言葉の定義が成績を上げる

言葉のイメージが先行し、大きな誤解を生んでしまっており、結果として非効率的な勉強をしてしまっていることがあります。

そこで、改めて言葉の定義し、勉強に対する誤った信念を払拭して効果的な学習につなげてみてください。

「◯◯力」ではなく「◯◯知識」

どんな知識を得ようとしているか、必ず意識せよ

思考力、応用力、計算力…といった「◯◯力」という言葉を使うことがありますが、誤った信念を持ちやすい言葉なので使わないようにしましょう。

思考も読解も計算も、知識があってこそ可能です。本来「◯◯力」といっているのは知識です。それがどんな意識なのかをきちんと意識せずに勉強をしてしまうと、英単語暗記における「付随的学習」状態となり、学習効率が格段に落ちてしまいます。

必ず勉強をする際には、その時間でどんな知識を得ることが目的なのか、きちんと言語化し、意識するようにしてください。

「◯◯力」を得ようとすると、漠然と量をこなしがち!

「◯◯力」という言葉を使うと、ただ繰り返して「鍛える」といった勉強になりがちです。例えば次のように…。

  • 計算力を上げるために、計算問題をたくさん解く
  • 思考力を上げるために、考察問題をたくさん解く
  • 読解力を上げるために、長文をたくさん読む

とても”ありがち”な勉強ですよね。しかし、学習というのは意識的でなければ効率がとても悪いです。極点に言えば睡眠学習と同じです。まったく意味ないですよね。必ず、どんな知識を得ようとしているのかを意識し、有意味暗記しようとしてください。

「知識」には「単純知識」「手続き的知識」がある

受験はできるだけたくさんの知識を得る競争である、と言いました。

一般に知識というと、英単語や生物用語、社会の人物名といったものを想定すると思います。これらは単純知識です(そう命名します)。

一方、「この手の問題はこう解くのが定石」「この手の問題では式展開でこういうことに気をつけないといけない」といった、解くプロセスに関する知識を「手続き的知識」と名付けましょう。ケアレスミス対策もこの「手続き的知識」です。

大学受験においては後者の知識は大変重要です。単純知識はみんな重要だと思っているので必死に覚えようとしますが、後者は「◯◯力」「センス」「慣れ」といった言葉に置き換えられることが多く、意識的に定着させようとは考えないことが多いです。

大学受験とは「入試本番でどれだけの単純知識と手続き的知識を持っているかが試される試験である」と言い換えられることを強く意識し、意識的な学習をするようにしてください。

「基本問題」「典型問題」「標準問題」、そして「難問(良問)」「難問(悪問)」

基本問題とは計算問題も含むもので、入試には出題されないレベルの基礎的な問題を指します。あらゆる問題は最終的には基本問題に還元される最小単位です。

典型問題とは、入試によく出題される問題、あるいは、形を変えて出題される問題です。典型問題は、その問題を見た時にすぐに解法がわかる(べき)問題で、実質的な最小単位と言えます。典型問題の解法をできるだけたくさん覚える必要があります。

標準問題は、典型問題が複数組み合わさってできた問題を指します。問題のテーマを見抜くことは比較的簡単で、2−3回のステップを踏めば解答を得ることができます。標準問題までは合格最低点に達するのに必要であると考えてください。『Focus Gold』でいえばStep Up問題まで、『エクセル化学』では標準問題までがこれに該当します。

最後に、難問です。難問には、良問と悪問があります。難問は問題のテーマがわからなかったり、一見するとどうアプローチしたらよいかわからない問題を指します。いくつか候補のあるアプローチを試して崩していくしかありません。

その中でも難問(良問)は、本質を突く問題であり、解いたことはないが解法を知ると該当問題に対する深い理解が得られます。一方、難問(悪問)は、ただ複雑なだけで、それを通して得られるものが少ない問題を指します。

なぜ、このような難問(悪問)を入れるのでしょうか? それは、予想するに、本質を理解できていない人は、難問(良問)と難問(悪問)を区別することができません。難問(悪問)を出題するだけで、一定人数を振り落とすことができるのです。

「タテ」と「ヨコ」

知識には、「タテ」と「ヨコ」があります。「タテ」というのは世界史でいうところの地域別まとめのことで、「ヨコ」というのは時代ごとに地域を横串にさして理解するアプローチのことです。これは、他教科でも言えることです。

例えば、数学では分野別で勉強していくことが基本ですが、先ほどの難問(良問)のように問題を見ただけでは帰属するテーマがわからない問題があるとします。その場合、アプローチは数1A、数2B、数3のどの方法を取るかを考える必要があります。このような分野横断で解法を探し、崩していくしかない問題があり、「ヨコ」の知識を入れていかなければならないのです。

