前提:難関大学合格者の評判が良い問題集をやる
受験勉強の王道は、難関大学合格者が推奨する問題集を徹底して習得することです。ここに異論はないでしょう。
しかし、難関大学合格者が推奨する問題集の中にはノード問題集と呼ばれるものがあります。該当する問題集を使用する場合には注意が必要です。
ノード問題集は下記となります。トップダウン問題集として指定しているものも多いので、ボトムアップ問題集に追加する際には十分注意してください。
ノード問題集の例
『英文法ファイナル問題集(標準編)』
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『英文法ファイナル問題集(難関大学編)』
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『1対1対応の演習』シリーズ
売り上げランキング: 1,174
『新数学スタンダード演習』
『数学Ⅲスタンダード演習』
『入試数学の掌握』シリーズ
エール出版社
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『やさしい理系数学』
河合出版
売り上げランキング: 9,412
『新数学演習』
『重要問題集』シリーズ
『化学の新演習』
『名問の森』シリーズ
河合出版
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『難問題の系統とその解き方』
ニュートンプレス (2019-03-29)
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『センター試験への道』シリーズ
ノード問題集とは?
ノード(node)には「節」「線と線の結び目」といった意味があります。
知識体系は、より低次の(具体的な・応用範囲の狭い)知識が集まって、より高次の(一般的な・応用範囲の広い)知識を構成し、さらにその知識が束なって高次の知識となるという、樹形図(ピラミッド構造)の体を成しています。
こうした樹形図の結束点のことをノードと呼びます。
このことから、基本問題から抽出された本質を突く、数少ない問題がセレクトされた問題集をノード問題集と呼んでいます。
実際、ノード問題集は本質を掴むのに有用です。
入試問題には悪問・奇問も多いので、本質を突く重要な問題だけを扱っている点は素晴らしく、後述するように役割や使う順番を誤らなければ大変有用です。
基本問題を習得してはじめて最大限活用できる
一方、ノード問題集には、入試では出題されないような基本問題や計算問題は載っていません。この点が長所でもあり、注意すべき特徴でもあります。
人間は、新しい知識を習得する際には、既有知識を足がかりにします。既有知識に紐付けて新しい知識を習得するのです。難関大学で求められる高次な知識は、より低次な知識があるからこそ習得できます。
また、低次の知識があるからこそ入試頻出問題の狙いや注意点、なぜ頻出なのか、なども理解できます。つまり、ノード問題集を最大限活用できるのです。
ノード問題集を誤解している人が多い
難関大学合格者が推奨する問題集にはノード問題集が多く、口コミを聞いてノード問題集に取り組んでいる人は多いのですが、上滑りし、伸び悩むケースがとても多いです。
「良いと言われている問題集をやっているのに、どうして伸びないのだろう」「自分の能力では難関大学は無理ではないか」
と、不必要な自信喪失に繋がることがあるので注意してください。
難関大学合格者の口コミだけを表面的に捉えて「ノード問題集だけやったらいい」と考えるのは早計です。実際は、数学なら『Focus Gold』、化学なら『エクセル化学』、英語なら『英文法・語法 Vintage』などの網羅系問題集を当たり前のようにやっているのです。
ノード問題集だけやっても、ただ個別具体的な難しい問題を単発でやるに留まってしまい、結果「応用性が低く知識を丸暗記し、そんな知識を保持し続けることに時間を使う」といった、最悪の状況に陥ります。これでは一向に成績が伸びないので絶対にやめましょう。
ノード問題集の役割は、あくまでも網羅系問題集の補助であって、これだけやっておけばいい万能な問題集ではないことを理解した上で使用するようにしてください。
以下に、改めてノード問題集の機能をまとめました。
ノード問題集の機能
本質理解の確認(具体知識の一般化)
網羅系問題集は、最初に計算問題や基本問題が載っており、徐々に典型問題に移るといった構成になっています。
そのため、網羅系問題集をやるだけでも基本問題の一般化は行えるので、これだけで対応できる難関大学は多いです。
一方、網羅系問題集は段階的に学力が上げられるよう素直な問題が掲載されています。特定の内容を学んでもらうことが目的なので、不要なものが削ぎ落とされた問題のみを扱っています。
これ自体何ら問題があるわけではありませんが、別で本質を理解しているかは確認しなければなりません。
本質がわかっているか確認するには、本質を掴んでいれば解けるはずの少しひねった複雑な問題を解いたらよく、ノード問題集にはそのような問題だけが集められています。
網羅系問題集を通して本質が理解できているか、ノード問題集で確認できるということです。
また、ノード問題集の解説を理解しようとすることで網羅系問題集で習得した知識が繋がり、ブレークスルーすることがあります。
負荷を高めて習得チェック
ノード問題集には、問題をランダムに並べたり、テーマがわからないようにしていたりするものがあります。
例えば、『新数学スタンダード演習』『数学Ⅲスタンダード演習』『入試数学の掌握』シリーズ、『英文法ファイナル問題集』シリーズが該当します。
網羅系問題集は順を追って習得できるようになっていますが、だからこそ別角度から別の問い方で、ヒントを与えることなく解けるか確認し、応用性を高める必要があるのです。
このように、負荷を上げて知識の確認ができるのも、ノード問題集の機能です。
素早く要点確認する
模試前にひと通り確認する際には、ノード問題集を使ったほうが要点のみ確認できるため便利です。
ただし、ノード問題集を復習した際に何がポイントなのかがわからないのであれば、うまく活用できるとは言えません。網羅系問題集を習得していれば「確かにこのテーマはここがポイントだよな」と納得できるはずです。問題集に振り回されているので、網羅系問題集をもう一度やったほうがよいでしょう。
あくまでも豊かな知識体系の中の要点だけをピンポイントで確認してくれるのがノード問題集である、という認識を持ってください。
入試本番での自信に繋がる
ノード問題集は、難関大学合格者の口コミでも良いものが多いですが、そのような問題集を徹底的に勉強しておくと、
- 難関大学合格者が使っていた問題集を自分も全部やった、という強烈な納得感
- この試験会場で自分ほどやり込んだ人はいないだろう、という強い自信
に繋がり、入試本番で圧倒的な精神的安定が得られます。
まとめ:役割、機能、注意点を踏まえて使用しよう
網羅系問題集とノード問題集は、それぞれの役割、機能、注意点が違います。
また、互いに補完関係にあるので、両方を使うことでより実力がつきます。
ノード問題集は注意点さえ守って使用すれば圧倒的な点数向上に繋がりますので、早めに網羅系問題集は習得し、ノード問題集が追加できるようにしましょう。