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【決定版】『速読英単語(必修編)』の使い方とレベル

[推奨]松濤舎の指定問題集です。

 

目次

【決定版】英語の勉強方法と年間スケジュール

難関大受験生向けに、英語の勉強方法と年間スケジュールをまとめました。参考にしてみてください。

【難関大学受験生向け】英語の勉強方法とスケジュール

『速読英単語(必修編)』を使用した生徒の合格校

医学部医学科

横浜市立大学、愛媛大学、秋田大学、弘前大学、東京慈恵会医科大学、順天堂大学、国際医療福祉大学、日本医科大学、昭和大学、東京医科大学、東邦大学、日本大学、聖マリアンナ医科大学、東北医科薬科大学、埼玉医科大学、東海大学

国公立・私立

名古屋大学、北海道大学、慶應義塾大学、早稲田大学、東京理科大学、明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学 など

『速読英単語(必修編)』を多読教材として使用する

『速読英単語(必修編)』は本来、「長文中で英単語を暗記する」というコンセプトで作られた単語帳です。収録されている80~250wordsほどの長文70文に約1,900の英単語が散りばめられています。

松濤舎では、本書を多読多聴教材として使用しています。

『速読英単語(必修編)』は、多読多聴教材として使用するのに最適な特徴を持った教材なのです(理由は後述)

『速読英単語(必修編)』を使用するタイミング

『システム英単語』に類する単語帳を5割覚え、『英文法・語法 Vintage』に類する文法問題集が5割覚えられたら『速読英単語(必修編)』に入ってOKです。

要は、最低限の語彙量と文法知識が入ってから使うようにしましょう。

『速読英単語(必修編)』に入る前に改めるべき「間違った英語観」

「英単語を覚え、文法問題も解き、精読もしたのに、英語の成績が伸びない」という人はたくさんいます。その原因は明らかで、次の2つが影響しています。

  1. 日本語を介して英語を理解しようとしているから。英語を英語のまま理解する回路を鍛えなければならない。
  2. 単語や文法知識は多数使うことで、スムーズに想起できるようにならければならないが、それができていない。

要するに、英語を英語のまま理解する機会が圧倒的に不足しているということです。

日本の英語教育のクリティカルな問題点は、リーディングやリスニングを通した英語のインプット不足にあります。

その上、英単語を覚え、文法というルールを覚え、英文構造を解析していければ、英文も読めるようになるし、英作文も書けるようになるという誤った英語観を植え付けています。英語はプログラミング言語ではないので、このような勉強をいくら続けていても英語がスムーズに読める・聴けるようにはなりません。

英作文やスピーキングなどのアウトプットは少量で良いこともわかっていますので多量のインプット(多読多聴)と、少量のアウトプット(ライティング・リーディング)が英語学習におけるポイントなのです。

補足:英単語も文法知識も重要

当然、英単語と文法知識も必要です。

英単語に関して言うと、多読多聴を通して語彙量を増やすことは非効率であることがわかっているので、別途単語帳を使って暗記しなければなりません。

また英文法に関しても、多読多聴を通して理解していくのは非効率ですし、細かな文法問題は大学受験において依然として出題が多いため、これも文法問題集で対策しなければならないのです。

『速読英単語(必修編)』による多読多聴と単語文法との関係性

英単語や文法の知識がなければ英語長文は読めないため、英単語は単語帳を、英文法は文法問題集を使って意識的に暗記しなければなりません。

このように、意識的な暗記を通して得た知識を顕在知識(けんざいちしき)と呼びます。

(参考)意識的な暗記 ⇔ 不随意暗記

ちなみに、意識的な暗記の対義語を不随意暗記と言います。

不随意暗記とは、普段生活する中で意図せず覚えることをいいます。母語(日本人にとっての日本語)は、このような不随意暗記を通して言語習得しますが、それには膨大な時間が必要になります。しかし、高校生・受験生は、英語だけに膨大な時間をかけることはできませんし、英語漬けの環境を用意することも難しいです。よって、意識的な暗記を通し、単語や文法を暗記していく必要があるのです。

