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【決定版】『得点奪取現代文 記述・論述対策』の使い方とレベル

『得点奪取現代文 記述・論述対策』に入る前に

多くの大学の文系学部で国語の配点は高く設定されていることから、国語は英語と同じくらいの重要科目といえます。

しかしながら、現代文は一般的に「勉強すればするほど点数が上がる科目ではない」と考えられているため、他科目と比べて勉強が疎かにされがちです。

また、現代文の、特に記述問題は、自分の答案を客観的に評価する機会が必要となるため、独学では効果的な勉強を行っていくのが難しい面もあります。この記事を読んでいる皆さんの中にも、「現代文はそういうものと割り切って、他の科目に勉強時間を割いた方が良い」と考えている方も少なからずいるのではないでしょうか。

確かに、現代文の点数が自分と文章との相性によって多少左右される面は否めませんが、先述の通り国語の配点は大きいため、どのような文章が出ても内容を理解し、答案に必要な要素を適切に探し、まとめる能力を身に着ける必要があります。

そんな中、「独学で客観的に自分の答案の良し悪しが判断でき、現代文の記述能力を高めることができる」問題集が、本書『得点奪取現代文 記述・論述対策』なのです。

『得点奪取現代文 記述・論述対策』とは

河合出版から出されている記述中心の現代文の参考書です。

実践を通して記述問題を解くのに必要な力が身につく5題の典型問題と、様々なテーマの文章が収録された20題ほどの練習問題から構成されており、現代文の参考書としては十分なボリュームがあります。

難易度はかなり高めで、東大・京大などの旧帝大を想定したレベルの文章が多く収録されています。私大でメインに出題されるような記号や抜き出しなどの問題は殆ど収録されておらず、難関国立大学の記述試験を想定した作りになっています。

本書『得点奪取現代文 記述・論述対策』を、難関国立大文系志望者にお勧めする理由は、問題のレベルや内容が難関国立大志望者に合っていることもありますが、何といっても「解説の質が良い」ことが第一の理由です。

独学で現代文を勉強しようとすると、どうしても自分で解説を読みながら勉強していく必要があります。現代文の参考書自体は他にもいくつかありますが、この参考書では1問1問に対して分かりやすい解説とそこに至るまでの道筋が詳しく解説されているだけでなく、「受験生がよくしがちな間違い方」についても丁寧に書かれており、より受験生に寄り添った内容のものになっています。

そのため、講師による指導や添削がなくても、この本を一冊仕上げれば、どんな文章でもある程度内容を理解し、難しい記述問題にも対応できる力が身についていることでしょう。

『得点奪取現代文 記述・論述対策』の対象

前述のように、本書『得点奪取現代文 記述・論述対策』は旧帝大およびその他難関国立大学を受験する人を対象に執筆されています。

そのため、記述問題がほとんど、あるいはまったく出ない私大志望の受験生には、この参考書は必要ありません。私大向けの他の参考書を使いましょう。

『得点奪取現代文 記述・論述対策』のレベル

本書『得点奪取現代文 記述・論述対策』は、文章のレベルが非常に高いです。

国語が苦手な人から得意な人まで、幅広い層の受験生に使える参考書ではありますが、もし練習問題を2,3問解いて「記述どころか、問題文の内容が全く理解できない」と感じたのであれば、共通テスト向けの参考書など少しレベルを落とした参考書に戻り、基本的な読解力を身に着けてからこの参考書に入ってください。

ある程度読解力が身についてきたと感じたら、改めてこの参考書に戻り、記述力を鍛えていきましょう。

『得点奪取現代文 記述・論述対策』の使い方

典型問題を解く

まずは5題の典型問題を解き、記述問題を解く上での基本的な考え方や答案の作り方を学んでいきましょう。

練習問題を解く

典型問題が終わったら、学んだことを活かして練習問題を1題ずつ順番に解いていきましょう。

練習問題は社会、文化などのジャンル別に分かれて収録されています。実際の入試では様々なジャンルの文章が出てくるので、本番でどんな問題が出てきても対応できるよう、(試験本番まで余程時間がない場合を除いて)基本的に1冊に載っている全ての問題を解くようにしましょう。

