>>[残席僅か]12月入塾の個別相談会はこちら

【決定版】『文脈で学ぶ 漢文 句形とキーワード』の使い方とレベル

[推奨]松濤舎の指定問題集です。

『文脈で学ぶ 漢文 句形とキーワード』の特徴

「よくある話のパターン」が掲載

本書『文脈で学ぶ 漢文 句形とキーワード』の第3章は「ジャンル別文章読解」という章になっており、ここには「漢文ではこういった題材・展開が多い」「こういった表現がよく使われる」といったことが書かれています。

例えば、私利私欲を貪る者が国を統治するとその国は次第に衰えていき最後には滅亡する一方で、自らの生活を犠牲にしてまで民衆のために尽くすような者が国を統治するとその国は繁栄し次第に栄えていく…漢文ではこのようなお決まりの展開や時代背景が数えるほどしかありません。

現代文でいう背景知識、古文でいう古文常識のようなものです。知っているだけで、途中理解できない文章があったときのサポートになるため、この第3章だけでも買う価値があります。実際、参考書全体の約1/3ページを割く力の入れようです。

第3章の収録内容は下記となります。

  • 漢文学習の意義
  • よくある文章展開
  • 政治のあり方
  • 個人の生き方
  • 人物エピソード
  • 主張もの
  • 志怪もの
  • 儒家と儒家以外の思想
  • 情話
  • 寓話
  • 日本の漢文

また、第2章にも「覚えておきたい漢文常識」として、

  • 理想的な王、臣下の名称
  • 最悪な王、臣下の名称
  • 儒家の有名な弟子の名前
  • 儒家の有名な徳目(仁義信孝など)

もまとまっており、理解補助となること必至です。

補足:古文・漢文学習の意義

学研の編集者さんが仰っていたのですが、マドンナ古文で有名な荻野先生がマドンナシリーズで一番読んでほしいのは『マドンナ古文常識』なのだそうです。

なぜなら、古文を勉強する最大の目的は古文が読めるようになることではなく、当時の文化や風俗について知ることだから、だそうです。ということは、大学入試センターも大学側も、古文の学習を通して古文常識についても知ってほしいと思っているし、知っている前提で問題を作る可能性は高いです。

同様に、漢文を勉強する目的は、漢文が読めるようになることも半分ありますが、もう半分は漢文を通して当時のことを知ることだと言えます。

そういった意味で、古文常識や漢文の「よくある話」を知ることは、受験テクニックでもなんでもなく、本質ど真ん中の勉強なのです。

句形・漢字の掲載数が最多クラス

基本的な文法・句形から、頻出漢字、慣用表現まで載っています。

ただ掲載しているだけでなく「多訓多意語」「くせ者の単語」といったカテゴリー分けがされており、整理して学べるようになっています。

解説が詳し(すぎる)

本書は、詳しすぎる故に紙面が読みにくい点が挙げられます。また、詳しすぎるてオーバーワークになりえる情報も多く、使い方を間違えないようにする必要があります。

特に「!」や「ツボ」というコンテンツでは例外について触れていますが、覚えられなければ模試や過去問で出てきたときに頭に入れたらよいです。

ただし、詳しいおかげで辞書として活用できるため、疑問を残さず勉強できるというメリットもあります。

頻出漢字を覚えるヒント

漢字の意味を覚えるには反復が一番効果的ですが、現在の日本語と関連づけることで覚えやすくなります。まさに有意味暗記ですね。例えば、「謝」という漢字には「衰える」という意味がありますが、この意味で現在「代謝」という言葉が日本語で使用されています。こんな難しいことできないよと感じるかも知れませんが、本書『文脈で学ぶ 漢文 句形とキーワード』には漢字のそれぞれの意味で現在も使用されている日本語を記載してくれているものが多いです。

問題・例文が豊富

漢文のキーワード集や句法参考書には問題がほぼ載っていないものも多いですが、本書には原則として1見開きに1つ「トレーニング」という問題が載っているので、本当に理解できているか確認できます。また1つの句法や漢字に対しても例文が1つ載っているので、アウトプットを通して記憶の確認をしながら進めていくことができます。

『文脈で学ぶ 漢文 句形とキーワード』の対象者

共通テストだけでしか漢文が必要ない人も、本書の第3章は目を通すべきでしょう。第1,2章は辞書として使用し、メインは『漢文早覚え速答法』で勉強するといった使い分けをしてもよいです。

個別試験で漢文や近代文語文が出題される場合は必ず購入ください。

『文脈で学ぶ 漢文 句形とキーワード』の使い方

第3章をひと通り読む

学校で返り点のルールや簡単な句形をひと通り習ったら、まずは第3章を通読しましょう。背景知識を先に頭に入れることで漢文が読みやすくなるだけでなく漢文に興味を持つきっかけにもなります。

ひと通り読んだら、模試の前後に読み直して少しずつ定着させていってください。

句法や漢字を問題形式でインプットしていく

次は第1,2章の内容をインプットしていきます。ただ読むだけではインプットの効率が悪いので、漢字を見て「読み」と「意味」が頭の中で答えられるか確認しましょう。「読み」が書かれている漢字については「意味」だけでOKです。

答えられたら◯マーク、答えられなかったら×マークを累積していき、2周目以降は×マークのついた問題だけ繰り返すようにします。

例文を問題形式で読んでいく

読みと意味が頭の中で答えられるようになったら、次は下の例文を見てその意味が頭の中で答えられるか確認していきます。この時も、読みと意味の両方が答えられるか確認します。実際に漢文中で使われている状況で答えられるようになっていたらOKです。

「トレーニング」は必須ではない

当該テーマを学ぶためにはSTEP.3まででOKです。「トレーニング」については関係ない文も多いので必須ではありません。

『文脈で学ぶ 漢文 句形とキーワード』の注意点

本書の特徴でも記載した通り、本書は解説が詳しすぎる点は難点でもあります。漢文は「読み」と「意味」がわかれば十分で、それを覚えるための補助としての説明ですので、「構造Check」のところは読まなくてもOKです。

句法については学校で勉強したもので十分なケースも多いですが、第2章の漢字は知っているだけいいので、こちらは学校の教材に加えて補強するとよいでしょう。

『文脈で学ぶ 漢文 句形とキーワード』の習得レベル

レベル1:5割以上の漢字の「読み」と「意味」を頭の中で答えられる

レベル2:8割以上の漢字の「読み」と「意味」を頭の中で答えられる

レベル3:5割以上例文「読み」と「意味」を頭の中で答えられる

レベル4:8割以上例文「読み」と「意味」を頭の中で答えられる