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『ポレポレ英文読解プロセス50』の対象
文法問題集で文法をひと通り学び終え、和訳対策をはじめたい人
『ポレポレ英文読解プロセス50』の特徴
和訳問題の8割は「節の区切りが見えにくい問題」が出題されます。どこまでが主語なのか、どれが述語なのか、どこまでが並列になっているのか、などです。
本書は特にこういった「節の区切りが見えにくい問題」を厳選して50文集め、解説しています。
『基礎英文解釈の技術100』『英文解釈の技術100』の半分程度であり、解説はそこまで品詞用語を多用しているわけではないため、比較的すんなり読め、比較的簡単に読破できる点が本書のいいところです。
次の目次にあるように、順を追って徐々にレベルアップしていけるような構成になっています。
『ポレポレ英文読解プロセス50』の目次
例題 | 内容 |
---|---|
例題1~4 | SVの発見 |
例題5~12 | 句や節、共通関係の把握 |
例題13~15 | 準動詞の主語 |
例題16~28 | 挿入、修飾語と文の骨格の把握 |
例題29~37 | 関係詞の関係 |
例題38~40 | 名詞構文 |
例題41~47 | 倒置 |
例題48~50 | 省略 |
『ポレポレ英文読解プロセス50』に入る前に…
さて、本書『ポレポレ英文読解プロセス50』に入るために、精読全般に関するお話をしようと思います。
まず、精読の勉強をする主たる目的は和訳問題対策です。和訳問題が出ないのであれば精読の勉強をする必要はありません。なぜなら、長文を読むのが遅くなるからです。
では、和訳問題が出題される大学を受験するとして、精読対策がどれだけ有効かと言われると、これもまた判断が微妙なところです。『基礎英文解釈の技術100』『英文解釈の技術100』のように品詞用語が多用されると読みにくくて頭に残りにくい一方、体系立っていない精読問題集をやってもどれだけ実力がつくかわかりません。
結局「問題集に載っている和訳問題は解けるようになったけど、新しい問題が出てきたときに対応できない」となるケースが実は多いのです。その上、先述の通り長文を読むのが遅くなるというデメリットもあります。
間をとって、薄い本書『ポレポレ英文読解プロセス50』をやり、
- カッコでくくって節を見抜く練習をする
- こんな問題も出るんだ、という引出しを増やす(省略や倒置)
という程度に留めておくのがよいでしょう。
『ポレポレ英文読解プロセス50』の欠点
本書の欠点は、
- 難しい文章が多く、解説もわかりやすくはないため、理解力がないと進まない
- 問題数が少なく、そもそも精読は再現性を高めることが難しいため、本書をやったからと言って和訳問題の点数は大して上がらない
というのが挙げられます。本書というより精読用の問題集全般に言えることと言えます。
『ポレポレ英文読解プロセス50』以外にやるべきこと
結局、精読ができるようになるためには何をやればいいかというと、多読多聴です。多読多聴を通して「正しい英文」を大量にインプットすることで、単語1つ1つを目で追う”虫の目”から、一文や前後の文章を俯瞰する”鳥の目”に変わり、文脈から文構造をだいたい特定できるようになります。
多読多聴をしておらず、「文法⇒精読⇒長文」という積み上げで勉強してきた人は、難構文が出たときに構造解析から意味を掴もうとしますが、結局入試本番では「今まで見たことのない構造」の文が登場し、やれることといったら「節で区切って矛盾のない文章になっているか確認する」しかないのです。
和訳問題で出題されるのは結局、簡単な文法知識を組み合わせて作られた複雑な文章です。精読をするより、多読多聴を通して英語を英語のまま理解する実力を付けたほうがコスパはよいのです。
『ポレポレ英文読解プロセス50』に関するまとめ
まとめると、精読用問題集は「やっても大して点数に反映されない上に読むスピードが遅くなるデメリットもある」ので「精読練習をするなら本書がお薦め。たった50文しか入っていないが、最低限の出題パターンには触れることができ、節の区切り練習は多数できるから」という感じになります。
とても消極的な理由で本書を推薦する形ではあります。
『ポレポレ英文読解プロセス50』の習得レベル
レベル1:文章構造を見抜いた上で和訳ができる