生じうるすべての間違いをするために
難関大学の合格には、非常に狭い領域で幅広い知識と深い理解が求められます。
つまり、入試科目に関して専門家になることと同義なのです。
かの有名な物理学者ニールス・ボーアは「専門家」を次のように定義しました。
「非常に狭い範囲で、生じうる間違いのすべてを経験した人」
これは受験においても言えます。
あらゆる出題ケースを想定し、試験前にできるだけ多くのパターンに触れ、失敗し、学び、対策を立てておくからこそ、入試本番で解けるようになります。
となると、必然的に絶対的な時間が必要になります。
どれだけ”センスがよく、頭の回転が速い”と言われている人であっても、大学受験においては一定以上の時間が必要です。そしてその時間は、思っているよりも多くの時間です。
大学受験はパズルではない
高校生には、覚えるべき知識があり、理解すべきメカニズムがあり、使いこなすべき操作があります。
そして、これらが身についているかを試すのが大学受験です。
大学は、その場のヒラメキや頭の回転だけを重視してセレクションしているわけではありません。決して、パズル問題ではないのです。
特に英語は、以前に増して重要度が高まっていますが、言語なのでどれだけ勉強したかで点数は決まります。
高1から勉強することの最大のメリットは、英語という実力があれば安定的に高得点が取れる教科を伸ばせることにある、と言っても過言ではありません。
不安になり、勉強が手につかなくなる
高1から勉強を始めていないと、受験生になったときに強烈な不安に襲われ、焦るようになります。
不安になるとネットで情報収集するようになりますが、大抵は一時的に不安を払拭してくれるような情報を探すだけで生産的ではありません。
そして、不安になると勉強が手につかなくなり、ますます勉強時間を減るという悪循環に陥るようになります。
富める者はますます富み、貧しき者はますます貧しく
人間は既有知識をもとに物事を理解・記憶することが知られています。
つまり、豊かな知識体系を持っている人ほど、新しいことを学ぶのが早く、より多く記憶できるのです。
結果、早く勉強した人とそうでない人との学力の差は指数関数的に開いていきます。富める者はますます富み、貧しき者はますます貧しくなるという構造があることを強く認識してください。
バッファが必要
どんなに器用な人でも、初めから思った通りに勉強を進めることはできません。
「勉強してみたら思ったより解法が頭に残らなかった」
「思ったより部活が忙しくて勉強時間が取れなかった」
「思ったより高3では集中が続かなかった」
「体調を崩してしまった」
などという反省はよく聞くものです。絶対に予定通りにはいきません。高1から勉強を開始し、バッファを設けられるようにしましょう。
集中力は貯金できない
よく「高1,2で勉強しなかった分、高3では集中力が高いから逆転できる」と考えている人がいますが、それまで勉強していないこととこれからの伸びしろの間には全く相関がありません。
逆に、負の相関があるように思います。
勉強してこなかった人は長時間勉強することに慣れていませんし、わからないことが多すぎて人より集中力が早く切れてしまい勉強が続かなくなりがちです。
そもそも、集中力が切れてしまうことは悪いことではありません。
人間なら誰にでもあることです。問題なのは、集中力が切れてしまったときに休憩する時間的余裕が残されていない点にあります。
3年生まで勉強していなかったから伸びしろがあるというのは全くの嘘です。勉強してこなかった人はエンジンがかかるのも遅く、タイムアップになるケースが多いことを知っておいてください。
高1より、高2・高3の方が忙しい
高1の勉強をまともにやっていなければ、高2でその分復習しなければなりません。しかし、高2では理科対策やマーク対策も入ってきて忙しくなります。
高3になれば模試の回数も増え、月に1回以上あることもあり、さらに忙しくなります。そもそも高3は受験まで約10ヶ月しかありません。
高1からきちんと勉強していなければ、すべてが後手に回るようになります。悪循環から抜け出すのは本当に大変です。
高1でやらなかった人は高2,3でやるようになるのではなく、余計にやらなくなるというのが現実です。
高1の分は高1で終わらせた上に、さらに学年関係なく進められる英単語暗記や英語構文暗記が進められるようにしてください。
浪人すると、負のスパイラルに入りやすい
浪人生はどうしても「今年合格しないといけない」という焦りや不安の中で勉強することになるので、得意科目やできる問題の復習にばかり時間を使いがちです。
「自分は大丈夫」と安心したくなる気持ちもわかりますが、知っている問題をやっている時間ほど成績向上に寄与しない時間はありません。
「できる問題ばかりやる」⇒「成績が伸びず余計に不安になる」⇒「余計にできる問題ばかりやるようになる」という負のスパイラルに入ってしまいます。
浪人しなくても良いよう、高1から基礎固め(ボトムアップ問題集の習得レベル上げ)を進めてください。
あとがないプレッシャーが、空回りをさせる
浪人してしまうと「これ以上浪人できない」という状況に身を置かれるため、気持ちが空回りしてしまうケースが多いです。
その結果、1つの教科・1つの問題集に集中して勉強することができなくなったり、勉強が手につかず勉強時間が伸びなかったりと、悪影響をおよぼすことも多いことをあらかじめ知っておきましょう。
結果的に浪人してしまうことは仕方がないことですが、浪人生活をあてに現役時代に勉強をサボるのは絶対にやめましょう。