解説を読む

「解き終わったら採点基準に従って得点をつけて終わり」ではなく、解説を使って自分の答案のどこが駄目だったのか、どう考えればよりよい答案になったのかを分析し、次の問題を解く上での糧にしていきましょう。前述したように、この問題集は解説の分かりやすさがポイントなので、それを活かさないのは非常に勿体ないです。

この問題集が1周終わったら、それが高3の秋以降であれば共通テスト対策や過去問演習に移りましょう。国立大学の国語は、過去問演習も大事になってきます。

過去問の解説はこの問題集ほど分かりやすくはないですが、適切な使い方でこの問題集を1周やり終えた皆さんなら、過去問を解く力は勿論のこと、「どうしてこの問題はこの答えになるのか」を考える力も身についていることでしょう。そのような状態ができていれば、過去問演習や研究もより効率的なものとなります。

この問題集が解き終わるのが高3の夏以前であれば、2周目に入っても良いです。2周目に入るお勧めの時期は「文章や問題の内容をだいぶ忘れたころ」、時期で言うと1周目から3~4か月後くらいです。

一度解いた問題であるため、2周目はとにかく「完璧な答案を作る」ことを心掛けてください。2周目を終えるころには、1周し終えた時以上に高い現代文の能力が身についていることでしょう。

総じて、あれこれと色々な参考書に手をつけるのではなく、まずはこの参考書1冊に真剣に向き合い、解説もしっかり読みこみ、1周終わらせてみてください。現代文には多くの参考書がありますが、二次試験対策の参考書は過去問以外これ1冊でも大丈夫というくらい、この参考書は非常に作りこまれた完成度の高いものになっています。

今まで「現代文は運」と割り切っていた人も、まずは騙されたと思って、この本を1冊仕上げてみてください。適切な方法で取り組んでいけば、仕上げる前と後では、明らかに問題の正答率や文章の理解度が変わってくることでしょう。

『得点奪取現代文 記述・論述対策』に関するQ&A

「解答に必要とされる内容を短い文字数でまとめる能力」とありますが、これがなぜ本書を通して伸びるのでしょうか?
自分の答案を客観的に評価する上で理解の助けになる「学生のやりがちな答案例と、その答案に対する採点と評価」が載っているので、自分の記述の書き方を改善させ、「解答に必要とされる内容を短い文字数でまとめる能力」が身につきます。
記述で解答を作るときに気をつけるべきことはありますか?
よく言われる「具体例は書かない」ことの他に、「文章の内容をとりあえずつなげてそれっぽい答案を作らない」ことを意識していました。
「その問題はそう解くかもしれないけど、他の初見の問題が出たときに解けない」ということが往々にして起きると思います。これを避けるためには本書はどのような工夫がされているでしょうか?
この参考書にある全5章の典型問題では、

「対応箇所が傍線部の近くにまとまってある場合」
「離れた場所にある場合」
「分散している場合」
「問題文中の表現では分かりにくい回答しか得られない場合」

など、記述問題のパターン別に分かれた演習ができ、それぞれに分かりやすい解説もついています。そして20問ある練習問題で、知識としてのパターンを実践に落とし込むことが出来るようになっています。

とはいえ、「この問題はこのパターンだ」などと即座に判断することは難しいですし、危険でもありますので、読者は問題文を読む際、参考書内で示されているようなパターンに問題を即座に当てはめるのではなく、常に「文章全体を俯瞰して問題の意図を考えること」「文中の表現だけでは上手くまとまらない際、文意を踏まえた上での自分なりの分かりやすい表現を工夫すること」の2つを意識して解くと高得点につながります。