こうして得られた顕在知識ですが、皆さんも経験あると思いますが、最初からスムーズに使うこと(思い出すこと)はできません。覚えたての英単語が長文中に出てきても「うーん、なんて意味だったかな」と思い出すのに時間がかかるはずです。

顕在知識は、たくさん触れること(多読多聴すること)によって素早くその発音や意味が思い出せるようにしなければいけません。単語を見聞きした瞬間に、その意味が無意識に出てくる状態です。

このような状態になった知識のことを潜在知識(せんざいちしき)と呼びます。多読多聴を行うことによって顕在知識が潜在知識に変わり、スムーズに英文が読めるようになるのです。

逆に言うと、顕在知識がなければ潜在知識も得られないので、単語暗記や文法習得は別途、並行して行う必要があるのです。

『速読英単語(必修編)』の使い方①:意味を理解しながらリスニング

さて、多読多聴の重要性は理解いただいた上で、具体的にどのように使っていったらよいのでしょうか? まずは多聴(リスニング)から始めます。

下記に、リスニングトレーニングの特徴を2点挙げます。

1. ハードルが低いから継続する

長文読解が継続しないのは、英語だけの文章を読むのが苦痛だからです。日本人にとって英語のみからなる文章は見るだけでストレスフルです。

しかし、リスニングで音を聴いている分にはそういったストレスは感じません。あまり勉強をしている感じがなく、ラジオや音楽を聴いている感覚に近くなるはずです。

そこで、まずはリスニングから始めます。最低でも3回は聴くようにしましょう。1回目は、細かい部分より全体像を把握することに重きを置き、2回目以降は聴き取れなかった部分を聴き取ろうとしてください。同じ場所をリピートしても構いません。

「これ以上繰り返し聴いても聴き取れなそう」と思ったら一旦止め、英文と全訳を確認します。この際、英文構造も把握するようにしてください。また、聴き取れなかった単語や、ほぼ発音されなかった単語(a,theなど)を確認します。

ここまで終われば、再びリスニングに戻り、今度は何を言っているか100%理解できるまで繰り返しましょう。音だけで完璧に理解できるようになったらリスニングは終了です。

面白いことに、リスニングをすることで英文がスクリプトに見えてきます。文章を読んでいる感覚ではなく頭の中でセリフが流れるようになって、長文に対する抵抗感が一気に消えるようになるのです。

このように、リスニングは長文読解と比べてハードルが低いため毎日続けやすいのです。また、長文に対する抵抗感も下がるという副次的効果も得られます。

2. リスニングは「負荷の高いリーディング」である

「リーディング(長文読解)対策したいのに、リスニングなんかして意味あるの?」と思ったかもしれませんが、そもそもリスニングはリーディング対策を内包しています。

リスニングでは「音⇒文字⇒理解」という過程を経ますが、リーディングは後半の「文字⇒理解」に該当するからです。

しかも、リスニングの方がリーディングよりも負荷の高い学習です。

というのも、リスニングでは音がどんどん流れていくので返り読みしません。結果、英語を語順通り理解していくトレーニングになります。また、ナチュラルスピードで読み上げられるので速読のペースも掴めます。スピードが速いので英語を日本語に訳している暇もありません。

こうして、リスニングでは語順通りに速いスピードで文章が流れていくので、日本語を介して理解しようとしなくなり、英語を英語のまま理解しようとする回路が鍛えられるのです。

注意しなければならないのは、理解していない情報を頭に入れてもまったく意味がないということです。ただ英文を聴き流したり、音から英文を思い浮かべるだけをしても、まったく意味がないので注意が必要です。

『速読英単語(必修編)』の使い方②:意味を理解しながらパラレルリーディング

リスニングできるようになったら、少しずつ長文を読む勉強に近づけていきます。ここで普通に黙読をしてしまっては、返り読みしてしまう可能性がありますし、スピードも遅いはずです。そこで、パラレルリーディングをしてください。

