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【決定版】『灘高キムタツの国立大学英語リーディング 超難関大学編』の使い方とレベル

 

『灘高キムタツの国立大学英語リーディング』を使う目的

『灘高キムタツの国立大学英語リーディング』を使用する目的は、①長文問題の解き方の習得②音源を使った多読多聴の2つがあります。

特に①長文問題の解き方に関しては、本書ほど丁寧に解説してくれている市販の教材はありません。しかも、難関大の過去問を題材にしている教材は他にありません。

また、ただ解かせるのではなく②音源を使った多読多聴ができる点が素晴らしいです。阪大レベルの長文を音声で聴ける教材はまずありません。

本書の特徴については次項で詳しくご紹介します。

『灘高キムタツの国立大学英語リーディング』の特徴①:長文問題の解き方指南

本書最大の特徴は、長文問題の正しい解き方が身につくことです。

長文問題は、極端なことを言えば、本文を読まなくても解けたら良いわけです。もう少し現実的な話をすると、全文読む必要はありません。もし全文読むとしても、重要なところは精読しそれ以外は速読するといった緩急のついた読み方をしたほうが点数に結びつきやすいですよね。

つまり問題を解くことを前提として読み方を身につけることが重要なわけですが、それを指南してくれる問題集が本書なのです。

松濤舎では市販されている教材はすべて目を通しているのですが、ここまできちんと読み方を指南してくれている問題集は本書以外にありません。

そこで、ある程度の多読量を確保したら本書『灘高キムタツの国立大学英語リーディング』に入り、その後は他の長文問題集 or 過去問演習に入ります。

補足

同著者の『キムタツ式 はじめての英文速読』シリーズは、本書以上に丁寧に読み方指南をしてくれている、且つ、初学者でも長文読解方法が身につけられる問題集となっていたのですが、残念ながら絶版になってしまいました。

『灘高キムタツの国立大学英語リーディング』の特徴②:音源(CD)付き

もう1つの特徴は、音源(CD)がついていることです。

音源付きの長文問題集はそこまで多くないですし、阪大レベルの長文に音声がついているのは本書くらいです。これが本書の大きな特徴です。

そもそも長文問題を時間内に解くためには英語を英語のまま理解できるようにならねばなりません。言い換えると「英語をその語順通り、ナチュラルスピードで理解できる。しかも日本語を介さずに」となります。この状態を達成するのに最も近道なのがリスニングなのです。リスニングは音が流れていくのでその語順通り理解していくしかないですし、速度もナチュラルスピードで日本語に直している余裕がないからです。

このように、リスニングはリーディングの上位互換であり、負荷の高い学習なのです。

補足:リスニングと黙読の比較

黙読では、返り読みしてしまったり、読むスピードも遅かったり、日本語に直して理解しようとしがちです。

リスニングはこれを強制的に回避する勉強法なのです。

速読するためには音読による多読が有効であることが科学的に知られています。なぜ音読が効果的かというと、効率的に音韻処理が自動化されるようになるからです。

音韻処理とは文字を見て心の中で発音し意味を思い出す処理のことですが、音読することによって音韻処理が無意識にできるようになります。その結果、限られた認知リソースを高度な認知的処理(文脈との整合性の確認、次にくる文章の推測など)に割くことができるようになるのです。

たとえるなら、自転車に乗り始めた頃は自転車の運転をすることに一生懸命でしたが、だんだん慣れてくると、自転車を運転しながら会話を楽しめるようになるようなもの。

音読をするには参考となる音声が必要であり、本書にはまさにその音声が付属しているのです。

『灘高キムタツの国立大学英語リーディング』の対象者

難関国公立大を志望する全高校生/受験生が対象です。

私立大志望生は、同シリーズの『キムタツの私立大学英語リーディング』をやりましょう。

『灘高キムタツの国立大学英語リーディング』の使い方

本書には「Chapter1 Strategy」に13のポイントが載っていますが、それを実際の使い方のSTEPに整理したのが以下の内容となります。

下記に従って本書を使っていってください。

全体観を掴む(スキミング)

まずは、最初の1文と最後の1文を読みます。これだけでわからなければ、最初の2文、最後の2文…と追加していき、最初と最後にどんな内容が書かれているかを把握します。ここまでをだいたい1~2分で終わらせます。

終わったら、今度は各段落の最初の1文を読み、どのような話の展開になっているのか、どの段落にどのような内容が書かれているのかを掴みます。ここまででだいたい3~4分です。

この3~4分が超重要なのです。この作業を行うことにより、テーマと問題提起の把握、最終的な結論、各段落に書かれている内容を掴むことができるため、より速く、より正確に問いに答えることができるようになります。

逆に、やってはいけないのは、頭から順に文章を読んでいくという読み方です。人は文章を読むとき、その後の展開を予想しながら読むことが科学的に知られています。最初の文章からどのような結論になるか、可能性は無限大なので、展開を予想することに多大な認知的容量を食ってしまいます。それを最大限減らすために結論を確認すべきなのです。まずは文章の外枠(輪郭)を把握した上で、その中身を精緻に読んでいくという感覚です。

★Strategy1,5に該当

設問箇所を精読する(スキャニング)

全体観を掴んだら、次は設問箇所を精読します。下線部が引いてある場合はその前後(あるいは段落)を精読します。下線部が引いていない場合でも、はじめに各段落の最初と最後の1文を読んでいるので、どこを読みにいったらいいかが掴めるはずです。