「過去問演習」

「過去問演習」という言葉には、どこか「演習力」といったものを身につけるために行うものというニュアンスを含みます。結果、次のように行っている人が多いです。

  • できるだけたくさんの問題を解き、スムーズに解けることを目指す
  • わからない問題が出たときの対応力、演習力をつけるために過去問を解く

しかし、上記のような勉強をしている間は新しい知識を得ていないので、合格可能性はまったく上がっていません。演習力や対応力というものを身につけても意味がありません。

もし「演習力」というものを知識に言い換えるとしたら、わからない問題が出題されたときにどのように対応するか、です。

しかし、過去問演習を本格的にやる時期は12月以降となるので、なかなか時間がありません。過去問の出題形式に対し、その形式ではどのように考え、どのように対応したらよいかという一般化を行う必要があります。

これを問題集がやってくれている場合は、それを使うようにしましょう。例えば東大受験であれば、赤本よりも『鉄緑会東大◯◯問題集』『』を利用すべきです。

東大でない場合、こういった問題集は発売されていないため、そもそも過去問の解説においてなぜそのような解き方をしているのかを、他の問題集を通して得ている必要があります。

「インプット」と「アウトプット」

最終的には入試本番までに知識を「インプット」している必要があります。ただ、知識が頭の中に保持されているだけではいけません。よって、単に参考書を読むだけでは知識は増えません。

人間は、一度見聞きしたことのある情報は頭の中のどこかに保持されていると言われています。しかし、それを取り出すことができません。「喉元まで出てきているのだけど…」となるのは、まさに頭のどこかに知識はあるけど取り出せない状態になっているのです。

模試でも入試でも当然、知識は取り出せなければなりません。よって、普段からアウトプットを通して頭に定着させ、いつでも取り出せる(思い出せる)知識にしなければならないのです。

アウトプットと言うのは簡単にいえば、問題演習のことです。

「作業」や「写経」

先ほどアウトプットの話をしましたが、この言葉も誤解を生みやすいので注意が必要です。アウトプットは問題集を解くことですが、手を動かすことだと思っている人が多いです。

しかし、手を動かすことは頭の中にあるおぼろげなイメージを、目の前に可視化し、本当に取り出すことができるかをチェックするためにあります。

決して、手を動かすことで手が覚えるといったものでも、手を動かす方が脳が活性化されるからでもありません。

手を動かしているときは、手を動かすことに意識(作業記憶)を使うので、頭を働かせ、覚えようというところに意識が使われません。

手を動かすときには本当に注意が必要です。

特に、問題集を解いているときの解答解説を写しているときは意味がありません。見ながら書き写すことは「写経」であり、頭が動いていません。

また、知っていることをただ紙に書き出しているときも「作業」になりがちです。

できるだけ「作業」「」

英単語暗記と同じく、効率的なのは大量の理解可能なインプットと少量のアウトプットです。理解しようとし、なんとか頭に定着させようとし、さらにそれを頭のなかでアウトプットしてみてから、手を動かして本当に答えを書き出すことができるのかを確認します。

人間はメタ認知が弱いので、頭のなかでのアウトプットだけでは、本当はアウトプットできないのに「できる」と勘違いしてしまいがちです。よって、最後には必ず手を動かして、答えることができるかはチェックするようにしてください。

「暗記」は「有意味暗記」

暗記というのは、知識を入れ、保持し、取り出すことができる一連の流れが滞りなく遂行されることで完了します。

特に長期的に暗記するためには有意味暗記をすることが最も有効です。とにかく知識を長期的に(少なくとも入試本番までには)覚えておくためには、理解して定着させるようにしてください。

「理解」は「既有知識への紐付け・再構築」

理解というのは主観的な感覚となりがちです。ある人によっての理解は、他の人にとっての理解よりも断然浅いかもしれません。こればかりは、実際に問題集が解けるようになっているか、より難しい問題集でも解けるか、模試でも対応できるか、というように問題が解けるかどうかで判断するしかありません。

しかし、理解しようとするときに意識すると良いのは、自分がすでに持っている知識(=既有知識)と紐付けようとすることです。知っている知識で喩えたり、知っている知識との類似点・相違点を見つけて、既有知識に”関連付けることで保持する”イメージです。意味付けすることも重要です。例えば、因果関係を明確にするとか、語源で覚えるとか、ゴロにするとかもありです。

知識を整理することで知識が定着しやすくなること知られています。ステップにして覚えるとか、MECE(ダブリも不足もない状態)に数え上げるとか、そういったことを表します。

「繰り返す」は「分散学習する」

できるようになる・覚えられるまでは、何回でも繰り返す必要があります。

しかし、この「繰り返す」というのは、短期的かつ丸暗記というイメージがどうしてもあると思います。残念ながら、短期的な繰り返しは集中学習といって、短期的な記憶保持にしか寄与しないことがわかっています。また、丸暗記も長期記憶には有効ではありません。

まずは有意味暗記しようとすること。どうしても丸暗記せざるを得ないものは分散学習で、間隔を置いて復習するようにしてください。

[PR]定義は随時、追加していきます。