パラレルリーディングとは、「テキストを読みながら・音を聴き・声に出す」ことを指します。

<参考:パラレルリーディングと他の読み方の区別>

声に出しながら…音声聴く音声聴かない
テキスト見るパラレルリーディング音読
テキスト見ないシャドウイング暗唱

「なぜ長文読解のトレーニングをしたいのに発音するの?」と思ったかもしれませんが、パラレルリーディングには語順通り読んでいく、ネイティブスピードで読み進めるようになる、日本語を介さずに意味を読み取るようになるといったリスニングで得られたのと同様の効果の他に、音韻処理を自動化する効果があります。

人は文章を読む際、”心の中で音読している”

人は文章を読むとき、それが日本語であろうが英語であろうが、心の中で音読します。今まさに読んでいるこの文章も、心の中で音読しているはずです。

文字を素早く音に変えることができなければ黙読も遅いわけなので、素早く発音する練習を繰り返してください。「黙読しているときはスラスラ読めているから大丈夫」と思うからもしれませんが、実際やってみるとスムーズに発音できないことが露わになります。

文字を見てそれを音に変えることを音韻処理といいます。

素早く発音するトレーニングを繰り返すことで音韻処理が自動化され、スムーズに長文を読んでいくことができるのです。

意味を理解しながらパラレルリーディングする

パラレルリーディングでは、必ず意味を理解しながら読むようにしてください。文章が自分の意見かのように感情を乗せて読むと効果的です。

最後に黙読をし、スムーズに意味が理解できることを確認したら終了です。

『速読英単語(必修編)』の状態ゴール

日本語を介さず英語を英語のまま理解している

最終的な状態ゴールは、英語を英語のまま理解している状態です。よく「英語を英語のまま読めている」「直読直解できている」と言われる状態のことです。

少しイメージしにくいかもしれません。もう少し噛み砕くと「英語の語順通りに読み、返り読みしない」「日本語を介さず理解している」という状態のことを指します。

多くの人が、長文読解は「英語⇒日本語に訳す⇒理解する」というプロセスを経ると思っていますが、大きな勘違いです。日本語に訳すという過程をすっ飛ばし、「英語⇒理解する」という状態にならなければなりません。

例えば「Green Apple」という字面を見たら、多くの人がすぐに青りんごのイメージ(画像)を思い浮かべますよね? 一度「青りんご」という日本語に変換してからイメージが浮かんだわけではないですよね?

このように、日本語を介さずに英語を見てそのままイメージや概念、情景が思い浮かぶようになることが「英語を英語のまま読めている」「直読直解できている」と言われる状態なのです。

本書を正しく使い、「英語を英語のまま理解する回路」を鍛えていってください。

『速読英単語(必修編)』の使い方

リスニング

まずはリスニングです。最低でも3回は聴くようにしてください。最初は話の全体像を掴むことを目的に、2回目以降は聴き取れなかった部分を聴き取りましょう。「これ以上聴いても理解が深まらない」と思ったらSTEP1は完了です。

スクリプトを確認

次はスクリプトを確認します。知らない単語、聴き取れなかった単語、音が省略されていた単語(a,theなどの前置詞)をチェックしてください。

この際、単語や文章の構造がわからなくても、まずは英文だけ読むようにし、決してすぐに訳を見ないでください。知っている限りの知識で文章の構造を読み取ろうと挑戦し、自分なりの訳を考えましょう。これにより、わからない文章に対して諦めるのではなく、構造や知っている形から考えて挑む力が身につきます。難関大の問題を解くにあたっては必須となる力や考え方です。

最後に、右ページの全訳を見て内容を確認したら完了です。

和訳を読むと、自分の考えた和訳と違う部分があるはずです。それを照らし合わせて、自分は英語のどの文をどう読み間違え、どう読むのが正しいのか、そして、英文がどのような構造をしていて、その構造がどのように訳されることを示しているのかを探してみてください。

この「自分の適切でなかったところを見つけた上で、適切な方法を考える」というのが重要です。この方法は、簡単に訳を見て納得してしまっては成立しません。全力で考えましょう。

