医学部の合格最低点を”遠い”と感じる人へ
受験期の夏休み以降の人、浪人生の人は、合格最低点を調べ、過去問を見れば、だいたい自分が合格最低点を超えられそうな学力があるのか、合格最低点を超えるには何が足りないか、わかると思います。
しかし、それより前の人は、たとえ合格最低点を調べ過去問を見ても、いったいそれがどれくらいの難易度なのかわからないはずです。未習範囲ばかりだから、無理もありません。
ではどうしたらいいかというと、模試の偏差値を目下の指標とするのです。
医学部受験生にお勧めなのは「河合塾の全統模試」
偏差値は、模試によって異なりますが、医学部受験生にお勧めの模試は河合塾の全統模試です。河合塾の全統模試は、高1,2でそれぞれ4回、高3で3回開催されます。だいたい3ヶ月に1回ペースで行われます。
なぜ河合塾の全統模試がおすすめかというと、難易度が標準的であり、受験者層もオーソドックスだからです。
たとえば、駿台全国模試は難易度が高いため「できる問題は皆でき、できない問題は皆できない」となりがちで、進研模試は難易度が比較的低く、あまり参考になりません。
医学部は「ボーダー偏差値65」がボリュームゾーン
今後、偏差値は河合塾の全統記述模試を採用するとします。
目標とすべきは、英数理2の平均偏差値が65になる状態です。なぜなら、ボーダー偏差値がもっとも多いのが偏差値65の大学だからです。
一部、偏差値62.5の大学もありますが、選択肢が狭くなるので、偏差値65を目指しましょう。
ボーダー偏差値の定義とは?
河合塾によるボーダー偏差値の定義は、前年にその偏差値を取った人の50%が合格し、50%が不合格だった偏差値です。つまり合格率50%になる偏差値というのがボーダー偏差値です。
ちなみにボーダー偏差値を取るとC判定がつき、2.5上がるごとにB判定、A判定と上がっていき、逆に2.5下がるごとにD判定、E判定となります。
字面だけ見るとC判定は合格が厳しいように見えますが、実際は合格可能性が十分にある判定と思ってください。これまでの指導経験上、C判定が出ていれば、私立医学部は3校受験すると1校は合格するといったイメージです。
医学部受験生が偏差値を見る際の注意点①
偏差値を指標とする際の注意点がいくつかあります。
1つ目は、英語についてです。私立医学部では英作文が出題されない大学は多いですし、国公立医学部では文法問題がそのまま出題される大学も随分減りました。そのため、模試の英語の偏差値がよくなくても、志望校の出題形式ではない問題で失点している場合はあまり気にする必要はありません。
模試の偏差値はもっとも有力な「学力を客観的に測る指標」となりますが、唯一の指標ではありません。
たとえば松濤舎では、模試だけでなく、各問題集の進捗管理シートや過去問の出来など、総合的に見て合格可能性を判断しています。模試の結果に振り回されないようにしましょう。
医学部受験生が偏差値を見る際の注意点②
河合塾の場合、ボーダー偏差値は2.5刻みで発表されています。理由は、ボーダー偏差値を作成するためのデータの母数が少なく誤差が生じるためと言えます。その結果、同じ偏差値65でも、偏差値62.5に限りなく近い大学と、偏差値67.5に限りなく近い大学が混在しています。つまり偏差値が5近く違う大学でも、同じ偏差値65となっている場合があるのです。
ボーダー偏差値をそのまま鵜呑みにするのではなく、これだけのバッファがあることを認識した上で、大学選びや合格可能性の判断をするようにしましょう。
医学部受験生が偏差値を見る際の注意点③
大学によっては偏差値が低めに出ている大学があります。例えば、札幌医科大学や旭川医科大学、群馬大学など。これらの大学に共通するのは、地域枠が多いことです。地域枠は一般枠と比べて入りやすく、偏差値が低くなりがちです。河合塾が発表しているボーダー偏差値は、地域枠も含めた偏差値と予想されます。
そのため、偏差値が低いからといって選んだ結果、不合格になったという人が多いです。
こういった情報一つで不合格になってしまうので、偏差値を一元的に捉えるのでなく、過去問の出来、合格最低点との比較など、総合的に判断するようにしましょう。
なお、合格最低点に関する注意点は下記で書いたとおりです。
模試の偏差値と合格可能性の間には強い相関関係
これまで、模試の偏差値を目標にすべきと話してきました。偏差値の捉え方についての注意点も触れてきました。では、どうして偏差値を目下の目標にしていいかというと、合格可能性との間に強い相関関係があるからです。
模試というのは、入試問題と比べ比較的オーソドックスな問題が出題されます。ほぼ典型問題な出題も多いです。ということは、模試のようなオーソドックスな問題が解けない人は、それをさらに捻った入試問題が解けるはずがありません。
つまり何が言いたいかというと、模試の成績によって受験者層のどのあたりの位置にいるかはわかり、そしてそれは入試問題になったからといって逆転される可能性は非常に低いということです。
こうした理由から、偏差値は合格偏差値と相関があり、目指すべき偏差値はボーダー偏差値で、そのボーダー偏差値を超えるべく、各科目への勉強時間の配分を調整していったらいいのです。
ボーダー偏差値を超えるにはどうしたらいいか?
以上から、ボーダー偏差値を超えるにはどうしたらいいかが論点になるわけです。
結論から言うと、それは問題集の習得です。
どの塾に行くとか、どの授業を受けるとか、そういったふわっとしたものではありません。
具体的な問題集を、具体的な状態に持っていけば、誰でもボーダー偏差値を超えることができるのです。