夏休みの捉え方
まず、夏休みという期間をどう捉えるべきか(=どんな”夏休み観”を持つべきか)というと、それは”借金を返す期間”となります。
受験勉強の原則として、定期テスト対策期間中に定期テストの出題範囲、つまり新しく習った範囲を高い習得レベルにしていくというものがあります。
2〜3週間前から定期テスト対策をはじめ、きちんと時間を確保していれば高い習得レベルに持っていけます。しかし、苦手科目や難しい範囲だったりすると、十分に習得レベルを高められないまま定期テストを迎えることになります。
こうして定期テスト対策期間中に十分対策できずに残った問題を”借金”といい、これを精算するのが夏休みとなります。
次の模試の出題範囲を優先する
たとえば学校の進度が早い人は、既習範囲が広くて夏休みに頑張っても間に合わないこともあり得ます。その場合は優先順位をつける必要がありますが、優先的に進めるべきは、次の模試の出題範囲です。
次の模試の出題範囲でまだ解けていない・覚えられていないものを優先的に潰していきます。
習得レベルの穴を埋めていこう
目指したい偏差値から逆算し、その偏差値に到達できない要因となっている問題・分野を優先的に潰していきましょう。松濤舎の進捗管理シートなら、どの科目・分野・問題の習得レベルが足りないのか、ひと目でわかります。
”借金”のない人は、夏休み中はさらに難しい問題集へ
”借金”を残さずきちんと勉強してきたという人は、さらに高い習得レベルを目指して次の問題集に入りましょう。
先取り学習、つまり学校の未習範囲を予習して進めるといったことは、効率が悪いのでやらなくてよいです。学校は未習範囲の授業を聞き、全体観を掴むためのものという位置付けにして、机に向かって勉強できる時間は既習範囲の問題演習やインプットに充てるというのが、これまた受験の原則です。
夏休みの勉強時間
勉強とは時間で測るものではありませんが、ざっくりとした目安を持っておくと判断基準になります。
結論、夏休みは一学年上の先輩が定常的に割くべき勉強時間だけ勉強してください。定常的に割くべき勉強時間(1週間当たり)とは下記となります。
- 高1:25時間
- 高2:35時間
- 高3:55時間
- 浪人生:84時間
以上から、
- 高1の夏休みの勉強時間:35時間(≒5時間/day)
- 高2の夏休みの勉強時間:55時間(≒8時間/day)
- 高3の夏休みの勉強時間:70~84時間(≒10~12時間/day)
となります。
もちろん、これ以上に勉強してもOKですが、1つの基準として考えてみてください。
なお、高3生は理想としては浪人生が定常的に勉強する84時間(≒12時間/day)で勉強するのが理想ですが、慣れるまでは70時間(≒10時間/day)で勉強するとよいでしょう。
夏休みにやるべきこと
高1が夏休みにやるべきこと
高1は前提として英数の2科目を極めるのが定石です。よって、この期間に英語と数学を進めましょう。
英語は、単語30分(=1日120語、1単語15秒)、文法問題集1時間(=1日30問、1問2分、1日1時間)、長文30分(=1日1長文、1長文30分)で合計2時間やります。
数学は、残り時間を充てます。例えば1日5時間勉強するとしたら、1日3時間数学に充てます。
国語や社会の勉強もしたいという人がいると思いますが、上記課題を優先し、追加で国語や社会に充てるとよいでしょう。
高2が夏休みにやるべきこと
高2も英数の2科目を優先する学年です。ただし、ちょうど夏休みで既習範囲が一定ある状態になっているので、夏休み中に既習範囲を復習しておくとよいです。
理科であれば理科基礎を習い終わっている状態になっているところが多いです。
社会も一定の進捗があるはずなので、その部分のインプットを進めるなどしておくとよいでしょう。
