医学部受験生の理科選択の考え方
前提として、医学部受験生は理科が必須です。基本的には理科2科目必要で、化学・物理にするか、化学・生物にするかを悩む人が多いです。
医学部受験生に「物理・生物選択」はおすすめか?
まずは選ぶ人が少ない科目から見ていきましょう。
物理・生物選択。これをする人はそこまで多くないですが、実は悪くない選択だと思っています。というのも、化学が一番時間がかかる科目なのではないかと感じているからです。よって、この選択をしても全然OKです。
なお、東大文系生は共通テストでこの選択をする人は一定いるので、医学部受験生の中では珍しいかもしれませんが、優秀層という母数で見れば普通です。
医学部受験生は「化学・物理選択」と「化学・生物選択」のどちらが有利?
結論としては、基本的に医学部受験生には生物選択を推奨しています。
これは、多くの受験生を見てきた統計的な結論ですので、自分は物理が得意だから物理選択したい、という人は全然それでも構いません。また、特定の高校では「とても物理を教えるのがうまい先生」がいたりして、その高校に通っているのであれば物理選択を強くおすすめ、ということもあります。
よって、いろんな情報を総合的に加味して最終判断はすべきです。
医学部受験ではリスク回避が重要
まず、物理選択と比べ、生物選択のほうがリスクが低いです。リスクには2種類あります。
物理選択のリスク1|物理が理解できないリスク
まず、自分自身が物理をしっかり理解できないリスクがあります。物理には、素朴概念(日常生活を送る中で身についた感覚)を一回外し、機械的に処理していく必要があったり、抽象概念を扱ったりしなければならず、難しいです。これが最後まで出来ずにずっと物理で失点してしまう人は結構います。
「数学が得意な人は物理が得意」といった都市伝説もありますが、これもエビデンスのない話です。確かに物理は難しくなってくるほど数学的な素養が必要になるため、「数学が不得意⇒物理が不得意」は成り立つと思いますが、「数学が得意⇒物理が得意」は成り立たないと思います。それを言うなら、数学が得意なら、生物のグラフ問題や論理問題も得意だと思います。
物理選択のリスク2|入試問題が難化するリスク
生物の場合、どんなに大問が難しくなっても、最初の小問の知識問題はいくつか解けたりしますが、物理の場合、1つの大問の設定が難しくて最初の小問から解けないことがあります。先ほどの「リスク1」は自分の問題でもありますが、こちらの「リスク2」は外部要因のため避けようがありません。
これで失点する点数は非常に大きく、他科目でカバーできないことが多いです。一方で生物選択者は無難に得点しており、理科1科目で差をつけられることがあります。
医学部受験において、もっとも重要なのはリスク回避です。物理選択は生物選択と比べてリスクが高いのですが、このようなリスクをわざわざ取る必要はありません。生物では無難に得点し、残り科目も無難に得点することを考えたほうがいいでしょう。
物理選択に関する噂を検証する
物理選択をする人は、物理は暗記量が少ないといった理由で選択することも多いです。しかし、裏を返せば、公式理解、事象理解ができなければいつまで勉強しても一向に成績が伸びないということがリスクになります。
また、覚えるべき公式自体は少ないですが、その公式をどう扱うかという経験則という名の知識は、たくさん必要です。
物理選択者は点数が取れれば高得点になるという話もありますが、そもそも物理で高得点を取る必要はありません。合格最低点を超えるだけの点数が取れればいいのです。それに、標準偏差(=点数のばらつき)は物理の方が生物より大きいですが(河合塾の全統記述模試で、物理20に対して生物15ほど)、生物選択で理3や慶應医に合格している人はいます。
物理選択が合う人
自分で物理が進められそうな人は物理選択で全然大丈夫です。そういう人は生物選択でも問題なく進められたりはするのですが。あとは、生物にどうしても興味が持てない人も、物理選択でいいでしょう。大学によっては典型問題しか出題されませんし、生物でも応用問題が出題されれば対応出来ない問題も出題されます。
以上、あまり一般的には言われていない理科選択の話をしてみました。