リスニング

スクリプトと全訳を見たあとですので、全内容が理解できるまでリスニングを繰り返します。わからなくなったらスクリプトを見てもいいですが、最終的には音だけで完璧に理解している状態にします。

英語を英語のまま理解できている状態になったら完了です。つまり、英語をその語順通りに、ナチュラルスピードで、日本語を介さず理解できている状態にするのです。

パラレルリーディング

リスニングが完了したら、今度は発音を追加します。英文に目を通しながら、音源に合わせて発音していきましょう。これをパラレルリーディングと言います。パラレルリーディングの目的は音韻処理の自動化です。

全文の意味を理解しながらパラレルリーディングできるようになったらOKです。

[注意]必ず、意味を理解しながらパラレルリーディングするようにしてください。ただ音を真似るだけでは成績は全く伸びません。まるで自分が書いた文章かのように感情を乗せてパラレルリーディングすると、発音と理解を共存させるのが楽になります。

黙読

最後に黙読し、日本語を介さずに英語を英語のまま理解できるようになっているか確認します。できるようになっていれば、英語を英語のまま理解する回路が鍛えられた証拠です。

『速読英単語(必修編)』の進め方

1つの長文は約30分で終わります。1日1長文やり、約60日(2ヶ月)で終了です。一度習得レベル2にしたら、同じ長文を復習する必要はありません。

時間の使い方(目安)

  1. リスニング:14分
  2. パラレルリーディング:14分
  3. 黙読:2分

『速読英単語(必修編)』の習得レベル

レベル1:リスニングで内容が理解できている。

レベル2:パラレルリーディングしながら内容が理解できている。

レベル3:黙読し、英語を英語のまま理解できる状態になっている。

『速読英単語(必修編)』が多読教材に最適な理由

最後に、『速読英単語(必修編)』が多読用教材として最適な理由を3つ挙げます。より納得感を持って『速読英単語(必修編)』を使えるようになるでしょう。

①音声(CD)がついている

リーディング対策にリスニングは必須です。『速読英単語(必修編)』には別売りCDをが存在します。従来のリスニング教材で長文読解対策がしにくかった理由に、リスニング教材が簡単すぎたということが挙げられます。しかし、『速読英単語(必修編)』はもともと多読用教材ですので、この難易度で音声が聴ける点は大きいです。

②全訳が近くにあって使いやすい

『速読英単語(必修編)』は左ページが英文、右ページが全訳という構成になっています。

多読は理解可能な文章を読むことが必須条件でしたね。わからなければすぐ右ページの全訳が読めるので大変便利です。

③大学受験に役立つ英単語も増える

多読を推奨する本には、高校生や大学生にも、アメリカの小学生・中学生向けの絵本から始めることを推奨しているものも多いです。しかし、そんな余裕は受験生や浪人生にはありません。

せっかくなら大学受験を見越した教材を使いたいですよね。では、大学受験に必要な単語から構成されているのに大学受験に役立つ教材ってあるのでしょうか?

それが『速読英単語(必修編)』なのです。

『速読英単語(必修編)』で英単語は覚えるべきか?

『速読英単語(必修編)』はあくまでも多読多聴教材として使用するため、本書に掲載されている単語を覚える必要はありません。覚えたらラッキー程度でOKです。

文章中で単語を覚えることは、下記の点で非効率です。

  • 文章中に英単語を入れることを優先しているため、コロケーションが最適化されていない。また、文章を完成させるため覚える必要のない単語も入っており、そこまで効率が高いとは言えない。
  • 単語は文脈からは独立した形で覚えるべき。なぜなら文脈がヒントになってしまい、別の文脈で意味の想起ができない可能性があるから。「単語は文脈で覚えると効率が良い」という言説は科学的に否定されている。

なお、Z会の出版する『リンガメタリカ』も含めた当シリーズは、CDがついており、左ページ英文・右ページ全訳という構成になっていて多読多聴用として使いやすいです。1冊900円程度であるにも関わらず掲載されている文章量が多いため大変経済的でもあります。

松濤舎では多読多聴教材としてZ会の『速読』シリーズを積極的に採用しています。