秋以降の進研模試から理科・社会が出題されるので、それまでに出題範囲は問題集でひと通り解けるようにしておきたいです。全統記述模試は高2の2月から理科・社会が出題されます。毎年、次の範囲が出題されるので、もし夏休み時点ですでに既習なのであれば、エクセルやセミナーなどの教科書傍用問題集で解けるようにしておきましょう。
<理科>
- 物理:電流とオームの法則、気柱の共鳴[物理基礎]円運動[物理]
- 化学:物質の構成、物質量と化学反応式、酸と塩基[化学基礎]結晶、物質の状態変化、気体[化学]
- 生物:生物と遺伝子、生物の体内環境の維持、生物の多様性と生態系[生物基礎]生命現象と物質[生物]
<社会>
- 世界史B:中国の王朝と都、キリスト教の成立と発展、東南アジアの歴史、詩人とその時代
- 日本史B:原始の社会、古代の政治・社会、古代の文化、古代・中世の外交
- 地理B:地理情報と地図、自然環境、資源と産業、現代世界と日本
- 政経:民主主義の原理と日本国憲法の人権保障、市場経済の特質と経済政策、国会・内閣・裁判所の相互関係と地方自治、日本経済の動向と国民生活の諸問題、戦後の国際政治と国際経済
- 倫理:源流思想総合、日本の思想、西洋近現代思想、現代社会の倫理的課題
英語と数学について。
英語は高1とほぼ同じです。単語・文法・長文です。すでに文法問題集が終わっている人もいるので、その場合は和文英訳対策としての英文暗記や、志望校によっては(=東大・京大・阪大などは特に)和訳問題が多いので、和訳対策に入ることもあります。合計2時間とることが多いです。
数学も既習範囲(※模試の出題範囲を優先)の習得レベルを上げていきます。『Focus Gold』や『青チャート』などを優先的に終わらせ、終わったら次の『1対1対応の演習』に入っていきます。合計3時間取ることが多いです。
1日8時間勉強時間を確保するとしたら、理科や社会に2時間、国語に1時間取る計画になることが多いです。英数の進捗によっては、理科・社会・国語よりも、英語・数学に優先的に時間を使うこともあります。
高3が夏休みにやるべきこと
英語は高2と同じように計画し、2時間ほど確保します。
数学も高2と同じように考えます。多くの高校が夏休み時点でほぼすべての範囲を習い終わっており、8月末の第二回全統記述模試でも全範囲が出題となりますので、全範囲が復習対象となります。
やはり数2Bは問題数が多く、数3は比較的難易度が高いため、高3夏休み時点で『Focus Gold』や『青チャート』が終わっているという人はあまりいません。最後の夏休みに徹底して『Focus Gold』や『青チャート』を終わらせることがゴールになる人が多いです。
理科や社会も、模試の出題範囲がほぼ全範囲となります。よってこれらの対策にも時間の確保が必要です。
<理科>
- 物理:物理基礎全範囲・物理(原子分野を除く)
- 化学:化学基礎全範囲・化学(高分子化合物を除く)
- 生物:生物基礎全範囲・生物(生態と環境および生物の進化と系統を除く)
<社会>
- 世界史B:
- ヨーロッパ・アメリカ▶19世紀まで(帝国主義の前まで)
- 中国・西アジア・インド・東南アジア▶18世紀末まで
- 日本史B:原始・古代~近世(天保の改革まで)
- 地理B:地理情報と地図、自然環境、資源と産業、人口、都市・村落、生活文化、民族・宗教、地誌など
- 倫理:全範囲
- 政治経済:全範囲
1週間で10時間勉強するとして、英語2時間、数学4時間、理科3時間or社会3時間、国語1時間、といった勉強時間になることが多いです。当然これは国公立志望者ですし、あくまでも平均的なものですので、個々人によって調整が必要です。
最後に
夏休みは高校生活で3回しかない、貴重な演習時間です。
最大限に活用して効率的に成績を上げましょう。
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