過去問演習を効果的に行う方法

過去問をやるのは「合格者と同じ知識量にするため」

過去問演習をする理由は、合格者がやっていたからです。過去問演習をすることによって得られる知識を合格者も身につけていた、よって志望者も身につけるべき、というシンプルなロジックです。

過去問によってのみ得られる知識

過去問を問題集の一種と見立てれば、過去問を通して知識が得られることは明白です。加えて、過去問を通してのみ得られる知識に目を向ける必要があります。

  • 合格最低点
  • 各教科の配点
  • 各科目の目標得点
  • 時間配分
  • 解くべき問題の難易度

といったことを知識として頭に入れることを忘れずに行うようにしてください。

過去問は年度数を増やせばいいものではない

多くの年度をやるほど過去問の成績が伸びるように錯覚している人がいますが、それは完全に間違えています。

そういう人の多くが、過去問をやることによって”本番力”や”対応力”といった漠然とした力を身につけることが過去問演習の目的だと思っています。そして、”本番力”が身につけば合格できると考えています。

しかし、それは大きな誤りです。漠然とした”◯◯力”に頼り、無自覚な大量の演習を行うことは超非効率なので絶対にやめましょう。

繰り返しになりますが、合格するには合格者が入試本番で有していたのと同じ知識量を身につければよく、漠然とした”◯◯力”ではありません。

本記事にあるように、過去問演習の位置づけや役割、過去問演習を通して得るべき知識といったものを認識し、意識的に学習するようにしましょう。

過去問は合格判定ではない

過去問演習をやる時点で、すでに合格できる状態になっている必要はありません。過去問も問題集と同じく、知識を構成するものですので、入試本番までにできるようになっておけば良いのです。

時間配分がわかれば時間を測って解く必要はありません。問題を見てわからなければすぐに解答を読むという勉強でOKです。

「過去問が最高の教材」の嘘

「過去問が最高の教材であり、簡単な問題集を終わらせたら過去問演習に入るべき」という意見を聞きますが、周りの東大生、医学部生で、そのような方法で勉強していた人はいません。

過去問はあくまでも、問題集と並ぶ「入れるべき知識が含まれている教材」です。

全ての問題が解ける必要はない

過去問の致命的な点は、合格最低点は6−7割であるので本番ではその6−7割が解けたら良いにも関わらず、どれが解けるべき問題で、どれが解けなくても良い問題なのかがわからない点です。

本番で解かなくても良いレベルの問題を理解することに時間を使うのは、学習効率が圧倒的に悪いです。

また、ほとんどの大学で小問レベルの配点は公表されていないので、実際にどれくらいの点数が取れているかを把握するのが困難です。6−7割取れたらいいが、この問題は本当に捨て問なのか迷いがちです。過去問を主軸とした勉強をすべきではありません。

一般化は学習者に任される

過去問集には「この問題はこう解く」という解説は載っていますが、「この手の問題はこう解く」というコンテンツが載っていません。つまり、1つの問題から本質を見抜き、抽象化し、転移できる知識にまで昇華するということを個々人に任されているということです。

何問も類題を解いて、時間をかけたら実現できるかもしれませんが、それでは効率が悪いですね。

そもそも過去問には「応用性の高い学びが得られる問題だけ」が載っているわけではありません。悪問も奇問も含まれます。

一方、問題集には、応用可能な抽象的な学びが載っています。応用性の高い学びが含まれる問題も選定されています。よって、問題集を中心に使いながら、合格者がやっていた年度数だけ過去問をやる、というのが正しい(正攻法の)勉強方法です。

過去問演習をやっていても、応用性の高い知識が身につかず成績が頭打ちになるので注意しましょう。

同じ問題は出ず、効率が悪い

当然ですが、過去問と同じ問題は入試で出題されません。

過去問で出題される可能性がある問題、その類題を解くことに意味があります。過去問ができるようになることよりも、より一般性の高い問題を解き、より応用性の高い知識を身につけていってください。

過去問演習前に確認すること

合格最低点

合格最低点を確認しましょう。合格最低点が公表されていない場合は、合格者平均点、河合塾の公表しているボーダーを確認し、だいたいの目安となる点数を予想するようにしてください。

頻出分野、出題傾向

大学によっては頻出分野や傾向が偏っていることが多いです。

例えば、毎年確率と積分は出ている、とか、図形・空間系の出題が多い(複素数平面、図形と方程式、空間ベクトル、積分を使った体積問題)など、結構偏りがあります。

解答時間、時間配分

解答時間と時間配分も予め決めておきましょう。

ネットで検索すると合格者の意見が出てくるので、参考にするといいでしょう。回答時間よりも10分短くして問題を解いてください。

パフォーマンス

下記について絶対に守って過去問を解くようにしてください。

  • 最初の30秒で全体を見通す
  • 例年と傾向が変わっていないか確認する
  • 時間配分を決める
  • 解く順番を決める
  • 解ける問題を最優先して解けないと思ったらすぐに飛ばす
  • 大問ごとの時間配分を守る
  • 随時ケアレスミスのチェック(最後にまとめての見直しは絶対にダメ)

受験生の8月末に、過去問を1年分解いてみる

受験生の8月末に、1年分の過去問を解いてみてください。

目的は、今後の勉強においてどれくらいのレベルの問題が解けるようになる必要があるのかを、感覚わかっておくことです。その後の復習や新しい問題集への取り組み効率が格段に上がります。

本格的な過去問演習は、試験1ヶ月前からでOK

なお、本格的に過去問演習をするのは、国公立受験生ならセンター試験後となります。それまではとにかく問題集中心で進めます。私立受験生なら個別試験の1ヶ月前から1週間に1回くらいのペースで過去問演習し、問題集の習得も並行して行っていってください。

問題集を十分にやった上で過去問演習へ

問題集を解き、応用性の高い知識をより多く身につけることのほうが重要です。過去問演習は過去の合格者もやってきたし周りもやっているからやるものではありますが、実は合格に大きな影響を及ぼしたという実感は、自分の経験からもありません。

問題集を使って、より一般的な知識を身につけておくほうが重要であることは強く認識しておきましょう。

過去問より難しいレベルの問題を解く必要は一切ない

例えば、過去問に登場する数学の問題のうち、合格最低点を上回るのに必要な問題(だいたい全体の7割ほど)が、『Focus Gold』の例題・練習に紐付くなら、『Focus Gold』の例題・練習より難しい問題を解く必要はありません。同じレベルの問題集を追加し、類題をたくさん解くことのほうが重要です。よって、『1対1対応の演習』などに入って対策すべきです。

過去問より難しいレベルの問題を解くことは害にもなります。入試本番で解かなくても良い問題も「解かないといけないのでは?」と思ってしまい、無駄な時間を使ってしまうからです。必要十分なレベルの問題しか解かなければ「自分に難しすぎると思うから、これは捨て問だ」と自信を持って判断することができます。

「難しい問題集をやるほど頭が良くなりそう」という、間隔ベースの思考は絶対にやめましょう。