★Strategy6,7に該当

問題演習については上記で終了です。あとは解説を読み、なぜそれが正解になるのか確認しましょう。解説の最後にある「上手に点を取るポイント」というコンテンツにも目を通してください。

多読多聴する

題材の英文を多読多聴していきます。

まずはCDを聴き、聴き取れるか確認します。最低3回は聴き、それ以上聴いても理解が深まらないと思ったら「英文と訳」というページでスクリプトと訳を確認します。「英文と訳」というページは、左が英文(下線や空欄補充をなくした白文)、右が全訳になっていて大変使いやすいです。

リスニングで完璧に意味が理解できるようになったら、今度はパラレルリーディングします。パラレルリーディングしながら意味が理解できるようになるまで、パラレルリーディングを繰り返します。

最後に黙読をし、英語の順でスピーディーに意味が読み取れるようになっていることを確認したら完了です。

★Strategy2,11

※多読多聴の方法については『速読英熟語』の記事を参考にしてください。

単語・イディオム・構文の確認

語彙量を増やすために、わからない単語やイディオムがあったら単語帳で調べ、それでも載っていないものは専用のノートに貯めていきましょう。「語彙・イディオム」に載っていない単語やイディオムでも、自分がわからなかったら必ず単語帳で調べるようにしてください。

表現や構文は正しく読み取れている前提ではありますが(『英文法・語法 Vintage』や『総合英語 FACTBOOK』が習得している前提なので)、一応「表現・構文」というコンテンツで、少々複雑な文章の構造を確認しておいてください。

★Strategy4,13

全問正解する

STEP1で解けなかった問題を最後に解き、全問解けるようにしましょう。

『灘高キムタツの国立大学英語リーディング』にかかる目安時間

1長文の解答時間が20~30分、採点と復習に20~30分、リスニングとパラレルリーディングに20~40分、その他コンテンツの読み込みに20分、合計1.5~2時間で1長文が完了します。

『灘高キムタツの国立大学英語リーディング』の習得レベル

レベル1:正しい読み方をした上で8割以上の問題が解ける

レベル2:リスニングで全文の内容が理解できる

レベル3:パラレルリーディングしながら全文の内容が理解できる

『灘高キムタツの国立大学英語リーディング』の前にやるべき問題集

『システム英単語』レベルの単語帳の8割が覚えられており、『英文法・語法 Vintage』レベルの文法問題集が8割解けている必要があります。

加えて、『速読英熟語』をはじめとする速読シリーズで、多読量を確保してから入るようにしてください。いきなり本書『灘高キムタツの国立大学英語リーディング』に入っては上滑りを起こす可能性があります。

『灘高キムタツの国立大学英語リーディング』の後にやるべき問題集

志望校が多い人、時間がない人は過去問に入ってOKです。当然ながら本書に書かれている長文の読み方で読むようにしてください。

他の長文問題集は、本書をやったあとやるようにしましょう。本書で長文の読み方が身についてから長文問題集をやったほうが読み方に磨きがかかるでしょう。

『灘高キムタツの国立大学英語リーディング』によって得られる副次的効果

難しい問題に触れることで、他の長文が簡単に感じる

「本書を使うことで他の長文が簡単に感じるようになった」という声をたくさん聞きます。これにより、他の多読多聴教材の学習が捗るという効果があります。

最終ゴールがわかる

最終的に読めるようにならないといけない”最難レベル”の長文に触れるため、今の自分の英語力がどれくらいなのか、あとどれくらいやったらいいのかが実感できるようになります。しかもそれが結構手に届くレベルであることもわかるのは大きいです。

こうした副次効果を狙い、まだ本書に入るのが難しそうな人でも3長文ほどトライしてみて再び簡単な多読多聴教材に戻るといいった学習をしても効果的です。

『灘高キムタツの国立大学英語リーディング』のページ構成

大学名解答時間
Practice Test 1神戸大学①18分
Practice Test 2名古屋大学①20分
Practice Test 3北海道大学①20分
Practice Test 4神戸大学②18分
Practice Test 5東北大学①23分
Practice Test 6東京工業大学①18分
Practice Test 7名古屋大学②20分
Practice Test 8東北大学②18分
Practice Test 9神戸大学③18分
Practice Test 10九州大学①27分
Practice Test 11大阪大学①23分
Practice Test 12名古屋大学③23分
Practice Test 13北海道大学②25分
Practice Test 14名古屋大学④25分
Practice Test 15九州大学②30分
Practice Test 16大阪大学②30分
Practice Test 17大阪大学③30分
Trial Test 1~380分

『灘高キムタツの国立大学英語リーディング』の指定について

松濤舎では以前、本書『灘高キムタツの国立大学英語リーディング』を指定教材として利用していました。しかし、現在では指定していません。主な理由としては、

  • 長文の解き方は、さらにブラッシュアップした松濤舎オリジナルの方法で指導するようになったから。実績が出ており卒業生からの評判もよいのでこちらで統一しています。
  • 多読多聴に関しては、Z会の速読シリーズで十分であることがわかってきました。本書で音読をする必要性がなくなり、「難解な過去問を集めた問題集」となってしまって、必ずしもやる必要はないと判断しました。

本書は非常に高いレベルの問題を題材としながら、正しい読み方と正しい勉強方法を指南してくれる、非常に貴重な問題集です。

やって損はないのですが、松濤舎では本書をきっかけに、よりよい独自教材に作成する道を選びました。気になる方はご覧ください。

参考記事: