の卒業生による調査でわかっており、成績開示の点数を教えてもらっても、再受験だから、社会人経験があるから、と言った理由で不当に低い点数を付けられている人はいないという結論に達しています。

以上から、「社会人・再受験生に寛容=入りやすい」ということは一切なく、合格者の平均偏差値や共通テストの点数などから出願校を論理的に決めていくのがよいでしょう。

「入りやすい医学部」を受験する際の注意点

最後に、重要な注意点をまとめます。これらを理解せずに受験すると、思わぬ落とし穴にはまる可能性があります。

ネット情報を鵜呑みにしない

噂ベースの信頼性の低い情報や、デマのような情報が流れていることが非常に多いです。例えば、「再受験生に厳しい」とネットに書かれているものの、合格者に聞いてみると再受験生も多数在籍していたり、「面接で現役重視」とネットに書かれていたのに、成績開示して見たら再受験生でも面接点が高かったりします。こうした情報に踊らされないことも実力のうちです。

バンザイシステムやボーダー偏差値などの”粗いデータ”で判断しない

わかりやすい指標が求められるのはわかりますが、あまりに粗い数値や「合格判定」といったものを信じすぎると、細やかな意思決定が必要な出願校選びなどで大きく失敗します。出願校選びを間違えてしまうと、何年間もの努力が水の泡になってしまいます。科目ごとの合格者平均偏差値は自身の成績の伸びなどを考慮した上で最適な出願校選びをしましょう。

医師のキャリアと志望校選び(将来の勤務地・専門、奨学金返還義務など考慮)

医学部選びは、将来のキャリアに直結します。地域枠で入学すれば、9年間はその地域で働く義務があります。専門医取得や留学のタイミングも制限されます。「とりあえず医師になれれば」という考えも重要ですが、後々のことも考えて意思決定するようにしましょう。

まとめ:どの医学部でも十分な準備と情報収集が合格への近道

医学部は、相対的に競争が緩い大学はありますが、それでも高い学力が要求されます。

大切なのは、データに振り回されず、着実に「学習指導要領の範囲」を徹底することです。つまり、Focus Goldや青チャート、セミナー、リードα、センサーといった教科書傍用問題集を完璧にマスターし、過去問演習で合格最低点を超えるための演習をする。この”当たり前”を疎かにして、穴場探しに時間を費やすのは本末転倒です。

医学部合格は、正しい努力の積み重ねでしか実現しません。

松濤舎では、医学部合格に必要な学習管理と学習補助をサポートしています。「何をどれだけやればいいか」を明確にし、着実に合格へと導きます。